東京駅から新幹線で約5時間。福岡市は福岡県の西部で玄界灘に面する、人口約160万人の城下町かつ港町。政令指定都市かつ福岡県の県庁所在地で、九州の鉄道や経済の中枢である大都市。駅弁は主に新幹線ホーム、新幹線コンコース、改札外の東西自由通路の売店で、地元や九州一円や西日本のものが多種売られる。1889(明治22)年12月11日開業、福岡県福岡市博多区博多駅中央街一丁目。
2023(令和5)年10月2日に博多駅と小倉駅で博多松栄軒が発売し、同年秋のJR九州の駅弁キャンペーン「第14回九州駅弁グランプリ」にエントリー。中身の写真を美しく載せた掛紙には、2010年に廃業し2018年に広島駅の駅弁屋が継いだはずの、かつての博多駅の駅弁屋「寿軒」の名が見える。真っ黒な長方形の容器にとりめしを詰め、錦糸卵で覆い、福岡柳川風鰻蒸しというウナギの蒲焼きを載せ、つぼ漬けを添える。今は貴重な、今では比較的安価でないかと思う、普通のうなぎ駅弁。柳川風とそうでないものの違いは、ここにはないと思う。
商品名は食品表示では「呼子萬坊のいかしゅうまいと鮭弁当」とある。2023(令和5)年の12月までに博多駅で発売か。2018年1月限りですべての弁当の販売を終了した、佐賀県呼子のいかしゅうまいと海中レストランで知られる萬坊が、駅弁売店で博多駅に戻ってきた。ただし調製元は萬坊でなく、博多駅や福岡空港に弁当を卸すグルメトラベラーとなっている。
長方形の容器の中央に、白飯を錦糸卵で覆い小さな焼きサーモンを置くプラ用意を据え、その左右を2個ずつのいかしゅうまいと揚げしゅうまいで固め、たれ、練りからし、かぼす果汁を添える。イカその他のおかずも詰めた過去のものとは異なる、大粒でシンプルな焼売弁当になった。
2023(令和5)年10月2日に博多駅と小倉駅で博多松栄軒が発売し、同年秋のJR九州の駅弁キャンペーン「第14回九州駅弁グランプリ」にエントリー。加えて日本鉄道構内営業中央会の「駅弁マーク」制定35周年を記念し、会員のうち29社が主に11月10日から期間限定で販売した31種類の記念駅弁のうち、鹿児島中央駅の駅弁屋のものとして、11月10日に鹿児島中央、博多、東京、新大阪の各駅で松栄軒が発売。両キャンペーンのプレスリリースでの写真を見比べる限り、両者はまったく同じ商品である模様。櫛田神社と博多祇園山笠を描いたと考えられる、中身の写真を掲載した掛紙には「松栄軒」のロゴを記す。
平たく浅い9区画の容器に、高菜めし、辛子めんたいめし、かしわめしで3種類の御飯と、さば照り焼き、がめ煮、屋台餃子、ホルモン焼、焼き鳥と玉子焼、はりはり漬けと花餅を詰める。これを九州駅弁グランプリでは「博多の人気惣菜をぎっしり詰め合わせた駅弁」と紹介し、駅弁マーク35周年では「博多の屋台をイメージして多彩な博多料理を幕の内風に」と紹介した。賑やかでよいと思う。
2012(平成24)年までに博多駅で発売、2013年10月のJR九州の駅弁キャンペーン「第10回九州駅弁グランプリ」にエントリー。たしかに平たいプラ容器が2つ重ねられ、正方形の掛紙と透明なフィルムに包まれる。中身は下段が御飯で、山菜飯と3種のふりかけ御飯か。上段がおかずで、玉子焼と有頭海老と煮豆、ささみロールフライと赤魚西京焼とわらび柚子菓子、しいたけとししとうの天ぷらに辛子きくらげ、レンコンやがんもなどの煮物。「博多の美味しい」「いっぱい詰まった」中身の解説が欲しいところ。価格は2013年時点で840円、2019年時点で870円、2022年時点で1,000円。
2021(令和3)年の夏までに博多駅で発売か。説明が何もないけれど、掛紙の絵柄は中身の写真と、博多どんたくとひょっとこ面、博多祇園山笠、福岡藩黒田長政の兜、節分のお多福面だろう。6区画の中身は、白飯に明太子、醤油飯に錦糸卵と花れんこん、チーズインカレーコロッケとエビフライ、牛焼肉、鮭焼とブロッコリー、きんぴらごぼうと三色団子。お弁当カップの色を含め、いろんな色でお祭りを表現したのかどうか。つまみやすい軽食の弁当。
