東京駅から東北新幹線で約1時間20分。東北新幹線と東北本線、磐越西線、磐越東線が接続し、水郡線の列車が乗り入れる駅。郡山市は福島県の真ん中に位置する、人口約32万人の宿場町。明治時代に発展した農業に加えて、鉄道や国道や高速道路が四方から集まる立地に商工業が集積、東北地方で仙台に次ぎ福島を上回る都市圏を形成する。駅弁は明治時代から売られ、昭和時代から2010年代まで複数の駅弁屋が競った。1887(明治20)年7月16日開業、福島県郡山市燧田。
2017(平成29)年に郡山駅で発売。従前の「福島牛牛めし」に代わり誕生。ただし見た目も内容も旧作とはまるで異なる。長方形の容器に白飯を詰め、福島県産牛の牛肉煮ときんぴらごぼうで覆い、さといも、しいたけ、にんじんの煮物と、野沢菜漬としば漬けを添える。脂肪分よりは赤身の香りと柔らかさを楽しむタイプに思える、内容はごく標準的な牛肉駅弁。華やかな「海苔のり牛めし」に対して、こちらは真面目にできている。価格は2017年の発売時で1,200円、2023年時点で1,300円。
2018(平成30)年7月7日から16日まで東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」で実施された「夏の新作駅弁フェア」への出品作。岩手県のブランド牛である前沢牛の駅弁といえば、かつては一ノ関駅や盛岡駅だったが、今では青森県の青森駅や宮城県の仙台駅、そして今回は福島県の郡山駅で出てきた。
見た目も中身も、普通にシンプルな牛肉駅弁。長方形の容器に白御飯を詰め、牛肉煮、ここでは「牛しゃぶタレ和え」で覆い、ごぼう、しいたけ、赤カブ漬、りんごシロップ煮を添える。過半が脂肪の肉が2/3、ガチガチに固結した肉が1/3。こんなに高い値段なのに、ブランド牛を名乗らない牛肉駅弁より優れている感じがしなかった。1年間ほどの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2017(平成29)年1月の京王百貨店の駅弁大会でのみ販売か。今回の京王でひっそりと集めて輸送販売していた、価格を1,000円に統一した各地の駅弁のひとつか。細長い容器を、緑黄色豊かな地色の掛紙を巻く。中身は白御飯を牛肉煮、ニンジン、カボチャ、レンコン、シイタケ、ごぼう、いんげん、大根桜漬で覆い、玉こんにゃくと大葉みそを添えたもの。食べればおおむね普通の牛肉駅弁も、見た目や具材で「野菜畑」のとおり、野菜たっぷり感がある。この駅弁を発見して食べられた人には好評だった模様。
2015(平成27)年1月に仙台や東京の駅弁大会でデビューか。長方形の加熱機能付き容器に白御飯を敷き、海苔で覆い、牛焼肉、錦糸卵、大根葉の油炒め、生姜入りきんぴら、しいたけの甘辛煮、もやしのおひたし、紅生姜で覆い、大葉みそと玉こんにゃくを添える、韓国風焼肉弁当。加熱により味の濃い牛肉が柔らかくなり、もやしやきんぴらで飯の上を増量でき、ただの牛肉駅弁より賑わいがあって、良い感じ。現地で売られたかは不明。翌2016年1月の駅弁大会にも出てきたところで終売か。
2010年10月9日から11日まで東京駅で開催された「第12回東日本縦断駅弁大会」で販売された商品。井形の正方形の容器に木目柄のボール紙でふたをして、赤と黄色でまぶしい正方形の掛紙で包む。中身はカレー御飯にタレをべっとり塗った牛焼肉を貼り、ニンジン、ゴボウ、玉こんにゃく、山菜漬、柴漬けを添えるもの。
この商品に相当する過去の郡山駅の駅弁を文献や体験で思い当たらないが、昭和の過去の牛肉駅弁は松阪と神戸を除き米沢を含め、タレと味付飯で肉の臭みを誤魔化したB級グルメが多かったのではないかと思う。固い肉にカレー御飯と焼肉のタレを使うこの弁当はまさにそんな感じで、価格は上等だが食べて楽しい記念駅弁。
2003年以前には発売か。長方形の加熱機能付き容器を使用、駅弁の名前や宣伝文や注意書きを書いたオレンジ色のボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上に錦糸卵を敷き、牛肉のタレ焼き2枚、牛そぼろ、きんぴらごぼう、ししとう、紅生姜を載せるもの。加熱駅弁の宿命としても牛肉の薄さと分量の少なさが特徴で、あのヨネスケ氏もそう書いている。価格は購入時で1,050円、2015年時点で1,100円。2016年頃までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2007(平成19)年秋の新商品。桶型の容器を、中身の写真に加え赤ベコ、県土、磐梯山と福島の象徴をいろいろ描いたボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上を錦糸卵と牛すき焼きで半分ずつ覆い、ニンジンと高野豆腐と赤かぶとゼンマイを添えるもの。
にゅるっとした脂の風味や食感が福島牛の特徴だろうか。錦糸卵とニンジンによる彩りも、牛一色でなく良い感じ。売店では米沢駅弁「牛肉どまん中」のライバルと紹介していたが、あちらは牛丼で、こちらは牛すき焼き丼。販売駅も異なるし、競争ではなく共存できるはず。価格は購入時で1,000円、2015年時点で1,100円。2016年までの販売か。
※2017年10月補訂:終売を追記1980年代頃の調製と思われる、昔の郡山駅弁の掛紙。掛紙のデザインが宮崎県・日豊本線都城駅「牛めし」と酷似していたことが話題になっていたが、今はどちらも駅弁屋ごと消滅。
1998(平成10)年8月15日17時の調製と思われる、昔の郡山駅弁の掛紙。上の掛紙とデザインは同じだが、国鉄がJRになり、そのキャンペーンが変わり、調製印がシールになり、価格も少し上がった。