東京駅から新幹線で約3時間。第二次大戦中に工場労働者のために開業した駅に、1972年に新幹線が乗り入れ、在来線との乗換駅となり、神戸駅の駅弁屋が進出した。1998年に西明石駅の駅弁として発売した「ひっぱりだこ飯」が、関西と日本を代表する駅弁として君臨する。1944(昭和19)年4月1日開業、 兵庫県明石市小久保二丁目。
1998(平成10)年4月5日の明石海峡大橋開通を記念して発売。明石や神戸と関西や日本を代表する、有名で人気の駅弁。関西人ならみんなこのタコツボ容器を持っているといわれる。たこつぼ状の茶色い焼き物容器の中に、明石のタコのうま煮やすり身天ぷらを、醤油味の炊き込み御飯やタケノコ・穴子・松茸・人参などとともにぎっしり詰める。掛紙の裏面に追記されたとおり、明石だこの不漁により、2017(平成29)年5月から瀬戸内海産のタコを使っているという。
好評で定番化した記念駅弁について、普通はレギュラー入りするとその記念文句を削るのに対し、この駅弁はいつまでも明石海峡大橋開通を記念し続ける点がユニーク。2004年度JR西日本「駅弁の達人」対象駅弁。価格は1998年の発売時から長らく980円であったが、2014年4月の消費税率改定で1,000円に値上げ、2017年10月頃から1,080円、2022年3月から1,150円、2023年時点で1,200円、同年夏で1,250円。2017年に累計販売1千万個を達成したとか。
※2023年8月補訂:値上げを追記2004(平成16)年9月5日に購入した、西明石駅弁の掛紙。この絵柄も、容器も中身も、1998(平成10)年の発売当時から変わらない。この年はJR西日本の駅弁キャンペーン「駅弁の達人」が開催されていて、その応募シールが掛紙の上隅に直接印刷された。
2001(平成13)年12月1日に購入した、西明石駅弁の掛紙。当時は「明石名物」でなく「明石名産」ひっぱりだこ飯であった。公式サイトのURLや、「紙」のリサイクル識別表示も、まだついていない。
2022(令和4)年4月28日から5月5日まで、京阪神エリアや東京駅や通信販売などで販売。以後は毎年5月3日から5日まで販売。駅弁の名前は「こどもの日ひっぱりだこだこ飯」とも。5月5日のこどもの日にちなみ、掛紙ではタコが兜(かぶと)をかぶり、タコツボ型の陶器は水色になり、中身にカボチャを加え、ニンジンを兜型にした。掛紙は両面印刷であり、指示どおり組み立てると掛紙のタコがかぶるものができるはず。
2024(令和6)年3月14日に、京阪神エリアや東京駅や通信販売などで発売。駅弁の名前は「自衛隊版ひっぱりだこ飯」とも。掛紙には「コラボ」とあるが、調製元の発表によると自衛隊兵庫地方協力本部に協力を要請したという。ひっぱりだこ飯の陶器も掛紙も陸上自衛隊の迷彩色になり、掛紙のタコは鉄帽をかぶり、73式小型トラックとみられる車両には自衛隊兵庫地方協力本部のマスコットキャラクター「ひょうちん」が乗る。
中身は通常版の「ひっぱりだこ飯」について、春の兵庫県をイメージし、穴子煮をいかなご釘煮に変更しただけ。見た目と違い、中身はおとなしかった。
2024(令和6)年1月12日に、京阪神エリアや東京駅や通信販売などで発売。海上保安庁と調製元とのコラボ企画の3年目。商品名は「海の「もしも」は118番ひっぱりだこ飯[2024年版]」などとされる。2022年版や2023年版で使われた真っ青な壺型容器を、今回は白地に海上保安庁の船艇とS字章を描いたものへリニューアル。青い掛紙の絵柄も、浮き輪と艦艇と着帽のタコと明石海峡大橋を描いたものへ変更。中身は変わらず、醤油飯をタコ煮、アナゴ煮とシイタケ煮の刻み、イカ塩ゆで、タケノコ煮、にんじん煮、菜の花醤油漬、錦糸卵で覆い、丸い揚げかまぼこを底に仕込む。価格はまた180円の値上げ。3月までの販売か。
