JR大阪駅や地下鉄梅田駅から数分。大阪市は国内で2番目の規模を持つ大都市圏の中心である、人口約280万人の政令指定都市で県庁所在地。古代から二千年近い歴史を持つ港町であり、中世には物流や商業で発展、明治時代から工業も栄え、今も世界有数の大都市である。駅弁は東海道新幹線の開通で東海道本線との交点に駅が設けられて以来、大阪駅の駅弁が販売された。当時の駅弁屋は2010年4月に消えたが、今はむしろ全国各地の駅弁や地元などの弁当が、新幹線改札内や在来線改札内で多く売られる、全国有数の駅弁販売駅。1964(昭和39)年10月1日開業、大阪府大阪市淀川区西中島5丁目。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2022(平成4)年秋の新商品か。中身の丸い6区画は、鶴橋風焼肉、芋蛸南京(いもたこなんきん)というタコと根菜の煮物、たこ焼き3個、お好み焼き風ご飯、串カツ2本とキャベツ、焼きそば。その名とイラストがスリーブに描かれ、とても赤く明るく賑やかな絵柄。粉もんグルメがきれいにおとなしく詰まり、食べやすい。調製元は神戸の駅弁屋。駅弁の名前やスリーブの表記から、主に大阪で売られる駅弁と思われる。
2015(平成27)年3月4日に新大阪駅の在来線改札内でオープンした商業施設「エキマルシェ新大阪」の巨大駅弁売店「旅弁当駅弁にぎわい」で、そのオープニングスタッフとして同日に発売。調製元は神戸駅弁の淡路屋。市松模様の専用紙箱に商品名を記す。中身は赤飯、タコ飯、すき焼き、煮物を四隅に配し、中央に串カツ、たこ焼き、かまぼこ、玉子焼、焼鮭、くぎ煮、花豆煮を据える、なんでもまるごと弁当。これが西日本など各地で100種類以上の駅弁を集めたこの売店で、購入時で一年半もの間一番人気なのだとか。価格は2015年の発売時で980円、2016年の購入時で1,000円。
2012(平成24)年の夏頃に復活。下記の駅弁「御堂筋弁当」で書いたとおり、かつて新大阪駅の名物駅弁で、駅弁業者の事業停止により2010(平成22)年4月で失われたものが、ブランドの後継業者の手により、ひっそりと蘇った。下段にグリーンピースの白飯とたこ焼きを詰め、上段の9区画に様々なおかずを詰め、大正ロマン風の掛紙をかける点は、駅弁だった当時にそっくり。ただし、駅では売られない。価格は2014年の購入時で1,260円、2023年時点で1,480円。
※2023年12月補訂:値上げを追記1987(昭和62)年11月にJR東海の「新幹線グルメ」キャンペーンで誕生した駅弁。まずは新大阪駅や、東海道新幹線「こだま号」の車内販売で売られた。経木枠正方形の容器の二段重ねで、下段はグリーンピースの白御飯に加えたこ焼きが5つ列び、上段は内部で9分割されて大阪のくいだおれをイメージした様々な食材が詰められている。大正浪漫風の掛紙が目印。この駅弁群の発売から20年、「新幹線グルメ」はすっかり死語になり、一部の駅では商品や駅弁屋が消滅、新幹線からは食堂車もビュフェもサービスコーナーも絶滅した。
大阪市街の中心軸をなす御堂筋は、1937(昭和12)年5月の開通。幅約6メートルの街路を44メートルにも広げ、道路下に地下鉄を敷設する事業は、沿道に負担金まで求める多大な犠牲の上に成り立っており、今の日本では実現不可能であろうし、当時でもものすごい非難があったようだが、今や永世の供用に堪える立派な都市インフラをよくぞ造り上げたと誰もが絶賛する。東海道新幹線もその仲間に入りそうな、公共事業とは何かを考えさせられるもの。
この駅弁は駅弁業者の事業停止により、2010年4月19日までに失われてしまった。
※2010年4月補訂:終売を追記2019(令和元)年の夏に発売か。ふたには大阪城と樹木と「上等辨當」の文字があり、古風なものに見える。9区画の中身は、生姜飯と五目飯とちらしずしと海老天むすで4種もの御飯に、カボチャや蓮根などの煮物、肉団子にシイタケなどの煮物、焼サバと玉子焼、にんじんきんぴらとひじき煮、きんぴらごぼうと酢の物。関西との関わりは、よくわからない。内容の偏りが興味深い。駅で買えた水了軒の弁当のほとんどは、2021年春頃にまとめて終売か。
※2022年4月補訂:終売を追記2012(平成24)年か、それ以前の発売か。新幹線の新大阪駅と京都駅で売られる駅弁。9区画のマス目の中に、ゆかりめし、かやくめし、黒米飯で3種の御飯と、鶏唐揚とブロッコリー、コロッケとスパゲティ、焼き魚と薩摩揚げと玉子焼、レンコンやカボチャなどの煮物、タケノコ煮と春雨サラダ、ゴボウの甘辛煮と柴漬け。