2011(平成23)年の新規開発で、同年10月のJR九州の駅弁キャンペーン「九州駅弁グランプリ(第8回)」にエントリー。駅弁の名前を記した専用のボール紙ふたには、花笠か山笠の女性を描いたか。中身は白御飯とかしわ御飯と味御飯、かに爪フライ、鶏ごぼう巻、明太子、有頭海老、ちぎりてん、塩鮭、玉子焼、焼売、蓮根や椎茸などの煮物、紅あずま、蕨餅。明太子とかしわめしがあれば、博多でなくても北部九州の味に見えてくる。御飯もおかずも種類のある、おつまみ弁当。価格は2011年の発売時で1,050円、2014年4月の消費税率改定で1,080円。
2000年代までには博多駅で発売か。八角形のプラ容器を包む大きな掛紙の絵柄に、駅弁らしい要素は見あたらない。中身はちらし寿司とチキン南蛮巻で2種類の御飯に、焼鮭とかまぼこと玉子焼、カボチャやコンニャクなどの煮物、串カツとおくら海鮮詰フライと椎茸えび詰フライ、きんぴらごぼうと大根漬、中華春雨とびわとチェリー。これはおつまみ弁当か、みんなでレジャーなお弁当の1人前か。上等幕の内駅弁の御飯を変えたような感じ。調製元は鳥栖駅の駅弁屋で、この駅弁は鳥栖駅で売らず博多駅へ卸す。
博多駅の駅弁売店「驛辨當」での「旅ものがたり九州七つ街道めぐり」キャンペーンに伴い、2013(平成25)年2月1日に発売された7種類の駅弁「唐津街道」「豊後街道」「長崎街道」「島原街道」「人吉街道」「日向街道」「薩摩街道」のうちのひとつ。調製元は鳥栖駅弁の中央軒だが、博多駅でのみ売られる駅弁。食品表示ラベルでの商品名は「七つ街道めぐり 長崎街道」、レシートでの表記は「長崎街道弁当」。
掛紙には上記7街道の略図と、長崎街道の路線図と、小倉城、かしわめし、しゅうまい、ようかん、ムツゴロウ、角煮、ビワにみえる、沿線の名物らしきアイコンを描く。正方形の容器の真ん中にかしわめしを、鶏飯を鶏フレークと錦糸卵と刻み海苔で覆う御飯を据え、周囲を角煮、カボチャや蓮根などの煮物、鳥栖の焼麦(しゃおまい:焼売)、わさび漬け、有頭海老、牛焼肉などのおかずと、ビワやようかんなどの甘味で囲む。小倉城とムツゴロウ以外のアイコンが、ちゃんと入っていた。
2021(令和3)年に博多駅で発売か。「博多弁」「バター醤油風味」の修飾語を付けた掛紙には、中身のイメージ写真を控えめに載せる。長方形のプラ容器に白飯を詰め、錦糸卵と高菜だと思った野沢菜で覆い、焼き鯖めんたいを載せ、大根の漬物とうぐいす豆を添える。そのまま食べた後に、かき混ぜることを推奨する掛紙の記載に気が付いた。鯖に明太子を挟んで醤油バターで焼きあげた洋テイストのお弁当といい、食べれば味の異色に気が付くかも。
2018(平成30)年に博多駅で発売か。「博多弁」「大きな明太子と高菜のせごはん」などの修飾語を付けた掛紙には、中身のイメージ写真を美しく載せる。惣菜向けな浅くて平たい正方形のプラ容器で、白飯を高菜炒めと錦糸卵と辛子明太子で覆い、鶏肉の博多味噌焼きと黒ゴマチキンカツを据え、ポテトサラダとソースと漬け物を添える。高菜と辛子明太子で博多の二大名物とするらしく、それらの食べ応えがあるとともに、2種の鶏肉もメインディッシュに感じる、貪欲な内容。
価格は2018年の発売時で1,180円、2022年の購入時で1,280円、2024年9月のJR九州の駅弁キャンペーン「第15回九州駅弁グランプリ」へのエントリー時で1,380円。
※2024年9月補訂:値上げを追記2011(平成23)年10月に博多駅で発売か。同年のJR九州の駅弁キャンペーン「九州駅弁グランプリ(第8回)」にエントリー。容器も真っ赤な掛紙のデザインも、正方形の9区画でできている。中身は山菜、日の丸、ちらしずしで3種の御飯に、カニ焼売と辛子高菜炒め、金平蓮根と切干大根と有頭海老、白身フライマリネ、串カツと鶏唐揚、焼き鯖と玉子焼と金時豆、筑前煮と肉団子。博多らしさ、あるいは福岡らしさか九州らしさがあるかもしれない、賑やかな内容。博多駅の駅弁売店「駅弁当」での人気商品と聞く。
価格は2011年の発売時で945円、2015年時点で980円、2021年時点で1,000円、2022年時点で1,200円、2024年9月のJR九州の駅弁キャンペーン「第15回九州駅弁グランプリ」へのエントリー時で1,500円。
