東京駅から新幹線で約1時間40分。名古屋市は愛知県の西部で伊勢湾に面する、人口約230万人の城下町。日本国内第三の大都市圏として、製造業や商業で大いに栄える。駅弁は改札外コンコースや新幹線改札内で3社約50種が積まれ、地元や近隣の弁当なども加えて、こちらも大いに栄える。1886(明治19)年3月1日開業、愛知県名古屋市中村区名駅1丁目。
2020(令和2)年12月に「ブリ」「さば」「さわら」の3種類を498円で発売か。名古屋駅の駅弁屋がつくる小さな焼き魚弁当シリーズで、「デリカステーション」などの駅弁売店でなく「グランドキヨスク」などのミニコンビニで、コンビニ弁当のように売られるお弁当。白飯と焼き魚1切れに、きんぴらごぼう、ひじき煮、酢漬けの刻み、醤油、おろししょうがを添えて、ふたが一体な惣菜向けプラ容器に詰め、商品名を書いた紙帯を幕く。これは「さわら」なので、焼サワラが入っていた。一食分の駅弁でもなく、広域に流通するコンビニ弁当や惣菜でもない、立ち位置がなかなか独特な商品だと思う。
新作駅弁「海老めし」シリーズのひとつとして、2015(平成27)年8月10日の発売。シリーズといっても、「海老めし天むす」(700円)とこれの2種である模様。
なぜか形状が鹿児島県出水駅弁「えびめし」とそっくりな、コンビニ風プラ容器の中身は、アカエビの素揚げを振りかけたエビの味付飯、エビ焼売、サトイモやシイタケなどの煮物、パンプキンサラダ、ヤリイカ、茎ワカメ佃煮、コウナゴ佃煮、タコ唐揚。食べて感じるエビは、味付飯にふりかけた細かな素揚げだけだが、これがとても豊かに香るので、駅弁の名前にふさわしい味がした。2017年までの販売か。
※2024年8月補訂:終売を追記2014(平成26)年7月7日の発売。三重県鳥羽の三世代海女で、2012(平成24)年の鳥羽市の第57回「ミス伊勢志摩」グランプリや鳥羽市の観光キャンペーンガールとして各種メディアでも活躍する中川静香氏と、調製元との共同開発弁当。掛紙の表面には三世代海女と思われる女性のイラスト、海女の伝統文化という紹介文、おしながきが描かれる。
掛紙の裏面でイラスト付きで紹介される中身は、下段がひじき御飯、サンマ押寿司、玉子巻、サトイモやカボチャなどの煮物、上段が海老アボガド、アスパラベーコン、はんぺん生姜醤油煮、ホタテ煮、あかもく佃煮、伊勢茶プリン、こんにゃくもちなど。掛紙も容器も中身も名古屋駅弁らしくない、落ち着いた海の風味。食品表示ラベルが容器の上面に加えて、上下段それぞれの箱に貼られていた。2020年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2006(平成18)年5月に発売した夏期限定駅弁か。駅弁らしい大きさと形状の木目調長方形の容器にフィルムを載せて割り箸を置いて、商品名を記したボール紙を置いて、フィルムで帯をして食品表示ラベルでも留める。中身はつまり穴子重。梅酢大根とシソの実きゅうりを添えて、茶飯に煮穴子が貼られる。
香りや食感がとてもとても軟らかく、価格相応の高級感があるとともに、宮島口その他の食感がしっかりした焼穴子重が好きな人にとっては、物足りなさを感じるかもしれない。この駅弁は名古屋で買ったが、東京、品川、新横浜、京都、新大阪の東海道新幹線改札内でも買える模様。2015年に通年販売の「ぜいたく穴子弁当」(1,380円)へリニューアルし、2017年まで販売。2021年から「あなごめし」の名で、穴子重タイプの駅弁が東海道新幹線「のぞみ」停車駅で売られる。
※2024年8月補訂:現況を追記「名古屋名物コーチンわっぱめし」とともに、2003(平成15)年の秋に発売。同駅弁と同じ容器と同じ形の枠を使う姉妹品。中身はあさりの炊込御飯の上に帆立、海老、イカ、鮭、穴子など海のものが、椎茸やタケノコやゴボウなど海と縁のないものとともに載っている。海の幸と縁遠い地域の海鮮駅弁は不味いものも少なくないが、こちらは本場物には及ばないものの良い味が出ている。2013年頃までの販売か。
2003年10月1日のダイヤ改正で東海道新幹線では「ひかり」の多くが「のぞみ」に格上げされた。新聞には「のぞみ」特急料金の値下げと所要時間の短縮のみが大々的に宣伝されたが、自由席は5両から3両に減少し、指定席料金が200円から500円上がり、回数券は一枚あたり千円以上も値上げされたことにはほとんど触れられず、報道統制でもかかったかと思えるほど。
※2015年10月補訂:終売を追記田の字型に仕切られた正方形の容器をボール紙の枠にはめる。中身はひとくちサイズのお手玉寿司やばってら型寿司に細巻きが入るだけなのだが、具の種類がそれぞれ4種類ずつもあり、具や酢飯のレベルも高いので、すいすいといただける。副食やつまみに最適か。2009年頃までの販売か。
※2015年10月補訂:終売を追記名古屋駅でひっそりと売られている鯖棒寿司駅弁。ボール紙の箱の中に、笹の葉で巻かれビニールで密封された鯖棒寿司が一本入っている。鯖の身も厚いが、3ミリ近い昆布の厚みも負けていなく、酢飯や鯖の風味や食感よりも昆布の香りが口の中に広がる。食品表示シールには「みやげ用鯖寿司」とあり、旅の途中で食べられることを想定していないのだろう、ニワトリやミソカツが幅を利かす名古屋駅弁の中では、かなり異色な存在。現存しない模様。
※2024年8月補訂:終売を追記手頃な大きさのボール紙製容器に掛紙をかける。中身はイクラが載った鮭の炊き込み御飯に、魚の白身フライやすり身ボールに焼かしわや昆布巻きが添えられるもの。量は少ないが価格も安く、御飯の味は北国の鮭駅弁と同等レベルにあると思う。このシーズン以外には、販売されたのだろうか。
※2015年10月補訂:終売を追記