東京駅から東北新幹線で約50分。宇都宮市は栃木県の中央に位置する、人口約52万人の城下町で県庁所在地。工業都市として栄えるほか、二荒山神社の門前町や、餃子の町としても知られる。駅弁は明治時代から一貫して健在。駅弁の発祥地はここだという説がある。1885(明治18)年7月16日開業、栃木県宇都宮市川向町。
2024(令和6)年10月に宇都宮駅で発売、同月のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2024」へエントリー。長方形のプラ容器に白飯を詰め、とちぎゆめポークのポークソテーという豚焼肉を載せ、玉子そぼろ、パプリカ、ブロッコリーで彩り、にんじんマリネとタレのカップを添える。メインのお肉は厚さも固さや柔らかさが程良く御飯に合い、甘辛さや匂いか臭みもちょうどよく、そんな高品質な没個性がおいしい。
新作の駅弁として、2024(令和6)年10月のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2024」へエントリー。宇都宮駅の駅弁売店やコンビニ「ニューデイズ」でなく、駅弁のような弁当や黒磯駅の復刻駅弁を販売する「とちびより」でもなく、その奥にあるレストラン「治兵衛式エキナカ食堂」の店頭で売られるお弁当。レストランは宇都宮市本町ホテル・ザ・セントレ3Fにお店を構える「懐石天ぷら治兵衛」といい、弁当の調製元は「とちびより」で買える「とちぎ和牛すき煮弁当」の丸治とある。
市販の加熱機能付き容器「ナルホット」そのものの黒いスリーブに「GYOZA」の黒いシールを貼って外観とする。この容器に白飯を詰め、焼き餃子を10個も並べて覆い、タレのボトルを2本も付けておしまい。過去の宇都宮駅弁「焼餃子ダブル弁当」と同じように割り切った内容の餃子弁当。宇都宮餃子のしっとり感と、全国の焼き餃子のカリカリ感を併せ持つ、ニラとニンニクの効いた風味を感じた。
2009(平成21)年2月15日に「スペシャルメンズ弁当」の名前で発売。プラ製容器に透明なふたをして、輪ゴム2本で留めたうえで商品名とお品書きと中身写真を載せたボール紙の枠にはめる。中身はコシヒカリの白御飯の上に「霧降高原豚のピリ辛味噌焼き」と「いっこく野洲どりの照り焼き」を載せて、「まぐろカツ」とわさび漬と柴漬けと赤いザーサイを添えるもの。
肉が栃木県産というだけで、掛紙で「とちぎの名物」と言い張ることには疑問を持つが、それらの肉の強さが個性的であり、名称に偽りなし。本当に本当に、肉々しい駅弁。価格は2013年の購入時で1,000円、2021年時点で1,100円。
※2021年3月補訂:値上げを追記2009年9月6日に購入した、宇都宮駅弁のスリーブ。この当時は掛紙ではなく、容器をこのボール紙の枠にはめていた。中身は2013年のものと、まったく同じ。
宇都宮駅の駅弁屋のカツサンド。水色チェックのプラ製トレーに、耳付き食パンを使ったソース漬けカツサンドを3切れ分詰める。サクサク感とふわふわ感と飾り気のなさがちょうど良い惣菜。駅弁売店で長らく見ておらず、現存しないと思われる。
※2023年11月補訂:終売を追記2018(平成30)年10月の発売は、JR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2018」へのエントリーのためか。四角い容器に白飯を詰め、トンカツを1枚置き、生姜を添える、中身がこの3点しかないシンプルな内容。豚肉に栃木県のブランド豚「とちぎゆめポーク」を使用、生姜に栃木県の岩下食品の「岩下の新生姜」を使用、そのためかどうか、トンカツ駅弁にしては値段がえらく高額である。酸味の強いソースカツ弁当。会期中の11月までの販売か。
2018(平成30)年4月1日に発売。宇都宮を舞台とした地方創生ムービー「キスできる餃子」の6月公開予定を記念した駅弁。真っ白な半円形の容器を、ピンク色の掛紙で包む姿は、まるで餃子型。その掛紙を読むと、2018年4月から6月までのJRグループの観光キャンペーン「本物の出会い栃木」も記念しているのではないかと思う。
中身はおしながきによると「カリカリ梅ごはん」「焼き餃子」「キスのフライ」「ピンクと白のうずら串」「スペイン風オムレツ」「人参の岩下漬けとくるみのマスタードマリネ」「アスパラマヨネーズ和え」。ここの餃子は下記の駅弁「焼餃子ダブル弁当」のふんわり焼餃子と同じものだろうか。その油味や臭みと、飯などの酸味が調和する、意外におしゃれなお弁当。ふたのシールがおみくじになっている。販売は数か月間か。
