博多駅から九州新幹線で約1時間。鹿児島市は鹿児島県の中部で鹿児島湾に面する、人口約59万人の城下町で県庁所在地。活発な火山活動が続く桜島がシンボル。駅弁は明治時代からの鹿児島駅の駅弁屋が1943(昭和18)年に進出し、2006年頃に撤退、以後はキヨスクその他の駅売店で、主に出水駅の駅弁屋の商品が売られる。1913(大正2)年10月11日開業 鹿児島県鹿児島市中央町。
2021(令和3)年3月のJR九州の駅弁キャンペーン「熊本・鹿児島 九州新幹線駅弁シリーズ2021」にエントリー。鹿児島県霧島市福山町牧之原の牛肉業者が、2015(平成27)年に売り出したランチボックスが販路を広げ、2019(令和元)年5月頃から鹿児島中央駅の駅弁売り場でも販売されるようになったものらしい。
駅弁に稀なクラフト風のテイクアウト向け紙箱に、直に白飯を詰め、おかずを詰めたトレーを被せてふたをして、ブランドのシールを貼る。これは商品名「チキン南蛮弁当」ということで、鶏肉の揚げ物とタルタルソースと、ニンジンやタマネギやダイコンやキャベツなどの野菜をたっぷり詰めて、ひじきやパセリなどを添えていた。駅弁としては安価で油気が豊か、今風におしゃれな惣菜ないしランチボックス。
駅では2021年4月頃までの販売か。2023年の5月までには鹿児島中央駅での販売が復活した模様。
※2024年3月補訂:駅での販売を追記秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2011(平成23)年秋の新商品か。黒いプラ製トレーを接着した長方形の容器に透明なふたをして、焼いた鶏肉の写真と桜島が美しい掛紙を巻く。中身は白御飯のをきんぴらごぼうで覆い、鶏照焼と称する大型の焼き鳥でさらに覆い、サツマイモと高菜を添える。ざらついた鶏丼。もっぱら催事や輸送販売で売られる商品である模様。価格は2011年の発売時で950円、2014年4月の消費税率改定で980円。2020年か2022年までに終売か。
この駅弁に使われるという「桜島どり」は、三菱商事系の畜産業者である鹿児島県曽於郡大崎町のジャパンファームが生産する鶏肉のブランドネームか。雛の育成から加工商品までを一貫して手掛けるこの大規模な工場では、ケンタッキーフライドチキン向けの鶏肉も製造しているそうな。
※2023年4月補訂:終売を追記上記の駅弁「桜島とりめし」の、2011年時点での姿。掛紙も容器も中身も同じように見えて、具が異なる、。この当時、発売当時は、白御飯の上に醤油味の鶏そぼろと焼き鳥、錦糸卵とパセリと紅生姜と鶏つくねを載せ、つぼ漬けとごぼうを添えていた。
※2020年5月補訂:新版の収蔵で紹介文を手直し2016(平成28)年10月に「黒豚三昧」「牛肉三昧」「鶏肉三昧」がまとめてデビュー、同時にJR九州の駅弁キャンペーン「第12回九州駅弁グランプリ」へまとめてエントリー、さらに東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」でまとめて販売。ボール紙製パッケージのデザインもよく似ている。
黒い正方形の容器の鶏肉三昧は、茶飯をざらっとした焼き鳥サイズの鶏照焼で覆い、きんぴらごぼう、サツマイモ、紅生姜を添えるもの。鶏飯というより焼き鳥丼のような感じで、駅弁としては一風変わっている。2017年までの販売か。
※2019年8月補訂:終売を追記2012(平成24)年までに発売か。白飯を錦糸卵と高菜で覆い、鶏唐揚とポテトフライを盛り、煮物、きんぴらごぼう、ポテトサラダ、漬物を添える。値段も体裁も簡素で、常温でおいしい、普通の唐揚げ弁当。それでも鶏肉に鹿児島産で株式会社ジャパンファームが平飼いで育てる商品「桜島どり」を使うそうで、高菜の使用で九州を感じる鹿児島の駅弁。2021年か2022年に終売か。
※2023年4月補訂:終売を追記秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2008(平成20)年秋の新商品か。黒いプラ製トレーを接着した長方形の容器に透明なふたをして、焼いた鶏肉の写真が美しい掛紙を巻く。中身は味付飯の上にきんぴらごぼうを敷いて、さつま赤鶏のたれ焼きを半分に寄せて詰め、サツマイモのレモン煮とナムルを添えるもの。鶏肉はヒレカツや脂の弱いチキンナゲットのような食感で、締まりか脂の柔らかさを競う世の地鶏や銘柄鶏とは正反対の印象だが、これがブランド鶏「赤鶏さつま」の特徴なのだろうか。2014年時点で売られていない模様。
赤鶏さつまとは、農林水産省が所管する独立行政法人である家畜改良センターの、兵庫県たつの市に位置する兵庫牧場で開発され、2006年より生産されている国産鶏種「たつの」の、鹿児島県出水市の赤鶏農業協同組合における鶏肉の商品名。フランス企業からの輸入に頼っていた赤鶏が、高原病性鳥インフルエンザの流行により2006年に輸入停止となったことから、国では海外に負けない品質の赤鶏の開発を手がけ、赤鶏農協でもフランス系の「赤鶏クックロゼ」から2007年11月にブランドを切り替えたのだという。
※2014年6月補訂:終売を追記ボール紙の箱とプラ製トレーの市販惣菜容器を使う。中身は茶飯の上に錦糸卵と刻み海苔と、身の締まった鶏照焼スライスを3切れ載せ、鶏唐揚に加えてキビナゴやイカ和えや山川漬など、おかずというより酒のつまみのようなものを付け合わせる。
2004年3月の九州新幹線の開業前までは、経木枠の正方形の容器や専用紙箱を使う正統派の駅弁だったが、開業後は他の旧西鹿児島駅弁と同様、市販の容器を素で使うただの惣菜弁当に変わった。これはもう駅弁ではない。ただ、駅弁大会への出品では写真のように、かつての掛紙や紙箱と同じ柄の掛紙をかけて販売される。色づかいを除くとぶっきらぼうな柄だが、これならば駅弁らしく見える。
なお、2006年4月までに調製元が駅弁から撤退したとの情報がある。この駅弁は駅で買えなくなった模様。
※2006年5月補訂:写真の掲載と解説文の全面改訂1970年代のものと思われる、昔の西鹿児島駅弁の掛紙。「とんこつ弁当」と並ぶ、鹿児島中央駅が西鹿児島駅だった時代の名物駅弁。そのニワトリの絵柄は、上記のように21世紀まで受け継がれた。大隅線の鹿屋駅や指宿枕崎線の指宿駅でも売られただろうことが、調製元の表記から感じられる。