東京駅から新幹線で2時間強。京都市は京都府の県庁所在地である、人口約150万人の市。9世紀末の平安時代からの都であり、世界的に著名な古都として、年に5500万人もの観光客が訪れる。駅弁は見た目に多種が売られるが、それらは他府県の駅弁や近隣の弁当であり、京都駅の駅弁や駅弁屋はなくなっている。1877(明治10)年2月6日開業、京都府京都市下京区烏丸通塩小路下ル東塩小路町。
2005(平成17)年かそれ以前から、京都駅で売られているお弁当。うなぎのたれをまとう御飯に大葉を貼り、炭火でふっくらとやわらかに焼き上げたという国産ウナギの蒲焼きを並べ、生姜を添える。炭火の焦げ目と香りを感じるウナギは脂が控えめで、最近の柔らかいウナギ弁当と違う、落ち着いてほっとする締まり具合。価格は2016年の購入時で1,600円、2019年時点で1,690円。
調製元は京都市内のちりめん山椒屋。新幹線の高架下に「調進所」なる弁当工場を構え、京都駅の「駅弁」を調製し、JR東海やJR西日本の子会社に納める。旧国鉄〜JRが認定する駅弁屋でなかったり、駅弁大会に出てくる業者でなかったため、駅弁趣味の観点ではノーマークだった。こうして日本最大級の駅弁大会で実演販売を実施すれば、今後はテレビや雑誌で駅弁として紹介してもらえるようになるかどうか。
たしかに京都駅では、旧国鉄時代からの駅弁屋が撤退した後も、駅弁のような弁当がいろいろ売られている。新幹線エリアではJR東海の子会社と京都や奈良の弁当屋の商品が、JR西日本エリアでは神戸など関西の駅弁屋の商品が、それぞれ売られているように見える。
※2019年8月補訂:値上げを追記2021(令和3)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。タレ御飯をウナギの蒲焼きで覆い、柴漬けを添える、相変わらずシンプルな内容。「東西味くらべ」を称するため、焼き方の異なる2種のウナギを入れているのかと思ったら、見ても食べてもそういう感じがしない、そして飯と鰻と漬物では「ちらし」の要素もない、ただのうなぎ弁当。コロナ禍でひときわ空いていた催事場で、例年どおりひっそり販売されていた。この催事でのみ販売した模様。
※2022年4月補訂:終売などを追記2020(令和2)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。商品名は「うなぎとあなごのごはん」かもしれない。タレ御飯をウナギとアナゴで覆い、柴漬けを添える、相変わらずシンプルな内容。催事場でひっそりと販売し、見た目と味はおとなしく、価格はおとなしくなく、注目されなかった感じ。京都駅で販売したかは分からない。
2019(平成31)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。容器の半分が西日本風のアナゴ丼で、もう半分がウナギ2切れとハモ1切れの丼。他の具は柴漬けしかない、シンプルな内容。味もシンプルにうまくとも、今までの京らしさはないような。催事場では人気がなく、なぜここにこういうものを出したのかについて語ればよいのにと思った。京都駅で販売したかは分からない。
2018(平成30)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。タレ御飯をウナギ蒲焼で覆い、ちりめんと柴漬けを少々添付。味は見てのとおりの鰻重。ウナギ御飯の味が強いので、ちりめんは食感だけに留まる感じ。前年の「うなぎちらしごはん」と違い、これは京王百貨店の駅弁大会でのみ販売し京都駅で売らなかった疑義駅弁だった模様。
※2019年8月補訂:終売と考察を追記写真のとおりウナギの棒寿司が1本、竹皮に包まれて、ひもでしばられて、写真もイラストも何もない掛紙に巻かれている。風味はなかなかまともなもの。地味が過ぎて今では誰も紹介してくれなくなっているが、京都駅の駅弁屋「萩の家」のウナギ駅弁は1909(明治42)年以来の伝統を持つ。京の歴史に比べればたいしたことはないけれど、大切にしたい鉄道の味である。
なお、萩の家の駅弁は、2008年9月までに在来線改札内から売店が消え、2010年9月に新幹線改札内から商品が消え、同年12月に売店も閉店してしまい、今では駅で買うことができなくなっている。
※2011年1月補訂:現況を追記京都駅の通常版ウナギ駅弁。亀甲形の八角形の容器は枠も底もフタも全部経木、これを割り箸ごと掛紙で包み紙ひもでしばる。中身は粘り気のあるタレ御飯に小ぶりながらとても柔らかい鰻蒲焼が二切れで、価格は手頃な840円。「鰻のねどこ」等の高価なウナギ駅弁のほうが食べ応えがあるかもしれないが、こちらはとことん古風なつくりに感心できる。古都・京都の駅弁はこうでありたい。
現在の京都駅は、新幹線駅構内にJR東海子会社の東海道新幹線共通弁当があふれ、建設で物議を醸した京都駅ビル内には多くの売店や飲食店が入居するので弁当購入や食事は容易だが、京都ネイティブな駅弁屋といえば今も昔もこの業者だけ。新幹線駅構内の売店にも多種の駅弁があったが、この駅弁はそこに姿がなく、在来線1番ホームの階段下の隠れ家のような駅弁売店で販売されていた。
なお、萩の家の駅弁は、2008年9月までに在来線改札内から売店が消え、2010年9月に新幹線改札内から商品が消え、同年12月に売店も閉店してしまい、今では駅で買うことができなくなっている。
※2011年1月補訂:現況を追記タレが染み込んだ御飯の上に鰻蒲焼が3切れ載る鰻重を、経木の細長い細長い長方形の容器に詰める。京都の町家建築からヒントを得た駅弁だろう。味はよいがずいぶんと高価だという評価がよく聞こえてきて、在来線エリアでは見かけず新幹線改札内で取り扱われているという販売形態は正しそう。
なお、萩の家の駅弁は、2008年9月までに在来線改札内から売店が消え、2010年9月に新幹線改札内から商品が消え、同年12月に売店も閉店してしまい、今では駅で買うことができなくなっている。
※2011年1月補訂:現況を追記1984(昭和59)年9月16日17時の調製と思われる、昔の京都駅弁の掛紙の一部。その絵柄は上記の2003年のものと変わらない。消費税を考慮すると値段も変わらない。