※2024年9月補訂:値上げを追記2013(平成25)年に博多駅で発売か。正方形の掛紙も容器も、大きめなつくり。掛紙に見事な写真とお品書きで紹介される中身は「さばバッテラ寿し 穴子押寿し めんたい飯 サザエつぼ焼 サゴシ柚庵焼 海老八方 花蒲 なます さつまあげ 玉子焼 がめ煮 ぜんまい 松笠いか 青唐 他」とある。これはまるで料亭の仕出しかお土産か、おつまみ向けの味覚に優れた視覚で訴える、上質なお食事。
調製元は料亭でも駅弁屋でもなく「高齢者事業所向け配食」を名乗る。価格は2013年時点で1,080円、2018年時点で1,280円、2022年時点で1,380円、2024年9月のJR九州の駅弁キャンペーン「第15回九州駅弁グランプリ」へのエントリー時で1,480円。
※2024年9月補訂:値上げを追記2020(令和2)年の発売か。現物から読み取りにくいが、駅弁の名前は「九州一周玉手箱」とされることがある。2022年のJR九州の駅弁キャンペーン「第13回九州駅弁グランプリ」にエントリー。この調製元はかつて「オール九州玉手箱」という駅弁を販売しており、あるいはこれのリニューアルかもしれない。楕円形の容器に、鶏めし、わかめ、明太子の球形おにぎり各1個を並べ、鶏唐揚、玉子焼、花かまぼこと、かぼちゃ、さつまいも、れんこん、オクラ、パプリカ、大根桜漬も詰める。地元の駅弁であることに違いないが、博多、福岡、九州らしさをほぼ持たない、きれいなお弁当。価格は2022年の購入時で1,020円、2023年時点で1,090円。
※2023年7月補訂:値上げを追記2017(平成29)年までに発売か。調製元の団体・旅行会社専用弁当に同じ名前の商品があり、それを駅弁らしく仕立てたものかもしれない。商品名に市松模様のふたには、「16種類のごはんとおかずを楽しめる色鮮やかなお弁当です。」と書いてある。中身はそのとおり13区画に16種類あり、かしわ、ちらし、高菜載せ、明太子載せで4種類の球形御飯に、ポテトサラダ、イカリングと紅葉夫、昆布の結びとがんも、鶏唐揚、帆立風味フライ、きんぴらごぼう、焼鮭、海老とサツマイモ、オレンジとチェリー、玉子焼、ちぎり天、海老風味しゅうまい。これは賑やかな、おつまみ弁当。
2021(令和3)年の夏までに890円で発売か。駅弁の名前は公式には「HAKATAトリオ弁当」らしいが、現物にその表記はなく、「HAKATAトリオ」なのか「THEおかず三種の神器」なのか、食品表示ラベルの「トリオ弁当」なのか分からない。三種の食材の名前とイラストを描いた真っ赤な掛紙に、「ト」リのからあげ、プ「リ」ップリのエビフライ、「オ」おきなハンバーグと書かれるとおり、中身は鶏唐揚とエビフライとハンバーグ、加えてフライドポテトとスパゲティとブロッコリーとにんじん、もやしと柴漬けと白御飯。駅弁では「洋食弁当」の名が付く内容だろう。味はみたまんま。
駅弁の名前は「九州トリップ弁当」とも。2020(令和2)年の夏までに、博多駅や小倉駅などで発売か。各社から時々出てくる、全九州の食を詰め込んだ博多駅弁の、博多松栄軒バージョン。専用の紙箱には沖縄を含む九州8県の地図がデザインされる。9区画の中身は、長崎とする角煮と玉子焼、宮崎とする鶏の炭火焼、福岡の福鯖と熊本の高菜、福岡とするかしわ飯、佐賀牛めし、福岡とする辛子明太子と白飯、鹿児島とする黒豚焼売、熊本とする馬肉コロッケ、沖縄のゴーヤのフライと大分のとり天。
予備知識でお品書きを読めば、内容としてはそうなのだろうと思うけれど、食べれば九州らしい味は高菜だけに思える惣菜弁当。その点で新幹線の旅行者が列車内で無難な弁当あるいはおつまみとしていただくのに、適した形態かもしれない。価格は2022年の購入時で1,150円、2023年時点で1,250円。
