東京駅から新幹線で3時間。福井市は福井県の北部に位置する県庁所在地で、人口約26万人の城下町。戦国時代以降、朝倉氏の一乗谷、結城氏の北ノ庄城、松平氏の福井城、明治時代の福井県庁と、地域の行政の中心地となってきた。駅弁は1902(明治35)年から売られ、赤いカニ型容器の「越前かにめし」が有名。1896(明治29)年7月15日開業、福井県福井市中央一丁目。
2020(令和2)年の発売か。透明なふたを盛り上げる惣菜向けプラ容器に、カニと2色のとびこ、カニと柚子、カニと玉子焼とイクラの稲荷寿司を1個ずつ詰め、商品名でデザインした赤いスリーブにはめる。大きなおいなりさんは、みずみずしくて具だくさん。ネット上の記事で「具沢山すぎて経営が心配になるレベル」と評された、贅のある駅弁。価格は2020年の発売時で850円、2023年時点で1,080円、11月の購入時で1,100円。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2022(令和4)年秋の新商品。小さな正方形の容器に酢飯を詰め、蒸しえび、「味付けかに」なる韓国産ベニズワイガニのほぐし身、錦糸卵、小鯛ささ漬け、いか甘辛煮、甘酢生姜で覆う。福井を代表する観光名所のひとつ東尋坊(とうじんぼう)をうたい、駅弁催事向けのバリエーションと感じる。
現在の福井県坂井市で日本海に面した観光地である東尋坊は、1935(昭和10)年6月に当時の国の名勝天然紀念物(「記念物」でない)に指定。その3年前に鉄道省の芦原駅(現在の芦原温泉駅)から通じた電車は廃止されたが、戦後昭和に福井と日本を代表する観光地となった。世界有数の規模を誇る柱状節理の海岸線、柱のように固まった岩が20メートル以上の高さで海にそそり立つ姿が珍しい。その先端まで柵もなく歩いて行ける危なっかしい立地が、テレビや新聞や文学作品などで自殺の名所と紹介されたり殺人事件の舞台として使われてしまい、実際に年間で数十人の死者が出ていることから、看板を出したり公衆電話を置いたり、自殺防止の声掛け活動が行われたり、ネットやSNSで検索すると相談窓口のページや電話番号が表示されたりする。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2021(令和3)年秋の新商品か。福井駅弁「越前かにめし」シリーズのカニ型プラ容器のうち黒いものを、商品名を記した白いスリーブに収める。中身は酢飯を錦糸卵とカニとそのほぐし身で覆い、サーモンほぐし身とイクラと青のりを据え、ガリを添えるもの。カニ寿司の鮭フレーク添えといった内容。福井よりも京都や大阪や駅弁催事でよく売られる商品かもしれない。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2020(令和2)年秋の新商品か。正八角形の容器に酢飯を詰め、錦糸卵で覆い、カニのほぐし身とウナギ蒲焼きのスライス5切れで半分ずつ覆い、ガリを添える。カニとウナギという、実に不思議な組合せでも、味はまあ自然だった。
2019(令和元)年の夏頃に「かに×サーモン」「かに×いくら」「かに×いくら×うに」の3種類を発売か。ふたが透明な正八角形のプラ容器を、商品名を書いた同じ絵柄のスリーブに収め、その一角に中身の組合せが記される。これは「かに×いくら」ということで、酢飯を錦糸卵とカニのほぐし身で覆い、イクラとガリを載せる。福井や北陸というよりは、旭川駅や釧路駅など北海道の駅弁に見えるが、スリーブに「福井と北海道を結んだ北前航路」などと書いてあるので、北海道の駅弁に似せたと解釈する。価格は2019年時点で1,100円、2022年時点で1,150円、2023年時点で1,230円。
※2023年12月補訂:値上げを追記2019(令和元)年の夏頃に「かに×サーモン」「かに×いくら」「かに×いくら×うに」の3種類を発売か。ふたが透明な正八角形のプラ容器を、商品名を書いた同じ絵柄のスリーブに収め、その一角に中身の組合せが記される。これは「かに×サーモン」ということで、酢飯を錦糸卵とカニのほぐし身で覆い、サーモンとガリを載せる。福井や北陸というよりは、旭川駅や釧路駅など北海道の駅弁に見えるが、スリーブに「福井と北海道を結んだ北前航路」などと書いてあるので、北海道の駅弁に似せたと解釈する。価格は2019年時点で1,100円、2023年時点で1,180円。
2019(平成31)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。前年に「焼きかにめし」で使った、越前かにめしのカニ型プラ容器の黒色版を、商品名を描いたスリーブにはめる。この容器に酢飯を敷き、錦糸卵とカニほぐし身で覆い、カニ爪、甘エビの素揚げ、ガリを載せる。おいしい軽食も、越前かにめしの類似品はこれで何作目だろうか。京王百貨店駅弁大会の後に売られたかどうかは分からない。以後も催事では買える模様。価格は2019年の購入時で1,380円、2023年時点で1,430円。