映画「キスできる餃子」は、ポスター記載「バツイチ子持ち女子とイケメン人気ゴルファーとキスと餃子と−奇跡のコラボレーションが焼き上がる!」のラブコメディ。映画監督と宇都宮餃子会の事務局長の全面協力のもと、宇都宮市街で撮影されたという。
※2022年4月補訂:終売を追記2017年秋のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2017」にエントリーするために、同年10月から11月まで販売か。これはかつて、宇都宮駅でなく黒磯駅で1957(昭和32)年または1958(昭和33)年から2001(平成13)年まで売られた名物駅弁の復刻である。その当時のデザインの掛紙に、宇都宮駅の駅弁屋の表記を加える。「監修 タカギ(株)」の文字があるのは、当時の黒磯駅の駅弁屋である高木弁当の関係者か何かが絡んだものか。
昭和の駅弁でよく使われた、赤黒く薄手のプラ容器を、その掛紙で包み、ひもで十字にしばる。この容器に茶飯を敷き、豚肉の醤油煮とそぼろで覆い、タケノコ、かんぴょう、しいたけ、シメジ、きんぴら、ワラビ、紅生姜、小茄子漬、紅生姜を添える。きっと懐かしいものなのだろうが、当時を知らぬ者が食べれば、パサパサで野暮ったい豚肉弁当。黒磯でも時々、イベントで復刻販売されている模様。
2017(平成29)年5月10日に、6月までの期間限定で宇都宮駅と大宮駅で発売。翌年4月から6月までの実施が予定されている、JRグループの観光キャンペーンに向けて、宇都宮市内の餃子店で構成する協同組合宇都宮餃子会の監修により開発された。好評により7月以降も売られた。
容器を覆う掛紙には、宇都宮市内の餃子店で出てくるような餃子料理を描く。中身は白御飯、焼餃子12個、たれ2袋、柴漬けのみという潔さ。宇都宮駅では下記のように、過去に何度か理屈っぽい餃子の駅弁が出ていたが、本当はこういうものが求められていたのではないかと思う割り切り感。メインの餃子は当然に焼きたてではないものの、もちもち、しっとり、臭いたっぷりで、自然に食べられた。2020年までに終売か。
※2022年4月補訂:終売を追記JR東日本大宮支社の観光キャンペーン「本物の出会い栃木」の開催に合わせて、その期間である2016(平成28)年10月1日から11月30日まで販売。日光のブランド豚「日光HIMITSU豚」に根菜類を合わせたハンバーグをメインに据え、女性に人気のロコモコを栃木風にアレンジしたのだという。掛紙はフラを踊る豚が賑やか。
中身は大豆を混ぜた玄米ごはんに、ゴボウと蓮根を混ぜた日光HIMITSU豚の根菜ハンバーグを載せ、目玉焼き風オムレツをさらに載せ、ブロッコリー、ニンジン、ソーセージ、いんげん、パプリカで彩るもの。この玄米飯は宇都宮駅弁の特徴。何も考えず食べてしまえば、栃木との関連付けが難しい、冷たくて固いロコモコ丼。しかもずいぶん高価に思えた。
宇都宮市、宇都宮大学、JR東日本大宮支社、調製元の共同開発により、「栃木味めぐり弁当」とともに2016(平成28)年4月1日から6月30日まで宇都宮駅と東京駅と大宮駅で販売される期間限定駅弁。栃木県の観光キャンペーン「「本物の出会い 栃木」春の観光キャンペーン」に合わせ、JRが宇都宮市に声をかけて、2012年度に宇都宮市と宇都宮大学教育学部大森研究室で共同開発した地産地消レシピ「餃子めし」を駅弁にしたという。その後、販売の継続か、同年10月からのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2016」へのエントリーに合わせてか、早くもリニューアル。
他の駅弁では見たことがない半円形の容器を、まるで餃子のように赤い掛紙で挟んで包む。中身は掛紙のイラストで紹介されるとおり、餃子めしにザーサイ、小松菜、ラー油を添え、モロ(モウカザメ)のフライ、ゴボウやニンジンなどの煮物を付ける。餃子めしとは、餃子の具を使う炊込飯。中身に餃子はなく、さらにこの飯はニンニクを使わないことで臭いがないのが特徴であるため、駅弁の名前に期待して餃子弁当だと思って買うと、がっかりするかもしれない。2017年に売られているかは不明。
