東京駅から東北新幹線はやぶさ号で約3時間。八戸市は青森県の南東端で太平洋に面する、人口約22万人の港町。かつて水揚げ日本一を誇った漁港と、県内一の工業地帯を誇る産業都市。駅弁は明治時代からの駅弁屋の駅弁が売られ、東京や北海道など東日本の各地でも盛んに売られる。1891(明治24)年9月1日開業、青森県八戸市尻内町。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2023(令和5)年秋の新商品。調製元を見て八戸駅の駅弁としたが、八戸駅で買えたかは分からない。2024年の春までに、東海道新幹線の東京、品川、新横浜の各駅の駅弁売り場で売り始めた。その名からも内容からも、2015年発売の「こぼれイクラととろサーモンハラス焼き弁当」を手直して再発売したものではないかと思う。
商品名と中身のクローズアップ写真を印刷したスリーブに収める長方形のプラ容器に、白飯を詰め、イクラと鮭フレークで覆い、サーモンハラス焼きを載せ、玉子焼、野沢菜しょうゆ漬、柴漬けを添える。脂が乗りすぎるようなハラスと、脂のないフレークの二段構えで、鮭の味で飯が進む。
2022(令和4)年10月に盛岡駅、仙台駅、東京駅で発売か。同月からのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2022」にエントリー。水色で陶製の釜飯駅弁向け容器に、プラ製のふたをして、中身の写真を使うスリーブで留める。中身は茶飯を山菜、イクラ、蒸しウニ、うずら卵、しいたけ、にんじん、れんこん、きぬさや、ぎんなんで覆うもの。水色あるいは空色の容器は、駅弁であまり使われないとは思う。商品名どおりの内容で、催事向けの商品に感じる。価格は2022年の購入時で1,480円、2023年時点で1,580円。
※2023年7月補訂:値上げを追記2022(令和4)年の3月までに発売か。食材の名前を並べに並べて冗長が過ぎる商品名のとおり、2区画に収めた茶飯の一方を、かきオイスターソース味、野沢菜辛子漬、大根酢漬で覆い、他方をカニフレーク、いくら醤油漬、味付蒸しウニで覆い、玉子焼と茎わかめ漬を添える。
豪華に見せるだけの食材をとにかく集めたように見えて、これらを仕切りを加えてまで整然に並べたので、まるで一口サイズの海鮮丼の詰合せのよう。牡蠣を重ねた名前を持つ主役のかきオイスターソース味は、作り置きの駅弁では乾燥したり収縮しがちなカキに、とろみを付けてみずみずしさを少し与えたように思えた。価格は2022年の購入時で1,300円、2023年時点で1,380円。
※2023年7月補訂:値上げを追記秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2021(令和3)年秋の新商品。紙製の容器に茶飯を詰め、蒸しウニ、ベニズワイガニのほぐし身、イクラの醤油漬で3分の1ずつ順番に覆い、ガリを添え、玉子焼、柴漬け、野沢菜を添付。中身と名前を合わせた、食べて華やかな商品。催事向けに見えるこの内容で、酢飯を使わないのは、ちょっとありがたい。価格は2021年の購入時で1,280円、2023年時点で1,330円。
※2023年7月補訂:値上げを追記2021(令和3)年9月までに発売か。10月のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2021」にエントリー。長方形の紙箱に茶飯を詰め、鮭フレークとベニズワイカニのほぐし身で覆い、同カニの棒肉を並べてイクラで彩り、玉子焼と野沢菜とガリを添える。新作であっても、内容は過去や他駅にもあるもので、味も見た目どおりにできているので、安心して買って食べてよい駅弁だと思うし、印象に残ったり人気が出たり長く親しまれる駅弁でない気もした。価格は2021年の購入時で1,380円、2023年時点で1,500円。