コンビニ弁当やファストフードと価格を比べられてはたまらないが、大都会での800円台の駅弁でこれだけ中身が賑わうのならば、かなりお得。形ではなく機能としての幕の内駅弁。価格は2013年の購入時で840円、2014年から860円。2015年までの販売か。
※2016年12月補訂:終売を追記新幹線の京都駅と新大阪駅で2009(平成21)年10月15日に発売。その前日に農林水産省近畿農政局から発表された「地産地消駅の弁当メニューコンテスト」の結果において、近畿農政局長賞を得た8種の駅弁のうちのひとつである。滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山の各府県の略地図と、1から2個の名所や食材をふたの表や裏に描いた専用のボール紙製容器を使う。
黒いプラ製トレーに詰められた中身は、かやくご飯に近江牛メンチカツ、筑前煮、出汁巻き玉子、ダイコンとなす、水菜と揚げのおひたし、タクアンなど。表面のおしながきと裏面の材料紹介のとおり、近畿地方の食材をふんだんに使ったそうな。分量も価格もコンセプトもパッケージも、旅先で買って食べる駅弁として優れていると思う。価格は2009年の発売時や2010年の購入時で950円、2015年時点で980円、2020年時点で1,000円。2022年の秋に終売か。
※2023年4月補訂:終売を追記2002(平成14)年の秋に発売。東京、名古屋、京都、新大阪の各駅で用意された新幹線駅構内限定弁当の、新大阪駅バージョン。以前と異なる松花堂タイプの発泡材正方形の容器に、掛紙を兼ねたボール紙のふたをかけて、まるごとラップで包む。季節で変わる中身は、購入時には鯖と海老と鯛の押寿司、ひょうたん型白御飯に塩昆布、蛸煮に鶏治部煮に太刀魚塩焼に蒲鉾や玉子焼、湯葉巻や煮物など。良い物が入っていると思うが、中身にすき間が多い駅弁は淋しく見え、購入日には夜遅くまで売れ残っていた。現存しない模様。
※2015年9月補訂:終売を追記JR西日本の駅弁キャンペーン「駅弁の達人」の実施に伴い、2004(平成16)年5月から2005(平成17)年3月まで販売された期間限定駅弁。同じ名前の駅弁が、1987(昭和62)年のJR各社の発足時にも販売されていたらしい。正方形の容器を使用、中身は3×3で九分割され、鮭と鯛のラップ包み手まり寿司が一個ずつに赤飯が御飯で、おかずにたこ焼きや肉じゃが茶巾など、その内容が掛紙にイラストとなって記される。2004年度JR西日本「駅弁の達人」対象駅弁で、京都駅でも販売。
枠にトレーを接着した華奢な容器を、京の町のシルエットを印刷するエンボス調な掛紙で包みマジックカットで留める。9区画の中身は、白・赤・黄色(五目飯)で3色の御飯に、煮物各種、海老とピーマンの天ぷら、鯖竜田揚、玉子焼に付合せ。味は良かったのだが、容器の薄さはコンビニ弁当を思わせるし、新大阪駅構内で駅弁のように売られる弁当が「京風」で京都の調製であるところに、違和感を覚えたところ。2009年頃までの販売か。
1987年の国鉄分割民営化で生まれたJR旅客鉄道6社のうち、JR東日本、JR東海、JR西日本の本州3社はそれぞれ、駅構内で弁当を販売する100%子会社を抱え、いずれも新幹線駅で駅弁と思わせる弁当を販売し、その一部は立派な駅弁であり百貨店の駅弁大会にも声がかかる。一方で、それらの弁当のうち少なからずが、駅弁というよりはむしろコンビニ弁当ではないかと思えるものである。鉄道利用の観光旅行客は駅弁に、地域色や素朴感ないし高級感を多く求めていると思うので、このような商品が旅行者がとても多いターミナル駅の、しかもJR系ということで抜群の立地を与えられた売店で売られることで、駅弁の印象を悪くしてしまわないか不安に思う。
※2015年9月補訂:終売を追記正方形の容器に透明なふたと掛紙をかけてマジックカットで留める。中身は俵飯・ちらし・炊込と三種の御飯に、焼き魚・蒲鉾・玉子焼と幕の内駅弁三種の神器、有頭海老や昆布巻や松茸里芋のような見栄えのする食材に、鴨巻?や湯葉和えのような京風を感じる食材も入る。朱色の容器も含め見栄えが味を引き立てる。
但し、掛紙や容器に調製元の情報がまったく記されていない。新大阪駅で販売されていたのに「京都弁当工房」の箸袋が付くのも駅弁らしくない。どうやらJR西日本の飲食子会社が京阪神地区の新幹線駅で販売する、中身は駅弁らしいが販売形態はむしろコンビニ弁当やホカホカ弁当と呼べる駅弁もどき弁当の模様。つまり、駅弁ファンが買うとがっかりするタイプの商品。普通の人は駅弁と誤認すると思う。