商品名は「SAVVY(コラボ)ひっぱりだこ飯」とも。京阪神エルマガジン社が発行する月刊誌「SAVVY」と調製元のコラボにより、2022(令和4)年9月23日に西明石駅や新神戸駅などの調製元店舗で、オレンジ色またはブルー色の壺にパエリアを詰めて1,250円で発売。翌2023年9月22日には第2弾として、SAVVYロゴ入りのオリジナル壺にタイ料理「ガパオ」を詰めて、調製元店舗とオンラインストアで1,380円にて発売。今回に阪神百貨店の駅弁大会で買えたのは、その第2弾のもので、3,000個限定とされる。
抹茶色だと思う陶製壺型容器に、淡く薄い色の掛紙をかける。この容器にタイ米混じりの御飯を詰め、しめじとパプリカとタマネギの鶏挽肉で覆い、揚げかまぼこを仕込み、タコ煮と煮玉子を載せる。ジャスミンとバジルの香りで独特の風味を持つ感じはあまりなく、いつものひっぱりだこ飯のタコ飯の雰囲気を、だいたい持っていた。主な読者層を30代女性として1984年に創刊した、スイーツやカフェ、おでかけ・旅行などの情報誌というアプローチで、外国料理の内容を取り入れた駅弁。
商品名は「台鉄友好協定締結記念ひっぱりだこ飯」とも。2023(令和5)年12月8日に、新神戸、神戸、西明石、鶴橋駅などで発売。調製元と台湾の国営鉄道である台湾鉄路管理局との友好協定締結を記念した。既存の駅弁「ひっぱりだこ飯」の陶器が真っ黒になり、「台鐵便當 TR Bento」の文字と台鉄のロゴマークを描き、掛紙には台鉄の駅弁とそのキャラクターと特急電車のイラストがみえる。
中身は通常版のひっぱりだこ飯のうち、タコ煮と椎茸とニンジンと錦糸卵と揚げかまぼこを残し、炊込飯を白飯に替え、菜の花をごま油和えにして、台湾風の魯肉とメンマを加えたもの。台湾の駅弁の味はほとんどしないけれど、文字上では台湾の代表的な駅弁である排骨飯を意識した感じ。台鉄は2024年1月に国営鉄道から国営企業に転換されたが、略称もロゴもキャラも変わらないので大丈夫。
商品名は「駅弁マークのひっぱりだこ飯」とも。2023(令和5)年11月17日に、新神戸、神戸、西明石、鶴橋駅などで発売。日本鉄道構内営業中央会の「駅弁マーク」制定35周年を記念し、会員のうち29社が主に11月10日から期間限定で販売した31種類の記念駅弁のうち、神戸の駅弁屋のもの。既存の駅弁「ひっぱりだこ飯」の陶器が真っ白になり、掛紙はその正方形のサイズいっぱいに駅弁マークを描き、容器にしばった状態でも見えるよう正面にも大きめの駅弁マークを描いた。これで食品表示欄がなくなってしまい、法定の表記を周囲の枠に押し出した。
中身は通常版のひっぱりだこ飯である、醤油味の炊込飯にタコ煮、菜の花、刻み穴子、椎茸、タケノコ、ニンジン、錦糸卵を載せ、揚げかまぼこを仕込んだもののうち、タコ煮を増量したという。お値段を据え置き、各社共通で添付する記念のしおりをこの駅弁に限り正方形のカードとし、全国で最も駅弁マークを記念する駅弁に仕立て上げた。11月10日から当分の間販売。
商品名は「LUPIN ZEROコラボひっぱりだこ飯」とも。2023(令和5)年11月10日に新神戸駅や西明石駅など調製元の各店舗や東京駅とオンラインショップで発売。2022年12月から翌年1月までインターネット上で配信されたアニメ作品「LUPIN ZERO(ルパンゼロ)」の制作元であるトムス・エンタテインメントと調製元とのコラボ。掛紙の絵柄ではアニメの主人公とタコがちゃぶ台を囲み、青いたこつぼ型陶器にはアニメの公式ロゴを描く。
中身は通常版のひっぱりだこ飯である、醤油味の炊込飯にタコ煮、菜の花、刻み穴子、椎茸、タケノコ、ニンジン、錦糸卵を載せ、揚げかまぼこを仕込んだものに、アニメ作品の舞台である昭和30年代にちなみ、ウインナーを追加した。これは東京で買ったので、調製は調製元の東京工場となり、消費期限のラベルに記される。
「LUPIN ZERO」は、モンキー・パンチの連載漫画「ルパン三世」の新作。ルパン三世の原作連載当初の昭和30年(1960年)代を舞台に、ルパン三世になる前の少年ルパンを全6話で描く。ルパン三世は1971年のテレビアニメが後の再放送で人気となり、以後にアニメの新作や映画が何度も作られ、半世紀を得て親しまれる作品となった。
