札幌駅から特急列車「北斗」で約2時間。2006(平成18)年に虻田町と洞爺村の合併で誕生した洞爺湖町(とうやこちょう)は、北海道の南西部で噴火湾と洞爺湖の西側に面する人口約9千人の町。町名に反映されたとおり、洞爺湖と洞爺湖温泉を持つ観光の町。駅弁は国鉄時代からの駅弁屋が現存するが、予約か注文により販売する模様。1928(昭和3)年9月10日開業、北海道虻田郡洞爺湖町旭町。
洞爺駅の駅弁である、北海道で昭和時代を思わせる古典的な鮭駅弁。掛紙の絵柄もまた古めかしいが、古い資料に出てこない駅弁であり、発売は1980年代あるいはそれ以降かもしれない。浅く平たい折箱に御飯を敷き、鮭フレークとイクラと錦糸卵でバーコードを描き、海苔とグリーンピースで彩り、煮豆とワカメと大根桜漬を添える。手作り感のある内容と風味。現在は不明だが以前は鮭の中でも高級品で知られる銀毛鮭を使うとされ、ここの鮭駅弁のフレークはかなりうまいという意見が散見された。
※2021年2月補訂:写真を更新し解説文を手直し洞爺駅の駅弁である、北海道で昭和時代を思わせる古典的なカニ飯駅弁。浅く平たい折箱に御飯を敷き、カニのほぐし身とタケノコの刻みを炒って敷き詰め、刻みシイタケとグリーンピースと、錦糸卵で彩り、梅干しを据え、みかんとタクアンと大根桜漬を添える。現在の洞爺駅弁は注文販売。掛紙に「3時間以内にお召し上がり下さい」の文字があり、この短さも21世紀の駅弁としてはもはや古典的である。
※2021年2月補訂:写真を掲載し解説文を手直しつまり豚丼の駅弁。駅弁の名前「あっ!ぶた丼どう爺?」には、洞爺駅の2006(平成18)年までの地名であり1962(昭和37)年までの駅名であった「虻田(あぶた)」と、洞爺(とうや)が混じる。中身は白飯に豚焼肉を貼り付けて、紅生姜とグリーンピースで彩り、タクアンと大根桜漬を添えるもの。おいしくも、洞爺や虻田や調製元との関連はどこにあるのか分からない。西隣の豊浦町は一応、養豚の大規模化で北海道一の生産地だという。
長方形の容器に酢飯を詰め、錦糸卵とワカメとイクラとウニで覆い、カニ脚とホタテ貝柱2個を置き、大根桜漬とワサビ袋を添える。海鮮弁当という名前どおりの内容も、見た目がまったく駅弁らしくない。味は下記の疑義駅弁の海鮮丼より、はるかに優れていた。価格は2020年の購入時で1,100円、2022年時点で1,200円。
※2022年4月補訂:値上げを追記駅弁大会の甲子園と呼ばれる京王百貨店新宿店での、日本最大の駅弁大会で実演販売をするために、2003(平成15)年1月に発売。透明なふたをした黒いプラスティックをボール紙製のパッケージにはめる。中身は醤油御飯の上に酢締めのホッキ貝と生の帆立貝柱を載せる豪華なもの。ホッキがだいぶ酸っぱかったことを除き、おいしくいただけた。
この駅弁は京王の駅弁大会で、渚滑の帆立貝、広島の牡蛎とともに「対決 貝三昧」を演じ、山積み状態の渚滑には見た目で勝っていたが、こちらの行列は多くて数名程度で、長蛇の列ができた広島には見た目で完敗だった。販売個数の公開が待ち遠しい。洞爺駅での販売はあるのだろうか。
駅弁大会専用商品と思われる洞爺駅弁「洞爺の海鮮丼」の、2007〜8年駅弁大会シーズンでの姿。パッケージの構造や中身は旭川グループの見慣れて見飽きたカニ鮭イクラ帆立丼にカズノコを添えるもので、風味もつまりそういうもの。今回はプラ製容器の構造を丼型に変更、より海鮮「丼」らしい姿になり、それで風味もちょっぴり上がる。
パッケージには「祝!北海道洞爺湖サミット」の文字が記される。2007年4月23日に安部総理大臣は、2008年の夏に日本で開催する主要国首脳会議の会場を洞爺湖地域、名指しすると「ザ・ウィンザーホテル洞爺」に決めた。1975年から6か国、後に8か国の持ち回りで毎年1回の開催を続けるこの会議は、今世紀に入ると格好のテロ対象になるということから、警備上の都合で開催地が都会から田舎(リトリート・静養地)へと移行しており、その面で最適な場所を見つけてきたと考えられる。
しかしその2008年の日本開催を前に、瀬戸内海(岡山・香川)、関西(京都・大阪・兵庫)、開港都市(横浜・新潟)の3チームが数年来のサミット誘致活動を行っていた。政府や与党はそういう府県市の姿勢を尊重する印象を植えながら、サミットの誘致どころか開催に難色を示した北海道へ密かに手を回し、後出しジャンケンの形で立候補させて選定する手を打った。外交は国の専権事項と見る向きもあるが、こういう口だけの地方分権、口だけの努力が報われる社会に、少なくとも地方の行政マンや市民団体はまた失望させられたのではないかと思う。
2004(平成16)年の秋頃に発売された、全国初というキンキ駅弁。細長い長方形の経木枠の容器をボール紙のパッケージに詰める。中身は酢飯の上にキンキの切り身とそぼろ甘辛煮を載せる。一種しかないのに「特製」で、新製品なのに「洞爺駅名物」「元祖」はないと思うが、味は新津駅弁「元祖ひらめずし」や仙台駅弁「笹巻きえんがわずし」に似た、白身魚の脂味豊かな駅弁。
キンキとは、本名がキチジで他にメンメやキンキンとも呼ばれるフサカサゴ科の深海魚で、三陸沖やオホーツク海などが漁場で網走では名物な高級魚だそうな。だからこの駅弁も値段が張る。洞爺駅で買えたという報告は、まだ見ていない。2009年か2015年頃までの販売か。
※2017年8月補訂:終売を追記2005(平成17)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売されていたもの。粗目な経木の上げ底わっぱに透明の上げ蓋をして、掛紙を巻いてセロテープで止める。中身は茶飯の上に大きな大きな帆立を三個置くもの。海草や生姜の着色料の毒々しさは惜しいし、味付けがかなり濃いことも気になった。現地での収穫報告がまったく見あたらないので、容器の形状からも判断して、実演販売限定商品かもしれない。2012年頃までの販売か。
※2017年8月補訂:終売を追記