新大阪駅から新幹線で約1時間半。広島市は広島県の西側で瀬戸内海に面する、人口約120万人の城下町で政令指定都市。中国地方の商工業の中枢であるほか、世界唯二の被爆都市としてもその名が知られる。駅弁は国鉄時代からの駅弁屋が多種の駅弁を販売するほか、駅ビルで山陽・九州新幹線沿線の駅弁も売られるようになった。1894(明治27)年6月10日開業、広島県広島市南区松原町2丁目。
2019(令和元)年までに発売か。催事場での実演販売の専用商品かもしれない。広島駅の駅弁「炙りあなごめし」の、値段にアナゴと御飯の分量が約1.5倍になったもの。深い容器に中身を薄く敷いた見た目は特盛らしくなく、しかし食べるとアナゴに厚みと量があり、とろ〜り柔らかく、高価も食べて満足感。
2015(平成27)年に発売か。どうもこの商品は、広島駅でなく東京駅で断続的に販売されている模様。2018(平成30)年10月にJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2018」にエントリーし、しかしキャンペーン期間中には首都圏その他JR東日本エリアの駅での販売がなかったので不思議に思った。
商品そのものに不思議はない。以下の広島駅のアナゴ駅弁にとてもよく似た姿。醤油飯を煮穴子で覆い、広島菜の油炒めを添える。味もやはり、名前が違うが見た目が似た下記の駅弁たちと同じような味を持つ、おとなしくうまい駅弁。
2014(平成26)年1月の京王百貨店の駅弁大会でデビューか。見た目も中身も味も、従前の「活あなごめし」と見分けが付かないくらい似ている。「活あなごめし」が現地版、この炙りあなごめしが駅弁催事版なのかもしれない。茶飯に「炙りあなご」というより煮アナゴを貼り、2種の漬物を添えていた。いずれもとろけておいしい。価格は2014年の購入時で1,260円、2017年時点で1,400円。
1992(平成4)年の発売。現地では「しゃもじかきめし」「もみじ弁当」に次ぐ定番の駅弁で、遠隔地の駅弁催事での輸送販売では「しゃもじかきめし」に次いでよく見掛ける商品。やや小柄で細長めな容器に醤油飯を詰め、煮アナゴ2本を並べて、アナゴの骨の煎餅と高菜を添える。割りばしも中身に組み込まれる。
2本のアナゴが寄り添って、夫婦あなごめし。アナゴは薄くて細身ながら、とてもやわらかく、ふっくらしており、これと合う飯に溶け込んでいく。ここや宮島口で人気の焼アナゴの駅弁や弁当とはまた違うタイプの、おいしいアナゴ駅弁。
この駅弁の名前の一部「夫婦」を、「ふうふ」と読むのか「めおと」と読むのか、これまでは活字資料の範囲内では調べることができなかったが、実はそのいずれでもなかったことが、ここで判明した。価格は購入時で1,050円、2015年時点で1,150円、2019年時点で1,180円、2021年時点で1,300円。
※2021年3月補訂:値上げを追記2016(平成28)年5月20日頃の調製と思われる、広島駅弁のパッケージ。伊勢志摩サミットの開催を記念して、仙台駅から小倉駅まで11種類の駅弁について、パッケージに駅弁の名前の英文表記とほぼ共通のロゴマークを印刷し、東京駅の駅弁売店で販売した。価格と中身は通常版と同じ。ここでの「夫婦」のよみがなは「めおと」である。
2001(平成13)年12月31日の調製と思われる、広島駅弁のパッケージ。値段と絵柄は異なるが、中身は2009(平成21)年のものと変わらない。
2010(平成22)年1月の京王百貨店の駅弁大会に向けた投入か。駅弁大会専用商品の可能性がある。経木枠の細長い容器に透明なふたをして、その中身が見える窓が開いたボール紙の枠にはめて、ラップでぴったり包んでから食品表示ラベルを貼る。中身は椎茸と干瓢の中具を詰めた、煮穴子の棒寿司が1本、笹の葉の上に載っているもの。