商品名は「Raililとひっぱりだこ飯」とも。2023(令和5)年7月14日に新神戸駅や西明石駅など調製元の各店舗とオンラインショップで発売。JR西日本グループの鉄道専用SNS「Railil(レイリル)」とのコラボ商品。掛紙のタコはスマートフォンを持ち、白いたこつぼ型陶器には鉄道路線図風に描いたタコがいる。中身は通常版のひっぱりだこ飯と同じく、醤油味の炊込飯にタコ煮、菜の花、刻み穴子、椎茸、タケノコ、ニンジン、錦糸卵を載せ、揚げかまぼこを仕込むもの。
JR西日本の100%子会社であるJR西日本イノベーションズは、2022年の鉄道の日である10月14日に、アップル社のiOS用アプリ「Railil(レイリル)」をリリース。鉄道専用SNSをうたい、鉄道写真が投稿でき、そのユーザーランキングが見られ、鉄道コラムを読めるという3つの特徴があるという。2023年6月14日にはグーグル社のAndroid用アプリもリリース。
インターネットの普及から約30年、後にSNSと呼ばれるネット上の交流サービスが広まり始めて約20年、鉄道専用SNSやその類はいくつも出てきたはずが、主にユーザー間のトラブルで、荒れや荒らしが起きて、あるいは管理者が管理できなくなり、その前のパソコン通信の時代からのサービスを除いて定着したためしがないと思う。今回の鉄道事業者大手のものは、どうなることやら。
2020(令和2)年9月の「秋」で初登場した、季節のひっぱりだこ飯の、6月に発売された夏バージョン。6月から8月までの販売か。見た目は普段の「ひっぱりだこ飯」と同じ。掛紙のタコはビーチで麦わら帽子をかぶる。中身はタコ飯とタコ煮とタコボールに、ヤングコーン、みょうが、アスパラを加え、菜の花とタケノコを抜いた。価格は2021年が通常版プラス20円の1,100円、2022年が通常版プラス50円の1,200円、2023年が通常版と同じ1,250円。
2023(令和5)年7月28日に購入した、西明石駅弁の掛紙。上記の「夏のひっぱりだこ飯」と同じ月に買ったので、掛紙もタコツボ容器も中身も味も同じもの。兵庫県神戸の調製元は2022年8月に東京都足立区へ東京工場を設け、東京駅などで売る駅弁を東京で作るようになった。消費期限の表記を現地版の印字でなくシールとし、そこに東京工場の名前と所在地を記した。
通信販売などでの商品名は「兵庫県警版ひっぱりだこ飯」。2022(令和4)年9月15日に京阪神地区と東京駅と通信販売で発売、10月中旬までの販売を予定。調製元と兵庫県警察が協力し、秋の全国交通安全運動の期間に合わせて、西明石駅弁「ひっぱりだこ飯」の特別版を売り出した。いつもの茶色いタコツボ型の陶器が、ここでは白と黒のパトカー色となり、「兵庫県警」「POLICE」とまで記される。掛紙にはタコを取り締まる警察官を描き、この兵庫県・年末の交通事故防止運動に先行し11月29日発売で2023年1月31日まで販売予定の第二弾では「飲酒運転防止」「シートベルト着用」「特殊詐欺防止」を啓発するイラストを描き、それぞれ3種類の掛紙を用意した。
中身は通常版と同じ。醤油飯をタコ旨煮、穴子煮の刻み、錦糸卵、菜の花、椎茸煮、タケノコ煮、ニンジン煮で覆い、たこ天を仕込む。値段は通常版より280円も高いが、ネット通販で即完売するなど、とてもよく売れたらしい。
2022(令和4)年9月17日に購入した、西明石駅弁の掛紙。兵庫県警版ひっぱりだこ飯の第一弾3種類のひとつ。容器と中身と価格は、上記の第二弾を含めすべて同じ。掛紙でタコが運転するオープンカーが黄色い。
2022(令和4)年9月19日に購入した、西明石駅弁の掛紙。兵庫県警版ひっぱりだこ飯の第一弾3種類のひとつ。容器と中身と価格は、上記の第二弾を含めすべて同じ。掛紙でタコが運転するオープンカーが黒い。