※2017年9月補訂:現況を追記JR・東武の特急直通運転10周年を記念し、2016(平成28)年8月1日から大宮駅と宇都宮駅で数量限定にて販売。掛紙にもその記念の文字と、ロゴマークと概要が記される。「はらくち」とは、栃木の方言でおなかがいっぱいという意味だそうな。中身はカツ丼と牛丼のセット。日光HIMITSU豚のヒレカツを白御飯の上に載せ、レモンとパセリとラッキョウを添えた1区画と、とちぎ霧降高原牛の牛肉煮を白御飯の上に敷き、ゴボウやカンピョウなどを添えたもう1区画。
そんな中身は、白御飯を除き、きっと栃木県たっぷり。しかし食品表示を丹念に読んで気付かなければ、トンカツは薄く、牛肉は少なく、1,300円もするのに貧相な内容に憤慨しそうな駄作に見える。記念駅弁にしてはおとなしい、特急電車がどこにも登場しない掛紙もあり、評価されないまま消えてしまうように思えた。1か月間ほどの販売か。
ということで、栗橋駅構内に連絡線を設けて、JR新宿駅と東武日光駅や鬼怒川温泉を結ぶ特急列車「日光」「きぬがわ」「スペーシアきぬがわ」が走り始めた2006(平成18)年3月ダイヤ改正から、10年が経過。当時も今も一日あたり4往復の運行が続き、JR車両は国鉄の古い中古車から「成田エクスプレス」の新しい中古車へ交換、東武車両は2011年から2012年にかけてのリニューアルや2015年の特別塗装という変化があった。千葉や八王子や横浜方面への臨時列車も時々走る。しかし、利用状況はどうなのだろうか。上記の車両の話題を除き、直通特急列車の話はとんと聞かない。
※2017年9月補訂:終売を追記上記の駅弁「「餃子めし」弁当」の、2016(平成28)年4月1日の販売時点での姿。当時は長方形の容器に黄色い掛紙を巻く、駅弁としてごく普通の姿をしていた。中身と価格と風味は、リニューアル後と同じ。
※2016年11月補訂:新版の収蔵により解説文を変更2008(平成20)年10月12・13日の両日に東京駅構内で開催された「東日本縦断駅弁大会−秋−」で販売されたお弁当。同年の富貴堂弁当部の駅弁撤退により、同社の有名駅弁「餃子弁当味味(ウェイウェイ)」に代わる宇都宮のぎょうざ駅弁として発売したと思われる、同じ名前の商品の中身を倍量にしたものだそうな。
木目調の容器と竹皮柄のボール紙容器を重ね、掛紙を巻いて輪ゴムで留める。中身は下段がコシヒカリの白御飯と茶飯、上段にぎょうざ7個、にらまん2個、しゅうまい2個を詰めていた。味も量も大変に食べ応えがあり、この地味が過ぎる名前とパッケージが本当にもったいない。
総務省が1946年から毎年実施している、1世帯あたりの年間収支を調査公表する「家計調査」。1990年に宇都宮市が餃子への年間支出金額で全国一であることを発見した宇都宮市職員が、これをネタにした街おこしを提案、市役所から商工会や観光協会を巻き込んだPRにより、宇都宮は餃子の街になった。今や有名店には県外客の行列ができ、駅売店には餃子関連の土産物が積まれ、しかし餃子の駅弁はあまり賑やかではない。
ボール紙の惣菜弁当容器に白いトレーを入れる。容器や駅弁の名前は素っ気なく、中身も白御飯に千切りキャベツとヒレカツ6切れその他と言う具合でヒレカツ以外の見た目も味も素っ気なし。しかしメインのヒレカツは、作り置きなのにカラッとした衣に柔らかくサクッとかつジューシーなカツの食感が失われておらず、肉の香りが楽しめてソースなしでいただけるのはさすが。2008年に調製元が駅弁から撤退したため、この駅弁も終売となった。
※2009年3月補訂:終売を追記1993(平成5)年11月に発売。「味味」と書いて「ウェイウェイ」と読ませる餃子の顔のキャラクターを配した、オレンジ色の掛紙がよく目立つ。外枠の直線部のみに経木を使用した半円形のボール紙製容器に白いトレーを入れる。中身は梅干しが載った白御飯の周囲を、ふわりとした皮の大きめで冷めても美味い餃子を贅沢に7個も入れ、焼売とくせのないザーサイが入る。
宇都宮餃子会から供給された餃子は、確かに焼きたてではないと言われてしまえばそれまでだが、冷めてこれだけ良い味が出るものは他に思い浮かばない。宇都宮で市内に出る時間はないが乗換時間がある場合に、すっかり有名になった宇都宮餃子を駅弁で手軽に味わおう。2008年に調製元が駅弁から撤退したため、この駅弁も終売となった。
※2009年3月補訂:終売を追記