東京駅や姫路駅の煮穴子棒寿司と同じような、柔らかくボリューム感のある品。パッケージ記載のとおり、酢飯の中にサンドした中具も、味にアクセントを付けている。価格は2011年の購入時で1,000円、2015年時点で1,080円、2021年時点で1,200円。
※2021年3月補訂:値上げを追記2010年1月16日に購入した、広島駅弁のパッケージ。中身は翌年に同じ場所で買ったものとほぼ同じ。発売当初はパッケージに記載のとおり、中具に海苔も入っていた。
2003年の初頭頃に発売か。穴子駅弁日本一と言われる宮島口駅「あなごめし」にそっくりな広島駅の穴子駅弁。経木の小さな長方形の容器にアルカリイオン水と穴子エキスで炊いたというコシヒカリの御飯を敷き、その上に焼穴子をぺたぺた載せるもの。しかしその風味は宮島口を真似て及ばずといった感じ。2004年度JR西日本「駅弁の達人」対象駅弁。価格は購入時で1,260円、2014年4月の消費税率改訂により1,300円、2019年時点で1,400円。
広島駅弁は遠隔地の駅弁大会で存在感があるが、現地ではどうもコンビニ弁当の販売やうどん売店の営業のほうに力が入っているようで、調製元の社名とは裏腹に、都市や駅の規模と比較して現地にふらりと訪れて買える駅弁の種類はかなり少ない印象。
※2019年8月補訂:値上げを追記2016(平成28)年の秋にスーパーの駅弁催事で販売、2019(平成31)年1月の京王百貨店の駅弁大会と阪神百貨店の駅弁大会で実演販売。これ以外の時期や場所で売られたかどうかは分からない。四角い容器に白飯を詰め、商品名どおりの白焼き風炙りあなご3本15切れのみで覆う。つまり飯と穴子のみでできている、この上ないシンプルな内容。著名な宮島口駅弁とは明らかに違う、柔らかすぎて溶けていくこんな味もアリか。催事場では人気の商品になっていた。半年間ほどの販売か。
※2020年6月補訂:終売を追記2019(平成31)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。円形のプラ容器に酢飯を詰め、刻み海苔で覆い、炙りアナゴとカキ2個を置き、ニンジンと錦糸卵で彩る。これを定評の味の詰合せと見るか、やっつけ仕事と見るか。翌2020(令和2)年1月の阪神百貨店の駅弁大会にも出現した模様。
※2020年6月補訂:現況を追記2018(平成30)年1月の京王百貨店の駅弁大会での実演販売でのみ販売か。その名のとおり、広島駅の駅弁「夫婦あなごめし」の“焼き”バージョン。タレ御飯に薄い焼アナゴ2本分が横たわり、高菜漬と柴漬けが添えられる。好みの問題だが、このほうが香りは増すと感じた。もし焼穴子駅弁ばかり食べていれば、通常版の煮穴子が恋しくなるかも。同年の夏頃に広島駅かどこかで買えたようで、あとはそれっきり。
※2020年6月補訂:終売を追記2016(平成28)年1月の発売か。従前の「炙りあなごめし」をリニューアルしたといい、ふたの色が白から黒に変わったが、味にも内容にも価格にも差異はみられない。半年ほどは、少なくとも首都圏での実演販売では、このパッケージで売られた模様。後に元へ戻った。
2008年2月3〜8日に仙台の藤崎本店で開催された駅弁催事「全国駅弁大会とうまいもの市」で実演販売されていた商品。見てのとおり、太巻きが1本入るだけのシンプルな内容。しかしその中身や風味のほとんどが玉子焼であり、穴子は身こそ見えるものの風味はなし。現地に実態がないほうがよいと思う。
実演ブースの中で中国・韓国産穴子を焼いて切って詰める店員の手付きはどう見ても素人、手際の悪さで行列が進まず、十数人の来客をさばくのに1時間以上もかけられた。この年の京王百貨店の駅弁大会で広島駅弁の実演販売がなぜか中断され、2週目のチラシに穴を開けてしまったが、その理由がここにあるのかどうか。
1980年代のものと思われる、昔の広島駅弁のふたの一部。瀬戸内海の沿岸では、昭和時代やそれ以前から、各地にアナゴの駅弁が存在した。