2022(令和4)年9月19日に購入した、西明石駅弁の掛紙。兵庫県警版ひっぱりだこ飯の第一弾3種類のひとつ。容器と中身と価格は、上記の第二弾を含めすべて同じ。掛紙でタコが運転するオープンカーが青い。
商品名は「さかなクンひっぱりだこ飯」とも。2022(令和4)年11月12日に西明石駅と「豊かな海づくりフェスタ2022」メイン会場で発売、14日から各地とネット上でも販売。1981(昭和56)年の大分県を皮切りに年1回開催される、農林水産省の外郭団体と都道府県による式典「全国豊かな海づくり大会」の、2022年11月12・13日の第41回兵庫大会の開催にあわせ、開催地の明石市で2013年7月から「明石たこ大使」を務めるタレントのさかなクンと、西明石駅弁「ひっぱりだこ飯」がコラボした。
さかなクンが必ず被る帽子の色にちなみ、ひっぱりだこ飯の陶器を水色と黄色に塗り、掛紙もその色調に加えてタレントのイラストとタイを掲載。中身は醤油飯をタコ煮、タイ塩焼き、菜の花醤油漬け、錦糸卵、刻み穴子煮で覆い、揚げかまぼこを仕込み、タイ型のにんじんを添えるもの。明石のタイにちなんだ、ひっぱりだこ飯の特製版。容器がなくなるまで販売するといい、駅弁催事で積極的に売られる。この時点で10種類以上の「ひっぱりだこ飯」が存在すると思われる。
2022(令和4)年10月14日に京阪神地区と東京駅で発売。鉄道開業150年を記念し、調製元は第一弾「むかしの驛辨當」、第二弾のこれ、第三弾「鉄道開業150年記念箸置き」の記念商品を発売した。西明石駅弁「ひっぱりだこ飯」で近年激増する記念商品のひとつ。
掛紙には新橋駅か横濱駅の150年前の駅舎と、戦後昭和の北九州に特徴的な蒸気機関車の列車を描いた。タコツボ型の陶器は、厚みとざらつきと濃淡を備え、通常版より高級感がある。中身は、揚げかまぼこを仕込んだ茶飯に、タコ煮と刻みアナゴと錦糸卵と菜の花などを載せる普段の姿に、アワビ煮とタイの塩焼きを加えたもの。内容と価格で、豪華版の記念駅弁になった。
日本の鉄道は、明治5年9月12日(1872年10月14日)に、東京府の新橋駅から神奈川県の横濱駅までの区間が公式に開業した日に始まるとした。1922(大正11)年に国の鉄道省が10月14日の「鉄道記念日」を制定し、1994(平成6)年に運輸省が「鉄道の日」に改めた。2022(令和4)年がそれから150年であることにちなみ、同年秋におそらくJRグループ各社の主導で、この駅弁の掛紙にはないが共通のロゴマークを使い、様々な記念の企画が実施された。
2021(令和3)年2月27日から3月3日まで、1,100円で販売。商品名は「ひなまつり版ひっぱりだこ飯」。名物の駅弁「ひっぱりだこ飯」で、初めて出てきたひなまつりバージョン。タコツボ型の陶器は通常版と共用、掛紙のタコは男雛と女雛になり、背景は梅の花と色になり、表題は「〜3月3日は桃の節句「ひな祭り」〜」となった。
中身は茶飯をはまぐり煮、三色かまぼこ串、タコ煮、アナゴ煮とシイタケ煮の刻み、タケノコ煮、にんじん煮、菜の花醤油漬、錦糸卵で覆い、丸い揚げかまぼこを底に仕込むもの。通常版からタコを減らし、ハマグリとかまぼこ串を入れた感じで、その分だけ味が少し柔らかい。2022年は2月26日から3月5日まで1,200円で販売、2023年は3月1日から3日までの販売。
※2023年8月補訂:販売期間を追記西明石駅の名物駅弁「ひっぱりだこ飯」が、節分の恵方巻になったもの。2013(平成25)年までには発売し、節分の当日のみの販売。年に1日のみ販売する駅弁と考えると、昭和時代に年4日のみの販売が知られた高山駅の駅弁「まつりべんとう」を上回る激レア商品に見えて、恵方巻きがコンビニ大手から2000年代に全国へ定着したことで、2010年代には各地の駅弁屋がこのような商品を販売するようになってきている。
透明なプラ容器に、切らずに食べられる太さの海苔巻きが1本。その中身はひっぱりだこ飯と同じで、味付け飯にタコ煮、シイタケ煮、アナゴ煮、タケノコ煮、錦糸卵、そして揚げかまぼこまでも仕込み、掛紙も駅弁と同じ図柄。値段も含めて駅弁がかなり再現された。
