札幌駅から特急列車で4時間強、札幌方面と根室方面と網走方面へ鉄路が分かれる駅。釧路市は北海道東部で太平洋に面する、人口約17万人の港町。全国最大級の漁港と道東最大の工業地帯を持ち、空港も備える物流の拠点であるほか、釧路湿原など道東観光の玄関口として賑わった。駅弁は改札外駅舎内の土産物店2店が、釧祥館と引田屋のものを販売。1917(大正6)年12月1日開業、北海道釧路市北大通14丁目。
2019(令和元)年7月までにどうやら東京駅で発売、同年秋のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2019」にエントリー。「かに寿司」でなく「かに弁当」なのに酢飯を使う。酢飯をカニのほぐし身と錦糸卵で覆い、カニの棒肉で彩り、ガリを添えるのは、北海道の駅弁、カニの駅弁、催事向け駅弁として一般的な姿。上げ底や上げ蓋でなく、プラ製や容器にボール紙の入れ子をして小容量と大きさを確保する方法が、2018年頃から増え始めたと思う。今回購入のものは、調製元も販売元も委託先の模様。価格は2020年の発売時や購入時で1,280円、2021年時点で1,380円。
※2021年3月補訂:値上げを追記2020(令和2)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。黒い正方形の折箱を3区画に分け、そのすべてに酢飯を詰め、ハナサキガニのほぐし身とイクラ、タラバガニの身とほぐし身、ズワイガニの爪とほぐし身と錦糸卵で覆う。スリーブの写真も3種のカニでできている。今回の催事場で5種類が競ったカニ駅弁で、最も客の行列ができていた。2月の鶴屋百貨店の駅弁大会でも販売。
2000(平成12)年の発売。ほどなく釧路駅で一番人気の駅弁となり、昔ながらのカニ駅弁のイメージとスタイルを打ち壊した先駆者。正八角形の容器に透明なふたをして、その中身がよく見えるように表面をくり抜いたボール紙の枠にはめる。中身は酢飯の上に錦糸卵とカニほぐし身を敷き、サーモン、カニ脚肉、イクラ、ガリ、醤油を載せるもの。
カニ脚の太さは駅弁では最大級。高額な駅弁ではあるが、新聞社が駅弁ランキングを作るとだいたい入っている評判に違わない、カニ脚の存在感と風味の安定感がある。駅弁大会での実演販売でも、北海道を名乗る催事商品と同等の見栄えで対抗できている感じ。2019年に終売か。
釧路と旭川は鉄道で300km以上離れているが、駅弁の味やコンセプトがかなり似ているほか、遠隔地での駅弁大会でも輸送、実演問わずたいてい隣接して販売される。それはおそらく、両家の婚姻関係が働いてか1989年4月に釧路駅弁の釧正館の営業権が旭川駅弁の旭川駅立売へ譲渡されたため。いずれの駅の駅弁屋も駅弁業が主力で昭和末期は経営が苦しかったそうだが、以後は人気の名作から疑義駅弁まで北海道のコンセプトで様々な駅弁を開発し投入、地元と催事場で地位を築く。
※2021年3月補訂:終売を追記2012(平成24)年1月17日に購入した、釧路駅弁のスリーブ。下記の10年前とほぼ同じで、注意書きなどが違うだけ。容器や中身は上の6年後も同じである。
2001(平成13)年11月25日の調製である、釧路駅弁のボール紙製パッケージ。上記の10年後とほとんど違わない。
小ぶりな長方形の容器を使用、中身は俵型に型を付けた酢飯が12個分入り、ぷりぷりのイクラでひとつ、ややパサパサのカニほぐし身で5つ、脂の載ったスモークサーモンで5つ、にがりでひとつとなる。価格は2002年の購入時で1,000円、2014年時点で1,080円、2019年時点で1,050円。2020年頃に終売か。
※2021年3月補訂:終売を追記おそらく百貨店の北海道物産展や駅弁大会でのみ釧路駅弁として実演販売される催事用弁当。同じく旭川駅弁として実演販売される「まんざいどん」と同じ容器を使用、中身は催事でよく見かける海鮮丼で、購入した「かに・いくら」は御飯の上にカニほぐし身とイクラが載る。催事用海鮮丼にしては見栄えが雑で素朴な感じを受けるし、味は他と同様に良かった。いつまでこの姿で売られたか、定かでない。
※2020年5月補訂:終売を追記長方形の容器の中で、酢飯の上にズワイガニの足肉切り身とフレークが艶やかに敷き詰められる。それを透明なふたと窓付きのボール紙枠でお客さんに見せつける、商売上手なパッケージ。ところで、調製元の電話番号がパッケージにも食品表示シールにも記されず、なぜか「総発売元」の旭川駅立売株式会社の電話番号はちゃんと記されていることは気になる。価格は2003年の購入時で1,100円、以後900〜1300円くらいの範囲で毎年のように値段が変わった模様。2019年までの実演販売か。
※2020年5月補訂:終売を追記