※2023年7月補訂:値上げを追記2000年代頃の発売か。鳥栖駅の駅弁屋がつくる博多駅の駅弁。お揚げに飯を詰めて錦糸卵と明太子片を載せた明太いなりが2個、鮭飯を高菜で巻いた高菜巻おにぎりが2個、あとは煮豆、焼サバ、かまぼこ、玉子焼、五目揚げ豆腐、シイタケ煮。和風おにぎり弁当といった落ち着いた雰囲気で、朝飯に合った。博多曲物と書くと福岡の伝統工芸になるが、容器や中身は「わっぱ」でないし、関連を感じられない。価格は2010年時点で720円、2015年時点で740円、2023年時点で760円。
※2023年7月補訂:値上げを追記2019(令和元)年の8月までに発売か。白飯を海苔で覆い、焼鮭と辛子明太子とちくわ磯辺揚でさらに覆い、玉子焼とポテトサラダを添える、シンプルで豪快な海苔弁当。中身の写真でできている掛紙では、「博多弁」「博多駅限定」「博多の贅沢」と、博多を繰り返し強調する。価格は2019年の発売時で860円、2020年の購入時で1,080円、2024年時点で1,200円、9月のJR九州の駅弁キャンペーン「第15回九州駅弁グランプリ」へのエントリー時で1,280円。
※2024年9月補訂:値上げを追記2019(令和元)年の5月までに発売か。駅弁の名前は「博多の味やまや特駅弁」とも。専用の紙箱には電車と福岡ドームと福岡タワーを描いたのだろうか。6区画の中身は、白飯と辛子明太子、「がめ煮」という筑前煮のようなもの、鶏そぼろ飯、鶏皮餃子にチキンカツ、焼サバに玉子焼に牛肉煮、酢の物とゆず大根。明太子の存在感が薄い、賑やかなお弁当。調製元の博多いもっ子屋は、以前に天神のバス弁を調製していた惣菜店で、2017年頃から博多駅の駅弁売店に弁当を卸し始めたらしい。
2018(平成30)年8月7日に博多駅で発売。兵庫県の西明石駅弁「ひっぱりだこ飯」の発売20周年を記念した企画の第1弾として、この駅弁の福岡版を制作したそうな。見た目や内容や風味は、西明石駅弁とほとんど同じ。福岡版ということで、掛紙に博多祇園山笠を描き、中身に辛子明太子を加えた。価格は2018年の発売時で1,100円、2023年時点で1,200円。
2007(平成19)年までに発売か。竹皮編みの長方形の容器に、中身の写真を掲載した掛紙を巻く。透明なトレーに収まる中身は高菜、明太子、しそ、かしわ、野沢菜の円筒形御飯が1本ずつと、焼サバ、ホタテフライ、玉子焼、シイタケやサトイモなどの煮物、ウインナー、わさび菜、昆布巻、ぎんなんが建ち並ぶもの。つまりおむすび弁当。見栄えも分量も価格も風味も、おにぎり駅弁の最高峰かと。
発売当時の調製元はドゥイットナウ。同社の破産により博多駅弁の寿軒が引き継いだようだが、寿軒もまた2010年限りで廃業したため、2011年からは鳥栖駅弁の中央軒が同じものを作る模様。駅弁の名前や中身は変わらないようだ。価格は2010年の購入時で840円、2015年時点で870円、2023年時点で900円。
※2023年7月補訂:値上げを追記2018(平成30)年の夏までに発売か。正方形の容器の大部分に白飯を詰め、かつおぶしと海苔で覆い、小粒な梅干しと明太子を載せ、玉子焼、れんこん、揚げちくわ、サツマイモ、鶏唐揚を添える。御飯がおいしい海苔弁当だった。調製元は福岡市内で仕出しを行う和食店で、2018年までに博多駅の駅弁売店に弁当を卸すようになったらしい。2020年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記調製元の博多駅弁への進出に合わせて、2018(平成30)年の冬までに発売か。正方形の9区画に、高菜、かしわ、明太子で3種の御飯にいかしゅうまい、焼鮭と玉子焼、筑前煮、鶏唐揚、大根漬、わらび餅という、ほのかな福岡感。
ネットで調べると、この駅弁は過去にはジェイアールサービスネット福岡の商品だった模様。やはり同社の調製所が、広島駅の駅弁屋である広島駅弁当に移管され、ここが設立し博多駅の駅弁屋とした博多寿改良軒の駅弁になったのかと思った。2020年の春頃までに終売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2019(平成31)年1月の阪神百貨店の駅弁大会で、博多駅の駅弁として販売。調製元のロゴマークのみを記すふたや掛紙では商品名をうかがい知れないが、底面の食品表示ラベルでは「穴子弁当」、百貨店のチラシには「豊洲伝助穴子のふわとろわっぱ膳」とあった。丸い容器に穴子飯を詰め、錦糸卵やちりめん山椒やアサリで覆い、国産天然伝助あなごを載せる。駅弁よりも淡い味のアナゴ飯。博多駅で買えるのかどうかは分からない。この催事以外で売られたのかどうかも分からない。