今回2022年は「穴子天巻き」(1,080円)「幸福巻き」「牛肉巻き」「かつめし巻き」(各600円)と新発売の「但馬どりのからあげ巻」(800円)の6種類を展開したそうな。節分に恵方と呼ばれる毎年異なる方角を向いて無言で太巻きなどを食べる風習は、大阪あるいは関西では以前からあるそうで、この関西の調製元も2012年以前から駅弁とは別に「節分巻寿司」を販売していたらしい。2023年は1,100円で販売。
※2023年8月補訂:現況を追記2022(令和4)年1月7日に発売。名物の駅弁「ひっぱりだこ飯」のカレー味。この駅弁は上記や下記の亜種と異なり「ひっぱりだこ飯」を名乗らなかった。正方形の掛紙といつものタコ壷がカレー色、ターメリック色になり、「〜蛸壷から漂う異国の香り。新・明石名物ここに誕生〜」とキャッチフレーズも新しい。
中身はバターライス風の炊込飯を挽肉のドライカレーで覆い、タコ煮と野菜を載せ、揚げかまぼこを底に仕込んだもの。やはり「ひっぱりだこ飯」がカレー味になったと考えて違いない。臭いはおだやか、常温に適したつくりで、例えば新幹線の車内で食べても、30年くらい前にビュフェから座席にカレーライスを持ち込んで迷惑だ、といったことにはならなそう。価格は2022年の発売時や購入時で1,200円、2023年の夏までに1,250円。
※2023年8月補訂:値上げを追記2020(令和2)年9月の「秋」で初登場した、季節のひっぱりだこ飯の、12月に発売された冬バージョン。スーパーの駅弁大会にも出荷されているらしいが、販売箇所はかなり絞られるようで、阪神百貨店の駅弁大会でようやく見つけられた。見た目は普段のひっぱりだこ飯と同じで、価格は通常版より20円増しの1,100円。掛紙の絵柄にカニとホタテが加わり、中身にカニ爪とホタテ煮を加え、菜の花を小松菜に置き換え、タケノコとアナゴを抜いた。続いて「春」「夏」も販売。価格は「春」の2022年3月から1,150円で、同時に値上げの通常版と同額になった。2022年冬は1,200円。
※2023年8月補訂:値上げを追記2020(令和2)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。同時に売られた「黄金のひっぱりだこ飯」と違い、これは現地でも買える模様。いつもの陶製タコ壷容器を銀色に染めて、掛紙も銀色になり、その形状や絵柄は通常版と同じ。中身もタコやシイタケを混ぜた醤油飯を詰め、タコ煮、菜の花、刻み煮穴子で覆い、揚げかまぼこを仕込むまでは同じで、加えてギンザケとギンナンで銀を演出した。
この催事では「黄金」とこれと通常版で、3種のひっぱりだこ飯を実演販売。この年の夏には東京五輪が開催予定で、後に政府の新型コロナウイルス感染症対策により開催が延期されてしまったが、催事場では五輪にちなんだと思われるような駅弁が出てきていた。ここでは黄金と銀色と、銅色にも見える通常版を、表彰台のような段違い台に並べた写真を調製元がSNSに投稿しており、なるほどなと思った。半世紀前の東京五輪当時と違い、今は権利が強大なので、五輪に関する記述は催事のチラシにも催事場にも、どこにもなかった。
2020(令和2)年1月1日に発売。西明石駅や神戸や関西や日本を代表する駅弁「ひっぱりだこ飯」の、ハローキティ版。掛紙には通常版の駅弁の名前を記すが、調製元での商品名は「ハローキティ版ひっぱりだこ飯」。ピンク色のタコにキティちゃんが載り、リボンが舞う。陶製の壺型容器もピンク色になり、ここでもキティはタコを抑える。タコやシイタケを混ぜた醤油飯をタコ煮、菜の花、刻み煮穴子で覆い、揚げかまぼこを仕込むのは、通常版と同じ。これにキティ顔のかまぼこを添えた。価格は2020年の発売時や購入時で1,400円、2023年時点で1,500円。
