札幌駅から特急列車で4時間強、札幌方面と根室方面と網走方面へ鉄路が分かれる駅。釧路市は北海道東部で太平洋に面する、人口約17万人の港町。全国最大級の漁港と道東最大の工業地帯を持ち、空港も備える物流の拠点であるほか、釧路湿原など道東観光の玄関口として賑わった。駅弁は改札外駅舎内の土産物店2店が、釧祥館と引田屋のものを販売。1917(大正6)年12月1日開業、北海道釧路市北大通14丁目。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2023(令和5)年秋の新商品か。もっぱら全国各地のスーパーの駅弁催事で販売されるとみられ、現地でも買えて驚いた。長方形のプラ容器を中身写真のスリーブで縦長に収め、商品名を力強く記すのは、釧路駅でも実質的な旭川駅でもなく、まるで八戸駅の駅弁屋の弁当にみえる。
この容器に仕切りを入れて、醤油飯と酢飯を細長く敷き、前者をカキとコーンで覆い、後者を甘海老、かに、いくら、菜の花大根で覆い、大豆そぼろひじきとガリを添える。北海道でなく東京というか駅弁大会で売っているような、いろんな味のごちゃまぜ。
そんな既視感は当たっており、あとで見比べたら「三陸産かきめしうにかにいくら旨さ引き立てるオイスターソース」などの八戸駅弁と同じつくりだった。駅弁を食べ過ぎたり駅弁大会に行き過ぎて、釧路駅で買えて根室線で食べて悪くない弁当なのに、がっかりしたのは申し訳ないか。
釧路駅では2024年4月に輸送の都合で、「いわしのほっかぶり」シリーズを除くすべての駅弁の販売を休止した。9月に取扱店をキヨスク系の四季彩館から「おにぎり屋ばんばん」に変えて販売を再開。普通に見れば販売の復活を喜ぶのだろうが、上記のとおり駅弁が過ぎると秋冬の駅弁大会シーズンでの輸送販売の期間だけ現地で実態を繕うように感じてしまった。いずれにせよこれらの釧路駅弁は釧路やその近隣でのものでなく、もはや鉄道では札幌駅で特急を乗り換えて約6時間、車でも260km以上離れて5時間くらいのドライブとなる、旭川のものである。
2020(令和2)年に釧路駅や駅弁催事などで発売か。ボール紙でふちを厚く組んだ正方形の容器に、醤油飯を詰め、ひじき煮を散らし、「ふっくら柔らかく煮込んだ牡蠣をどっさりのせ」、甘酢生姜を添える。今までの釧路駅や近隣の駅弁よりも、中身はシンプルに、分量を控えめにして、売り場で手に取られやすいようにしたのだと思う。併せて釧路や道東や北海道だという感じや、弁当でなく駅弁だという感じも、あまりないと思う。
1990年代の発売か。中身とカキのイラストを載せた、白いスリーブに収める平たい容器に、北海道産米の醤油飯を詰め、かき、あさり、ひじき、にんじん、甘酢生姜を散らす。茶色も具も味付けも淡いカキ飯。現地でも催事でも目立ちたがり屋が多いと思う釧路駅の駅弁の中で、かきべんの中身とかに飯は例外的に、とてもおとなしく感じる。
価格は2002年時点で900円、2010年時点で950円、2014年時点で990円、2018年時点で1,100円、下記の12月時点で980円、2021年時点でまた1,100円、2022年時点でまた980円、2024年時点で1,290円。調製元はスリーブでは釧祥館、食品表示では旭川駅立売商会とあり、旭川で調製し釧路へ運んでくる。
※2024年12月補訂:写真を更新し解説文を手直し上記の駅弁「かきべん」の、2018(平成30)年時点での姿。カキやひじきの五目飯に煮ガキを5個ほど散らし、玉子焼、ガリ、いも茎、山くらげを添える内容は、それほど変わらない。スリーブは真っ黒で、付合せの玉子焼とガリが入っていた。
※2024年12月補訂:新版の収蔵で解説文を手直し上記の駅弁「かきべん」の、2002(平成14)年時点での姿。内容の趣旨は変わらないが、当時はスリーブでなく掛紙を使い、中身の見栄えが厚岸駅の名物駅弁によく似ていた。底の浅い長方形の容器の全体にカキの味付け御飯を敷き詰め、その上にカキ・アサリ・山クラゲとヒジキを散りばめる。
※2019年8月補訂:新版の収蔵で解説文を手直し2009〜2010年の駅弁大会シーズンに向けてか、2009年11月1日から2010年2月28日まで販売されたという。円形の加熱機能付き容器を、商品名を大きく書いて厚岸湖の風景やカキのイラストを描いたボール紙の枠にはめる。中身は醤油飯の上にひじき、山くらげ、ニンジン、煮カキをごろごろと散らしたもの。
味はスマートで、道東のカキ飯であればもっと臭さが欲しかったと思う。駅弁催事ではこうやって普通に売られるけれど、現地では3日前までに要予約というし、現地で買ったという話も聞かないし、製造者固有記号も付いているしということで、疑義駅弁と呼ばざるを得ない。2012年頃まで売られた模様。
※2017年8月補訂:終売を追記2009〜2010年の駅弁大会シーズンに向けて、2009(平成21)年の秋までに投入か。陶製の釜飯容器にプラ製のふたをして、中身の写真と商品名を印刷したボール紙の枠にはめる。中身はカキの炊込飯の上に煮カキ3個と山菜、タケノコ、きんぴらごぼう、錦糸卵、シイタケ、ニンジンなどを載せるもの。
味はスマートで、道東のカキ飯であればもっと臭さが欲しかったと思う。駅弁催事ではこうやって普通に売られるけれど、現地では3日前までに要予約というし、現地で買ったという話も聞かないし、製造者固有記号も付いているしということで、疑義駅弁と呼ばざるを得ない。この年のみか、数年間の販売か。