※2020年5月補訂:終売を追記2019(平成31)年1月の阪神百貨店の駅弁大会で、博多駅の駅弁として販売。エビ、ウナギ、カニ&イクラ、肉&柴漬け、じゃこ&タケノコの、中身を見せた稲荷寿司を5個詰めて1,296円。おしゃれだけれども、激しく高価。それに、本当に博多駅で買えるのかどうかは分からない。現物に食品表示がなく、調製元は不明だが、ふたのシールに「TAKEMOTO」とあるため、福岡県小倉の寿司竹本ではないかと思われる。この催事以外で売られたのかどうかも分からない。
※2020年5月補訂:終売を追記2018(平成30)年の春までに発売か。コンビニ弁当風のプラ容器に、掛紙の機能を持つカラーコピーの紙帯を締める。中身は笹巻きと梅&ひじきの手まり飯が1個ずつと、細巻き大のおいなりさん2本、鶏唐揚、奈良漬、プチトマト、らっきょうなど、そして串に刺さった玉子焼と明太子焼、メヒカリ唐揚、薩摩揚、タマネギなど。九州をテーマにした創作だと思うのだが、商品に解説がなく、紹介例も皆無。どんなコンセプトで開発したのか聞いてみたいところ。2019年までの販売か。
※2020年4月補訂:終売を追記2018(平成30)年1月の京王百貨店の駅弁大会と阪神百貨店の駅弁大会で輸送販売。現地やその他の場所で売られたかどうかは分からない。丸く黒く硬いプラ容器に、ふぐ炊き込みご飯を詰め、ふぐの唐揚げ2本、ふぐ皮入りつみれ2個、明太子、錦糸卵、紅生姜、山菜などで覆う。駅弁の名前は「ふく」でなく「ふぐ」と濁っていた。上記の催事以外で売られたかどうかは分からない。
※2020年5月補訂:終売を追記2018(平成30)年1月の阪神百貨店の駅弁大会で実演販売。現地でもデビューするかと思ったら、調製元が大会の直前に1月限りですべての弁当の販売を終了すると告知し、この商品はただちに疑義駅弁となってしまった。4区画の中身は、焼きイカ丼、イカソーメン丼、いかしゅうまいなど、イカの揚げ物という、この調製元ならではの、常温弁当向けイカ創作づくし。掛紙には調製元と佐賀県呼子が誇る海中レストランを描いた。この弁当が博多駅や唐津駅で売られないとは、本当に惜しいと思った。調製元は駅弁から撤退したが、駅弁を始める前からの売店や食堂は健在。
2016(平成28)年までに博多駅や新大阪駅で発売か。標準的な鰻重の駅弁。白御飯を錦糸卵で覆い、ウナギの蒲焼きを並べ、つぼ漬けとタレを添える。ウナギがちゃんと御飯を覆う、特徴のない範囲でしっかりした駅弁。現存しない模様。2017年の購入時の調製元である博多松栄軒は、鹿児島県出水駅の駅弁屋が2017(平成29)年10月に福岡市で事務所と工場を開設し会社組織にしたもの。
※2022年4月補訂:終売を追記2015(平成27)年までに博多駅で発売か。博多駅や小倉駅で各社が出している、訪れる度に品揃えと見栄えが変わる辛子明太子の駅弁のひとつ。駅弁の名前を大きく書く掛紙を巻いた容器の中身は、白御飯、玉子焼とサツマイモとゼンマイ、豚角煮、レンコンやシイタケなどの煮物と薩摩揚、ダイコンとゴボウと油揚げ、カップ入り辛子明太子。辛さはそうでもなし。2018年までの販売か。