※2023年8月補訂:値上げを追記東宝の映画「ゴジラ」とのコラボレーション企画で、2019(平成31)年1月5日に発売。同月9日からの京王百貨店駅弁大会と、23日からの阪神百貨店の駅弁大会でも販売された。見た目や内容はおおむね、通常版の「ひっぱりだこ飯」と同じ。タコツボ型の陶器が真っ黒になり、容器と掛紙にゴジラを描き、映画の世界観に基づいてタコを焼いたりウズラの卵を入れ、値段は220円増しに1,300円。味に特段の変化はない。この特別版は、過去に出た下記の特別版よりも、話題を集めたと思う。価格は2019年の発売時や購入時で1,300円、2023年時点で1,350円、同年夏の時点で1,380円。
※2023年8月補訂:値上げを追記2019(令和元)年6月29日に購入した、西明石駅弁の掛紙。上記の駅弁「ゴジラ対ひっぱりだこ飯」について、アメリカ映画「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」の公開を記念して、日米での公開日である2019(令和元)年5月31日から8月31日まで、掛紙の絵柄に鳥や芋虫や八岐大蛇、ではなくラドンとモスラとキングギドラを加えた。
2017(平成29)年1月7日に、京王百貨店駅弁大会と西明石駅などでデビュー。西明石駅の名物駅弁「ひっぱりだこ飯」の累計生産1000万個突破を記念し、いつものタコ壷を金色に染めた。併せて駅弁大会の目玉である対決駅弁の二番手「海の幸黄金の弁当対決」として、福井駅、京都駅、姫路駅の駅弁と実演販売で対決した。
中身は通常版とほぼ同じで、味も同じで、よく見るとクリが1個追加されている。容器と掛紙が、本当にキンキラキンで、これはとてもおめでたい。通常版と併売。こちらは主に、駅弁催事向けか。価格は2017年の発売時や購入時で1,280円、2019年時点で1,350円、2023年時点で1,500円。
※2023年8月補訂:値上げを追記駅弁の名前は「アレ入りひっぱりだこ飯」と発表。2023(令和5)年9月15日から21日まで、新神戸、神戸、西明石、芦屋、鶴橋、垂水、三宮の各駅など調製元の直営店とオンラインショップで販売。プロ野球団の阪神タイガースの、セントラルリーグのペナントレースでの優勝を記念し、優勝が決定した2分後に駅弁の発売を発表、その翌日から販売した。後に販売期間は10月1日まで延長された。
黄色と黒の模様でできた掛紙をかけた、「金色」や「黄金」のひっぱりだこ飯と同じ金色のたこつぼ型陶器に、醤油味の炊込飯を詰め、タコ煮、菜の花、刻み穴子、タケノコ、ニンジンを載せ、揚げかまぼこを仕込み、「優勝2023」と書いた玉子焼を詰める。なので、味は普段の「ひっぱりだこ飯」と同じ。
ここでの「アレ」とは、直接には玉子焼を、間接的には阪神タイガースの優勝を指す。前回の2005年の優勝後、2008年には開幕から首位を独走したにもかかわらず、9月に日刊スポーツ出版社が記念誌「Vやねん!タイガース」を発売したとたんに読売ジャイアンツに追い上げられ優勝されてしまった。2021年にも開幕から首位を独走したところ、6月に朝日放送テレビが特別番組「あかん阪神優勝してまう」を放送したところ失速し混戦となり、10月に「16年ぶりに阪神優勝してまう?」を放送されてヤクルトスワローズに競り負けた。そこで「優勝」というと優勝を逃すから「アレ」ということにしたらしい。駅弁屋はいつの時点でアレ入り駅弁を仕込んだのか、9月に怒濤の連勝により一気に優勝が決まると、アレの掛紙が日の目を見て、安心して「優勝」と書いた玉子焼を詰められたのだろう。
駅弁の名前は「大入りひっぱりだこ飯」と発表。2023(令和5)年7月1日と2日に、神戸や大阪などの淡路屋17店舗とオンラインストア(ネット通販)で販売した。ここでは夏至から数えて11日目頃とした季節の暦日「半夏生(はんげしょう)」に、タコを食べる風習が関西にあるそうで、タコを通常版の3倍入れた「ひっぱりだこ飯」を初めて販売した。
