京都駅から電車で約40分。2006(平成18)年に4町の合併でできた南丹市は、京都府の中央に位置する、人口約3万人の城下町ないし宿場町で、京都市のベッドタウン。駅弁は1910(明治43)年から売られ、見た目も内容も味も古風なものが知られるが、今は駅では売られない。1899(明治32)年8月15日開業、京都府南丹市園部町小山東町溝辺。
フタも枠も完全なる経木の容器を使用、正方形の底に栗型の枠を接着する。小粒ながら甘みを加えない丹波栗が御飯の上と中にごろごろと入っており、意図的に残された渋皮と「絶妙」の塩加減が御飯に視覚と嗅覚と味覚を加えた逸品。価格は長らく900円であったが、今回2018年の購入時で1,100円。
1991年に現在の橋上駅舎に改築された園部駅は、1996年の山陰本線園部・綾部間の電化完成により時刻表上では特急列車が増加したものの、中長距離を走る列車がなくなったため駅弁販売の環境はますます厳しくなったはず。近年は駅に置かれなくても、予約して調製元で買ったり、毎年1月の京王百貨店の駅弁大会と阪神百貨店の駅弁大会で輸送販売されたりした。2015年までに販売を終了したが、2017年に復活し、翌2018年の京王百貨店駅弁大会に出てきた。
※2018年6月補訂:写真を更新2020(令和2)年1月15日に購入した、園部駅弁の掛紙。2年前とまったく同じ。同じ姿で出てきたことに安堵しなければならない。もはや京王百貨店の駅弁大会でしか買えない、幻の駅弁。
2005(平成17)年1月15日に購入した、園部駅弁の掛紙。容器や中身は変わらない。2年前に比べて、掛紙の背景色が変わり、駅名に亀岡駅が加わった。13年後のものと違い、駅弁マークや「日本鉄道構内営業中央会」や販売元、「空箱はまとめて屑物入れにお入れ下さい。」が書かれていた。
2003(平成15)年1月13日に購入した、園部駅弁の掛紙。京王百貨店の駅弁大会で買って、会場内で食べた。調製元と販売元の両者を掛紙に明記する。
園部駅で駅弁が売られ始めてからまもない、1910年代の発売か。平板に魚型の枠を貼る経木折は、昭和時代まで近畿地方北部各地の鮎寿司駅弁でよく使われた、独特の形状。これに酢飯を敷き、酢と塩で締めたアユを開いて載せて、甘酢生姜を添える。明治時代から北海道を除く全国各地で親しまれた鮎寿司駅弁の、熊本県人吉駅とともに最後の生き残りであり、最も古風な姿を残す、幻の駅弁。
昭和40年代は毎日300個近くを作っていたという。近年は駅では買えないが、予約して駅近くの調製元で買ったり、毎年1月の京王百貨店の駅弁大会と阪神百貨店の駅弁大会で輸送販売されたりした。2015年までに販売を終了したが、2017年に復活し、2019年まで京王百貨店の駅弁大会で輸送販売。価格は長らく1,050円、今回2018年の購入時で1,300円。
※2023年1月補訂:現況を追記し解説文を手直し2003(平成15)年1月13日に購入した、園部駅弁の掛紙。「栗めし」と異なり、こちらはちょうど15年後も同じものであった。容器や中身も同じもの。
入手状況から1977年頃のものと思われる、昔の園部駅弁の掛紙。現在の園部駅弁も古風な感じが特徴であるが、この掛紙も当時にして活字を一切使用せず手書きで版を起こした古風なもので、入手できてうれしくなる。
第二次大戦前の調製と思われる、昔の園部駅弁の掛紙。山の中の園部駅で、洋上の島並を思わせる絵柄を使うのは不思議に思える。