※2020年4月補訂:終売を追記2016(平成28)年の春までに発売、同年10月のJR九州の駅弁キャンペーン「第12回九州駅弁グランプリ」にエントリー。楕円形の容器に、中身の写真を使う華やかな絵柄の掛紙を載せ、ラップでぴったり包装する。中身は日の丸御飯とカンピョウ飯、炙り海老の蓮根巻、牛すき焼、ムール貝、魚コロッケ、甘鯛の西京焼き、イカ黄身焼、ナスの挟み揚げ、玉子焼など、なかなかの華やかさ。容器は翌年に正八角形へ変わった模様。2019年頃までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2014(平成26)年10月までに、従前の駅弁「呼子名物やりいか重箱仕立て」をリニューアルし、JR九州の駅弁キャンペーン「第11回九州駅弁グランプリ」にエントリー。酢飯を板状のイカ煮とイカの炙りやイカ天などで覆い、イカしゅうまい、茎わかめとイカのマヨネーズ和えを添える。引き続きイカづくしの駅弁で、弁当なのに首都圏の回転寿司のイカは何なんだと思わせるような、新鮮な雰囲気を残す淡い味と歯応えは健在だった。調製元が博多店の閉店に合わせて弁当の販売をやめることになり、2018(平成30)年1月28日限りで終売。
2014(平成26)年1月から翌年3月頃までの販売か。きっと、2014年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の放送に合わせて売られたのだろう。福岡県や福岡市などが大河ドラマのために設けた「「軍師官兵衛」福岡プロジェクト協議会」のキャラクター「ふくおか官兵衛くん」の姿が、パッケージに見える。中身は醤油や生姜の炊込飯を、錦糸卵、明太子、高菜漬のストライプで覆い、レンコンやタケノコやイカなどの煮物と、鶏とハモの唐揚げ、玉子焼、梅甘露煮などを添えるもの。コンセプトは分からなかったが、ボリュームたっぷりのお弁当だった。
博多駅の駅弁売店「驛辨當」での「旅ものがたり九州七つ街道めぐり」キャンペーンに伴い、2013(平成25)年2月1日に発売された7種類の駅弁「唐津街道」「豊後街道」「長崎街道」「島原街道」「人吉街道」「日向街道」「薩摩街道」のうちのひとつ。調製元は鹿児島県出水駅弁の松栄軒だが、博多駅でのみ売られる駅弁であると思われる。
人吉の街道と名物を描く掛紙を巻く、細長い容器の中身は、味付飯を錦糸卵で覆ってウナギ蒲焼を載せる御飯と、桜島鶏の照焼、薩摩揚げ、アユ甘露煮、ダイコンやレンコンなどの煮物、クリ、玉子焼、つぼ漬などのおかず。せっかくのキャンペーンなので、売店でも掛紙でももっと、コンセプトを語って欲しかったと思う。2014年限りで終売か。
※2017年2月補訂:終売を追記JR九州の2012(平成24)年度のキャンペーン「第9回九州駅弁グランプリ」に向けて、同年10月に博多駅の商業施設で販売開始。キャンペーンでは翌2013年3月8日の最終投票会で第2位を獲得した。駅弁でもよく見るタイプの長方形の容器に御飯を詰め、錦糸卵やきんぴらごぼうを敷き、高菜と赤カブ漬を挟みながら白い12枚のヤリイカの板で覆い、茎ワカメとイカの和え物といかしゅうまいを添える。
京王百貨店の駅弁大会では、佐賀県の唐津駅の駅弁として販売。たしかに調製元の売店が高架下の商業施設にあり、そこで弁当を受け取ることができる。常温で白く濁る12枚のイカ角板に、駅弁らしからぬ透き通った香りがあり、例えば森駅「いかめし」とのイカ対決を演出すれば、連日の行列ができるのではと思った。価格は2013年の購入時で950円、2014年10月の第11回九州駅弁グランプリの実施に合わせ、「呼子萬坊いか重箱弁当」と改称のうえリニューアルし、価格を1,000円に上げた。調製元が博多店の閉店に合わせて弁当の販売をやめることになり、2018(平成30)年1月28日限りで終売。
※2018年1月補訂:終売を追記JR九州の2011(平成23)年度のキャンペーン「第8回九州駅弁グランプリ」に向けて、同年10月に博多駅の商業施設で販売開始。キャンペーンでは2012年2月24日の最終投票会で第3位を獲得した。デパ地下弁当に使われるような正方形のプラ製の惣菜容器を、裏面に中身の写真付き解説や宣伝文を書いた朱色の掛紙で巻く。
中身はイカ炊込飯、イカのふりかけと有馬煮を載せた白御飯、真っ白なイカ飯、玉子焼といかしゅうまい、ブリ柚庵焼きとスルメイカ一夜干し、イカがんもとイカ白子燻製、紅白なますとシメサバスモーク、いかしゅうまい揚げと魚豆腐、イカウインナーと魚ナゲットなど。イカ以外のお魚も少し入っているが、これでもかというくらいの爽やかなイカ三昧。2013(平成25)年10月に「上等いか三昧」(1,200円)へリニューアルされたという。調製元が博多店の閉店に合わせて弁当の販売をやめることになり、2018(平成30)年1月28日限りで終売。