※2023年12月補訂:値上げを追記2012(平成24)年8月の東京駅の駅弁大会でデビューか。ベニズワイガニのほぐし身を四角い酢飯に貼り付けてカットする棒寿司を、プラ製トレーに置いて、透明なフィルムで密封し、カニと商品名を描いたボール紙の箱に収める。福井産でない(ここでは韓国産)カニを使ったためか、千円以上の福井駅弁よりカニの量も飯の量も多く、そこそこの風味で千円を切る価格に好感が持てた。価格は2013年の購入時で920円、2014年時点で1,050円、2018年時点で1,130円、8月から1,200円、2023年時点で1,380円。
※2023年12月補訂:値上げを追記秋冬の駅弁大会シーズンに向けて、2012(平成24)年の秋に発売か。楕円形の簡素な容器に酢飯を詰め、ベニズワイガニやズワイガニのほぐし身を半分、笹の上にマスとシイタケとガリで半分。駅弁として「越前かにめし」に勝る点は何もないと思うが、駅弁大会向けにはこういう方向の弁当の需要があるのだろうか。価格は2013年の購入時で980円、2014年時点で1,050円、2016年時点で1,080円、2018年8月から1,230円、2023年時点で1,430円。
※2023年12月補訂:値上げを追記秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2021(令和3)年秋の新商品か。福井駅の駅弁「越前かにめし」のプラ容器を白くして、赤いボール紙の枠にはめて固定する。中身は酢飯をカニほぐし身で覆い、焼いた油揚げを刻んで並べ、奈良漬けを添えるもの。カニの豪華さを追い求めた過去の「越前かにめし」類似品とは一風変わった、新しいタイプの香り付け。白飯でも茶飯でもカニ味噌飯でも、酢飯でないほうが揚げと炙りの香りが生きたのではないかとは思う。翌2022年の秋冬の駅弁大会シーズンまでの販売か。
※2023年12月補訂:終売を追記2021(令和3)年1月の京王百貨店の駅弁大会で、福井駅の駅弁として輸送販売。これは福井駅の駅弁なのだろうか。この調製元の商品は催事により、鯖江駅の駅弁だったり、中部国際空港の空弁だったり、あるいは速弁だったりする。中身は4区画中3区画に酢飯を詰め、カニほぐし身で覆い、ひとつにはカニみそ、ひとつにはカニ身棒肉、ひとつはカニ棒肉天ぷらを置き、1区画に玉子焼、甘酢生姜、酢れんこん、きゅうり漬を収めていた。旅先でなくイベント向けの商品としては、面白いと思う。翌2022年1月の京王百貨店の駅弁大会でも販売して終売か。
※2023年12月補訂:終売を追記2021(令和3)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。前年の鶴屋百貨店の駅弁大会で売られたり、どうも2019年にどこかで1,200円で売られたらしい「越前かにすし」と、スリーブと黒いカニ型プラ容器を共用する。中身は酢飯をカニほぐし身と錦糸卵で覆い、イクラで彩り、セイコガニのカニ身と外子を載せる。これでスリーブに「セイコガニ盛り」のカラーラベルを貼る。内容が同じで2,850円もした鶴屋のものより、セイコガニを節約してだいぶ安くなった。駅や他の催事で売られたかは分からない。
2020(令和2)年2月の鶴屋百貨店の駅弁大会で実演販売。福井駅の名物駅弁「越前かにめし」と同じ形で色を黒くしたプラ容器を、商品名を描いたスリーブに収める。中身は酢飯をカニほぐし身で覆い、セイコガニの内子と外子と身を載せたもの。見た目も味も通常版とそんなに変わらないような。材料費が高いようで、値段がすごいことになっていたが、催事場では行列ができる人気だった。
2017(平成29)年1月の京王百貨店の駅弁大会でデビュー。大会の目玉である対決駅弁の二番手「海の幸黄金の弁当対決」として、西明石駅、京都駅、姫路駅の駅弁と実演販売で対決した。
2007年の「越前かにめし」40周年記念限定品以来、福井駅の駅弁で時々使われる金色のカニ形プラ製容器に、塩ウニで炊いた御飯を詰め、カニとウニとイクラとトビッコを散らして覆い、金箔の小袋を付ける。いつまで売られるかは分からないが、福井駅で伝統の駅弁「越前かにめし」に、こんな華やかな姉妹作があってもよいのではないか。価格は1,500円。調製元の公式サイトでは、金箔小袋がなければ1,380円旨の表記がある。2018年8月の価格改定で、とびっこをなくして1,400円、金箔小袋付きは1,500円。2020年の春までの販売か。2021年3月のピアゴの駅弁大会には出荷された模様。