タコツボ型の陶器や掛紙のつくりは通常版と同じでも、掛紙に描いたタコも普段の3倍大きく見える。中身は味付き飯にタコ煮、錦糸卵、菜の花、椎茸煮、穴子煮、タケノコを詰め、揚げかまぼこを仕込むもので、内容は通常版と同じ。タコ煮が増えたぶん、ふたを開けたらほぼタコ。刻まれたり混ぜたりしないため、大きくて飯をほじくりにくくて食べにくいとも思うし、豪快だとも思う。
2023(令和5)年1月7日に京阪神エリアや東京駅や通信販売などで発売、2万個を販売する予定。調製元や海上保安庁による紹介では新発売の扱いだが、前年の1月から1万個を売った下記の「海の「もしも」は118番ひっぱりだこ飯」の再販に見える。醤油飯をタコ煮、アナゴ煮とシイタケ煮の刻み、イカ塩ゆで、タケノコ煮、にんじん煮、菜の花醤油漬、錦糸卵で覆い、丸い揚げかまぼこを底に仕込む中身は、前年のものとまったく同じ。青い掛紙の絵柄と、真っ青なタコ壷の絵柄を少し変えて、120円の値上げ。5月のゴールデンウィークの頃までの販売か。
118番は、2010年5月1日の誕生。国の電気通信事業法に基づく省令「電気通信番号規則」による緊急通報に関する電気通信番号として、警察の110番、消防の119番に続き、海上保安機関への通報のため、海の事件事故を通報するために定められた。当時も現在も、年間で40万件以上の通報の99%が無言や間違いの電話だといい、海上保安庁はこうやって周知に努める。
2021(令和3)年11月5日から1,000個を販売。商品名は「パパたこ版ひっぱりだこ飯」。現在の農林水産省水産庁が所管する公益社団法人全国豊かな海づくり推進協会が、1981(昭和56)年から毎年開催するイベント「全国豊かな海づくり大会」の、2022(令和4)年1月の第41回兵庫大会の開催に向けて、調製元と明石観光協会とのコラボレーションにより、同協会のキャラクター「明石観光PR隊長パパたこ」を使う駅弁を作った。いつもの名物駅弁「ひっぱりだこ飯」のタコツボ型陶器がやや赤くなり、掛紙にパパたこも描き、見出しを「〜第41回全国豊かな海づくり大会兵庫大会記念〜」とした。
中身は茶飯をタコ煮、アナゴ煮とシイタケ煮の刻み、タケノコ煮、にんじん煮、菜の花醤油漬、錦糸卵で覆い、丸い揚げかまぼこを底に仕込むもの。内容そのものは、普段の「ひっぱりだこ飯」と変わらない。タコに不漁で稀少という明石ダコを使い、掛紙をよく見るとそう書いてある。初回販売分はコラボ記念のノベルティバッグを添付。翌2022年2月からの再販では、値段を据え置き本体のみを販売。ほどなく終売か。
※2023年8月補訂:終売を追記2022(令和4)年1月14日に京阪神エリアや東京駅や通信販売などで発売、1万個を販売する予定。通信販売での名前は「海の「もしも」は118番ひっぱりだこ飯」。名物の駅弁「ひっぱりだこ飯」と海上保安庁とのコラボレーション。海をイメージした青色の陶器には、神戸市に所在し兵庫県から和歌山県までと四国の太平洋側を所管する海上保安庁の管区海上保安本部「第五管区海上保安本部」の名称に巡視船「せっつ」(PLH07)と明石海峡大橋を描き、青くした掛紙に制帽と巡視艇の絵柄を追加して「海の「事件・事故」は118番」と呼び掛け、タコ壷の底と掛紙に「自己救命策3つの基本」を記した。
中身は醤油飯をタコ煮、アナゴ煮とシイタケ煮の刻み、イカ塩ゆで、タケノコ煮、にんじん煮、菜の花醤油漬、錦糸卵で覆い、丸い揚げかまぼこを底に仕込むもの。つまり通常版にイカを追加。食べた感じは通常版とほぼ変わらなくても、イカの存在で爽やかに思えた。海上保安庁のツイッターではこの商品を「第1弾」と位置付けたため、第2弾以降の発売を考えているのかもしれない。2月までに完売か。