調製元は佐賀県呼子の観光名所でもある海中レストラン。唐津市呼子町内で3軒の食堂を運営するほか、福岡や佐賀などのデパ地下でイカの弁当や惣菜や土産などを販売する。この商品が初めての駅弁とのことで、駅弁としては博多駅の扱いとなる。この商品を唐津駅で購入したら、掛紙左上に印刷される九州駅弁マークが「萬坊のお弁当」シールで隠されていた。
※2018年1月補訂:終売を追記博多駅には2011(平成23)年に進出か。博多人形の写真と商品名を印刷した黒いボール紙の容器に詰めた12区画分の黒いプラ製トレーに、かしわめし、明太子のせ白御飯、ちらしずし、いなりずし、玉子焼、筑前煮、鶏照焼、鮭塩焼、きんぴらごぼう、くずもち、大根桜漬などを収める。
博多らしさ、九州らしさがあるような、ないような、ごちゃまぜの内容。調製元は福岡市内の仕出し料理屋。容器と箸袋には「博多駅弁 菜加川」とあり、これは2010年限りで廃業した寿軒の後継業者なのだろうか。価格は2012(平成24)年の購入時で950円、2014年4月の消費税率改定で972円。2016年頃までの販売か。
※2020年5月補訂:終売を追記2009(平成21)年までに発売か。長方形の容器に木目柄の発泡材でふたをして、赤いデザインのボール紙でさらにふたをする。中身は1/3が酢飯の上に海苔や錦糸卵やイクラを散らしたもの、1/3がだし御飯の上に明太子スライスを貼り付けたもの、1/3がおかずで沖メダイ西京焼、エビカツ、ミニ棒天、わさび菜など。見ても食べてもキラキラできれいに整った都会の味を感じる。
落語家で駅弁・空弁の本も出版したヨネスケ氏が全国ナンバー2の駅弁に選ぶなど、近年の博多駅弁としては最大の評判を呼ぶヒット作であったが、2010年12月限りで寿軒が駅弁から撤退したため、この商品も現在は買えなくなってしまった。
プラ製トレーの惣菜容器を、駅弁の名前とその記号形状を印刷した掛紙で包む。9区画に分けられた中身は、丸い高菜飯、三角形のゆかりめし、四角形の日の丸御飯、有頭海老にイカ照焼、サトイモ煮やがんもどき、鶏唐揚とブロッコリー、白身魚フライ、ゴボウとしそ昆布、金時豆とパインとチェリー。
奇抜な駅弁の名前の由来や売り文句は現物にも現地にもないが、なるほど御飯の形状で○△□(まるさんかくしかく)なのかと。中身だけ見ればとんがっていない、普通のお弁当。2010年12月限りで寿軒が駅弁から撤退し、以後は小倉駅弁の北九州駅弁当が調製。価格は2010年の購入時で760円、2015年時点で800円。2016年までに終売の模様。
※2020年5月補訂:終売を追記製造業者名を金文字で入れた黒い紙箱に、中身の写真を美しく撮った掛紙を巻いて、セロテープで留める。中身は御飯に焼サバを載せて高菜で巻く棒寿司1本。これを6切れにカットして密封パックにする。風味は見た目のまんま。噛み切れない高菜と薄い焼鯖も、味としては乙なもの。
福岡空港の空弁らしく、一方で駅弁らしくない商品だと思う。実際に製造業者は福岡空港の空弁屋として幅をきかせており、いつの間にか駅弁にも進出していて驚いた。この頃の調製元の「三太郎」の最近の活躍には目を見張るものがあった。2009年の調製元の破産により、現在は売られていないものと思われる。
※2010年12月補訂:終売を追記2004(平成16)年のJR九州の駅弁キャンペーン「第1回九州の駅弁ランキング」で募集した駅弁レシピの優秀賞を、翌2005年10月の第2回に向けて博多駅で製品化。長方形の木目調容器に同柄のふたをして、商品名を大きく書いた青い掛紙をかけて、紙ひもでしばる。中身はカツオだしで炊いた御飯の上に、カツオの甘辛煮を5片載せて紅生姜などで飾り、玉子焼とコロッケと煮物を添えるもの。安くてシンプルで独特な風味は、確かにランキングへ出す価値がある。
2010年12月限りで調製元が駅弁から撤退、この駅弁も買えなくなった。