※2023年7月補訂:値上げを追記2021(令和3)年8月の発売か。10月のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2021」にエントリー。正方形の紙箱に酢飯を詰め、海峡サーモンの白醤油漬を並べ、イクラを置き、玉子焼、わさび菜、ガリを添える。小柄なのに高額な商品であっても、海峡サーモンの柔らかさと、脂と香りの絶妙さに、スリーブの見本写真に違わない具の美しさで、美味を味わえる。これより安くてサーモンが多く入る八戸駅弁「海峡漬ちらし」と売り場で並ぶと不利かも。駅弁に入る海峡サーモンは、この年に突然うまくなったと思う。価格は2021年の購入時で1,480円、2023年時点で1,600円。
※2023年7月補訂:値上げを追記JR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2020」へのエントリーに合わせた、2020(令和2)年10月の発売か。前月まで「こぼれイクラととろサーモンハラス焼き弁当」を名乗っていた商品。今回買えたものは、長方形の容器に固めて詰めた白飯を、イクラとハラス、鮭フレークと柴漬けと玉子焼と野沢菜辛子漬で覆っていた。ハラスのとろけるうまさは変わらない。価格は2020年の発売時や購入時で1,350円、2022年時点で1,480円。2021−2022年シーズンで終売か。
※2023年4月補訂:終売を追記2016(平成28)年10月30・31日に、全国のイトーヨーカドーで大々的に販売。黒く丸い容器に白飯を詰め、イクラでそのすべてを覆い、小さなレンコンを添えるイクラ丼。小樽駅などの名義で催事場に出てくるタイプと同じもの。これが駅弁マークのないスリーブの記載によると「北の味 伝統の味」なのだとか。主にスーパーの駅弁大会で、まれに東京駅で、ごくまれに八戸駅で売られた模様。2018年までの販売か。
※2019年8月補訂:終売を追記2015(平成27)年夏の新作だろうか。白御飯をサーモンのハラスとイクラと鮭フレークで覆い、柴漬けと玉子焼と小松菜を添える。中身はトロトロおいしいのだが、パッケージの写真がとても美しすぎるため、これに到底及ばない中身の見栄えで、初対面の印象が悪くなる。2020(令和2)年10月に「田酒粕漬けこぼれイクラとハラス焼き弁当」へ値上げとリニューアル。
明治時代からの八戸駅の駅弁屋である調製元は、2010年には東北新幹線の全線開業で新青森駅に進出し、2013年には東京に工場を構え、2015年の北海道新幹線開業では新函館北斗駅の駅弁屋にもなるようなので、いったいどこの駅の駅弁や駅弁屋と呼ぶべきか。
※2020年12月補訂:終売を追記2010(平成22)年に発売か。浅く小さな長方形の容器に透明なふたをして、中身と海の写真を印刷したボール紙の枠にはめる。中身は酢飯の上にイクラ醤油漬、イクラ塩漬、ベニズワイガニのフレークとズワイガニの脚肉をそれぞれ詰めて、玉子焼、赤かぶ漬、ガリを添えるもの。
新千歳空港の空弁でおなじみのタイプの商品を、ほぼそっくりコピーした感じ。高価で食べにくく風味は並で、駅弁に類例はないかもしれないが、また買いたい気もしない。しかし東京駅では定番商品のひとつになっている感じ。価格は2010年の購入時で1,100円、2014年時点で1,150円。2017年までの販売か。
※2023年7月補訂:終売を追記2006(平成18)年10月7日に発売。小柄な正方形の容器に透明なふたをして、しおりと割りばしを置き、中身調理例を写真で示す紙枠にはめる。中身は味付飯のみが敷かれ、イクラ醤油漬のカップと、ウニとツブ貝を混ぜたあんかけの袋が入る。カップと袋の中身を茶飯の上にぶっかけて完成する調理系駅弁。
高価なカップ麺を作るイメージで、この操作を列車内でやるのは面倒か困難かもしれないが、風味に駅弁では稀なみずみずしさが広がるし、見栄えもキラキラしている。今後に東北や北海道の駅弁で流行りそうなスタイル。
1989年に岩手県の宮古駅で「いちご弁当」がヒットしたため、いちご煮は岩手県太平洋岸の郷土料理と思われることがあるが、もとは八戸のものらしい。ただ、こちらの駅弁は、本来はアワビを使うところをツブ貝で代用するため、内容としては宮古のほうが引き続きいちご煮らしさを保つ。価格は2007年の購入時で1,100円、2008年7月1日から1,200円。2009年9月1日から再び1,100円。2012年までの販売か。
※2016年10月補訂:終売を追記