※2022年4月補訂:現況を追記上記の駅弁「黄金のウニ・かに合戦」と同じもの。購入時は金粉が付かないと、200円引きの1,300円になった。
2015(平成27)年1月の京王百貨店の駅弁大会で販売。調製元が同大会の50回のために開発したという、駅弁大会のための商品。真っ白なボール紙枠に掛紙を貼り付ける、変わったパッケージ。
3区画に仕切られた楕円形の容器の、すべての区画に茶飯を詰めて、左脇に塩うにと蒸し雲丹で和えたズワイガニの肩コロ肉を、真ん中にカニみそ付きズワイガニの棒肉を、右脇に国産の紅ズワイガニの抜き身を、それぞれに載せる三色飯。両脇は味でも身でもカニがたっぷり入る感覚で、真ん中の棒肉部も含め、従来の福井のカニ駅弁にない味と食感の柔らかさがあった。
この駅弁が現地で販売されたかは分からない。この商品をベースに、北陸新幹線の開業に向けて、茶飯を酢飯に置き換えた「三種盛り北国かに寿し」(1,300円)を、北陸新幹線開通記念駅弁として現地で発売したという。
2015(平成27)年1月の京王百貨店の駅弁大会と阪神百貨店の駅弁大会で販売。容器にチャーハンを詰めて、甘えび唐揚3個、イカの小片、ぎょうざ、紅生姜を添える。2012年8月のリニューアル前は、チャーハンにするとうまいと言われた越前かにめしを、調製元が公式にチャーハンにしたものかと期待したところ、食べたらそうではなく、身でも味でもカニが有って無いような洋風茶飯。冷めたり冷たい状態で食べられる風味ではない。揚げエビのサイズも見本写真の半分以下だった。
2014(平成26)年1月の京王百貨店の駅弁大会で販売。京王百貨店新宿店の開店50周年を記念し、「豪華海鮮対決!」として新作海鮮駅弁、あるいは催事場限りの弁当3種を実演販売した。他は札幌駅「鮭児入り三大鮭めし」(1,950円)と、熱海駅「海の膳 鮑」(1,980円)。
セイコガニの卵巣とみそを炊き込んだ御飯の3区画それぞれに、ウニで和えた肩コロ肉、かにみそ付きの抜き身、ベニズワイガニのほぐし身を載せる。誰もが見て分かるように、3種のカニの調理方法を変えているので、飽きが来ない。飯も具に合い、分量でも風味でも、カニをたっぷり感じられた。翌年の京王百貨店の駅弁大会でも販売。これ以外の場所では売られなかったのではないかと思う。
2010(平成22)年1月の阪神百貨店の駅弁大会で実演販売されたお弁当。小柄な長方形で黒塗りの容器に透明なふたをして、カニの写真と商品名を印刷した紙帯を巻き、セロテープで留める。中身は白御飯の上にカニほぐし身の醤油煮と焼いた細身のカニ脚を載せ、タラコの昆布巻やサトイモや赤かぶ漬などを添えるもの。
カニの味は福井駅の名物駅弁「越前かにめし」や「香ばしい焼かにめし」と同じであり、おかずの味も含めて期待を裏切らない。しかしこの弁当はどうもこの催事場でのみ販売された疑義駅弁である模様。他の福井駅弁と異なり、掛紙に駅弁マークは使われていないが、会場では駅弁扱いされており、原因は駅弁屋ではなく百貨店なのかもしれない。百貨店のチラシには「俺の故郷の炙りかに弁当」の名前で掲載された。催事の終了とともに消えた模様。
UFO型のプラ製の惣菜容器を、商品名を金文字で描く以外に一切の印刷がない真っ黒なボール紙の箱に収める。中身はカニ味噌で炊いたと思われる茶飯の上に、セイコガニ(ズワイガニのメス)の内子と外子と脚肉に加えて殻までも載せるもの。分量は少ないが駅弁としても弁当としても驚愕の内容で、見た目や値段を気にしてはいけない。
小説家の開高健(かいこう たけし)が、オスのズワイガニより小さく安いセイコガニの甲羅の中身を「海の宝石箱」と形容し、祖父の出身地に近い福井県丹生郡越前町の旅館へ通ったそうなので、駅弁の名前はこれに由来するのではないかと想像する。その旅館ではこの駅弁と同じ内容のカニ丼を「開高丼(かいこうどん)」の名で提供しているそうな。しかしこの商品は残念ながら、阪神百貨店の駅弁大会のチラシや会場掲示と違い、駅弁としての実態がない催事場オリジナル商品である模様。催事の終了とともに消えたようだ。
2009(平成21)年1月の新作か。発泡スチロールと透明なふたの惣菜容器を、駅弁の名前を描いたボール紙の枠にはめ、ゴムでしばって食品表示ラベルを貼る。中身は表面をあぶったカニ棒寿司を6切れ並べるもの。分量も値段もお昼の軽食にぴったり。しかし福井駅弁には付いているはずの駅弁マークがこれにはないため、駅弁ではなく惣菜向けの商品かもしれない。価格は購入時で850円、2014年時点で1,100円。2012年を最後に購入の報告が見られない。
※2017年5月補訂:終売を追記