※2011年2月補訂:終売を追記JR九州の子会社と出前寿司屋が組んだ駅売り弁当ブランド「旅弁(とらべん)」第一弾として、2004(平成16)年5月に発売。中身の写真を載せた正方形のボール紙容器を売店レジに持ち込むと、店員が冷蔵小箱を付けてくれる。中身は本体には白御飯に焼鯖や煮物や牛肉大和煮や玉子焼や切り干し大根や高菜が、小箱には辛子明太子が入る。
中身写真はその明太子を御飯の上に乗せた状態。そんな販売形態からも、激辛の明太子からも、韓国の駅売り弁当を思い出した。一日50個が売れたそうな。この駅弁は2009年の調製元の破産により、現在は売られていないものと思われる。
※2010年12月補訂:終売を追記1960(昭和35)年に発売。九州で唯一の釜飯駅弁で、国鉄時代から売られ、昭和時代には博多駅を代表する駅弁のひとつであったにもかかわらず、平成時代には知名度の薄い駅弁になっていた。ふたも陶製の釜型容器を箱詰めする包装は珍しい。中身は鶏スープで炊いた御飯の上に、刻み鶏肉やタケノコや錦糸卵や栗や海老や椎茸など。うずらのゆで卵を半分にカットして入れるのも、他の駅弁にはない感じ。彩りの感じほど味は悪くなく、価格も控えめ。
2010年12月限りで調製元が駅弁から撤退、この駅弁も買えなくなった。
※2021年2月補訂:発売年を追記JR九州の駅弁日本一キャンペーンの一環として、1987(昭和62)年6月1日に発売。縦横比が1対ルート5くらいの経木枠な長方形の容器を使用、正方形分を仕切りで9区画に分割し、そこに佐賀の菜隠漬、長崎のイワシしぐれ煮、鹿児島の豚角煮など九州各県の味を配置する。残る部分は海色のトレーに九州の形をした御飯が入るが、これも太宰府の部分に梅を、中部の山岳地帯に青海苔を、南部は桜島噴火をイメージして黒ゴマを載せたりも。高価だがこのこだわりが支持され雑誌等での紹介では博多駅の代表的な駅弁の地位を確保するが、現地でふらりと入手できる確率は低い。
この駅弁は2007年10月現在で外観も中身もリニューアルされているようで、価格も1,200円に改訂されている。2010年12月限りで調製元が駅弁から撤退、この駅弁も買えなくなった。
※2011年2月補訂:終売を追記微妙に長方形な経木枠の容器に紙のふたをして大きな掛紙で包み赤い紙ひもでしばる。中身は御飯にうめ、たくあん、おかかの巻物がふたつずつと、おかずには焼鯖や玉子焼に梅花型の蒲鉾や人参に昆布巻や椎茸などと、デザートにさくらんぼとパイン。個人的には梅が嫌いでたくあんが苦手なので参ったが、見栄えと品質の良い駅弁。
駅弁の名前やその中身は、菅原道真が延喜元年(901年)、醍醐天皇により九州の大宰府へ左遷された際、京の自宅の紅梅の詩を詠んだら、その梅の木が道真を慕い太宰府まで一晩で飛んできたという「飛梅(とびうめ)伝説」にちなむ。駅弁の名前と掛紙の絵柄を読み解くには、そんな予備知識が要る。昭和時代には有名な故事だったようだが、今はどうか。
2010年12月限りで調製元が駅弁から撤退、この駅弁も買えなくなった。
※2011年2月補訂:終売を追記博多・長崎間の特急「かもめ」への白い顔の新型車両「白いかもめ」の投入を記念して、2000(平成12)年に発売。正方形の容器の内部は「白いかもめ」のロゴマークにも描かれるかもめをイメージした曲線で仕切られ、桜型の鮭御飯と鶏御飯を左右に、うずらのゆで卵を真ん中に配置、なすの煮物や玉子焼などが入り、購入時では春なのでつくしの和え物も入っていた。
すべて食べ終わると空色の底が出てきて、かもめが大空に舞い上がる、という仕掛け。駅弁のコンセプトがまったく記されていないため、味は良いのに中身が隙間だらけの寂しい駅弁とも見えてしまう。能書きが欲しいところ。新型車両投入前の「かもめ」には帯ひものような真っ赤な色の電車が使われていた。
なお、2006年10月時点で、駅弁の名前と価格を変えないまま中身と容器が全面的に変更されている模様。2010年12月限りで調製元が駅弁から撤退、この駅弁も買えなくなった。
※2011年2月補訂:終売を追記