高速道路のサービスエリアで買えたお弁当。楕円形の赤いプラ容器を、お祭りのちょうちんとおみこしを描いたボール紙のパッケージに収める。中身は酢飯の上を錦糸卵で覆い、有頭海老、ママカリ、有頭海老、サワラ、アナゴ、しいたけ、レンコンなどで覆うもの。
岡山の名物駅弁「祭ずし」と同じ名前と内容と風味なのは、製造者が岡山の駅弁屋であるから。しかし、駅でも高速道路でもドライブインでも同じ弁当を売る駅弁屋が多い中で、ここでは駅弁とまるで異なるパッケージと容器を使っていることが興味深い。お値段も駅弁より控えめ。
高速道路のサービスエリアで買えたサバ棒寿司。2003年の空弁ブーム以降は焼サバ寿司に押されがちな、焼かない酢締めのサバをコシヒカリの酢飯に合わせた棒寿司が、カットされずに密封されずに1本、竹皮を模したボール紙の箱に収まる。通信販売対応商品。
少量で高価な商品にも感じるが、身なりの整った見た目に美しい、けばけばした飾り気や宣伝色のない、今時に珍しい真面目な棒寿司。調製元の真庭市は鉄道でいうと姫新線中国勝山駅付近ということで、吉備サービスエリア近くの岡山駅ないし吉備線備前一宮駅からはずいぶん遠い気がするが、自動車道路の強力な整備が続く現在では、クルマでたったの1時間の距離である。
岡山駅から電車で4駅17分、山陽本線が伯備線を分ける駅。倉敷市は岡山県の南部で瀬戸内海に面した、人口約47万人の都市。江戸時代に幕府の代官所が置かれ物資が集積、瀬戸内海の干拓で水田や塩田が広がり、明治時代は繊維産業、第二次大戦後はコンビナートで栄える工業都市。美術館と古い町並みの倉敷美観地区などの観光資源も抱える。駅弁は伯備線全通後の1930(昭和5)年の発売で、1995(平成7)年頃に撤退、以後は岡山駅の駅弁が売られたが、それも今はない。1891(明治24)年4月25日開業、岡山県倉敷市阿知一丁目。
入手状況から1987(昭和62)年7月8日11時の調製と思われる、昔の倉敷駅弁のふたの一部。倉敷美観地区の大原美術館と、翌1988(昭和63)年4月に開通する瀬戸大橋のイラストを描く。倉敷駅では1930(昭和5)年から駅弁が売られていたが、特段の名物駅弁を持たないまま、調製元が1995(平成7)年頃に駅弁から撤退し、以後は岡山駅の駅弁が売られた。
岡山駅から電車で約30分。和気町は岡山県の東部に位置する、人口約1.3万人の町。江戸時代に山陽道の宿場町や吉井川の河港があり、明治時代に鉄道が通じた。駅弁は1902(明治45)年から1970年頃まで売られた。1891(明治24)年3月18日開業、岡山県和気郡和気町福富。