※2023年2月補訂:終売を追記2019(令和元)年9月4日に発売。西明石駅や神戸や関西や日本を代表する駅弁「ひっぱりだこ飯」について、その調製元とサントリーの緑茶飲料「伊右衛門(いえもん)」がコラボレーション。掛紙のタコは抹茶色になって伊右衛門のペットボトルを持ち、そのテレビCMに出てくるのれんをくぐろうとしている。陶製の壺型容器も抹茶色になった。タコやシイタケを混ぜた醤油飯にタコ煮、菜の花、刻み煮穴子で覆い、揚げかまぼこを仕込むのは、通常版と同じ。醤油飯と揚げかまぼこに緑茶を混ぜ、伊右衛門と同じ絵柄のマル茶の焼き印をした真っ白なかまぼこを追加した。味は通常版とあまり変わらない。緑茶の伊右衛門は別売り。2021年春までに終売か。
※2022年4月補訂:終売を追記2020(令和2)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。その3年前の発売で、駅でも売られる上記の駅弁「金色のひっぱりだこ飯」に、とてもよく似ているが別物である。掛紙にもちゃんと「黄金のひっぱりだこ飯」と書いてある。その絵柄は通常版とおおむね同じ。
金色に染めた陶製タコ壷容器に、タコやシイタケを混ぜた醤油飯を詰め、タコ煮、菜の花、刻み煮穴子で覆い、揚げかまぼこを仕込むまでは、通常版と同じ。これにクリとトビコと金胡麻を加えて黄金を演出し、価格を300円、「金色」よりも30円上げた。だから味やその印象もまた、おおむね通常版と同じだった。
2023(令和5)年1月の京王百貨店の駅弁大会で販売。現物からは読み取れないが、「SDGs×駅弁」として「人気駅弁の端材おにぎりでフードロス削減」と広告し、3種類または5種類のおにぎりを輸送販売した。これは西明石駅弁「ひっぱりだこ飯」のもので、タコ煮と錦糸卵を味付き飯に押し付けて海苔で巻いた三角おにぎりを1個、商品紹介と食品表示のラベルを貼ったプラ製ケースに収めたもの。駅弁と同じ調製元が作るため、駅弁と同じ味がして、その点で下記のようなコンビニの再現品よりも本格的であり、価格もこなれている。いつかどこかで売られるように、なるかどうか。
2021(令和3)年10月12日から11月1日まで、JR東日本の駅のコンビニ「ニューデイズ」で販売。10月14日の鉄道の日にちなみ、駅弁会社が監修する「駅弁風おにぎりシリーズ」として、山形県の米沢駅「牛肉どまん中」、兵庫県の西明石駅「ひっぱりだこ飯」、東京都の東京駅「チキン弁当」の3種類を、コンビニおにぎりにして販売した。調製は地域ごとの取引先の食品会社と思われる。
袋の絵柄はひっぱりだこ飯の掛紙から引用し、本物の見本写真も掲載。玉子と穴子入り炊込み飯に、たこの甘醤油煮を貼り、海苔で巻いたものを1個袋詰め。おにぎり1個という制約の中、御飯の味や全体の雰囲気を、かなり再現できていたのではないかと思う。タコ飯のおにぎりがコンビニで売られることは稀だと思うので、その点でも面白い商品だった。
2019(平成31)年1月の京王百貨店の駅弁大会で販売。西明石駅弁「ひっぱりだこ飯」について、本体と同じ素材のふたを付けたもの。下記のとおり11年前の販売を覚えていたので、今回はどのように売るのか楽しみにしていたら、通常版にふたを別添する形で販売した。つまり、ふたを270円で買ったようなもの。同月の阪神百貨店の駅弁大会でも販売した。
以後は弁当としての、ふた付きひっぱりだこ飯は売られていない。2021(令和3)年1月には、タコの胴のつまみを大きくする改良を施したふたのみを440円で発売。3500個が4日で売り切れ、以後も入荷のそばから完売する人気で、新聞やネットで話題になった。
※2021年3月補訂:後日談を追記2008(平成20)年2月3日から8日まで、仙台の藤崎本店で開催された駅弁催事「全国駅弁大会とうまいもの市」で、実演販売されたお弁当。通常版のひっぱりだこ飯とともに、今回の催事でのオリジナル商品として、フタも陶製にしたバージョンが売られていた。中身は通常版とまったく同じ。フタは後からこしらえたとは思えないほど、本体の壷に自然な感じで組み合わさる。これが駅弁として販売されていれば疑義駅弁だが、ここではチラシでも実演ブースでもオリジナルと明記していた。現地にあっても、おかしくないような。