2012(平成24)年10月6日に、鉄道博物館の館内で販売される弁当として発売。それなのに「奥羽本線とともに百余年」という訳の分からない表記は、調製元が山形県の米沢駅の駅弁屋であるためで、米沢駅の駅弁としてスーパーやデパートの駅弁催事で売られることがある。このように東京駅の駅弁売店でも買えた。米沢駅では調製元との交渉により買えるかもしれない。
蒸気機関車の車体を模した、真っ黒なプラスティック製の容器の中に、鶏そぼろと卵そぼろの御飯、エビフライ、ウインナー、チキンナゲット、オムレツ、カップゼリーなどを詰める。この手の駅弁の常に従い、茶色いチープなお子様ランチ。価格は発売時や購入時で1,200円、2015年時点で1,250円、2019年時点で1,300円、2022年時点で1,350円。鉄道博物館では2019年までの販売か。以後は米沢駅の駅弁として、催事などで売られる。
鉄道博物館で静態展示される「1号機関車」、後の国鉄150形蒸気機関車は、1872(明治5)年の日本の鉄道開業の際にイギリスから輸入された蒸気機関車5形式10両のうちのひとつである。日本へ最初に到着したので「1」の番号を付けて新橋と横濱を結び、しかし性能や状態があまり良くない車両だったようで、関西や中京を転々とし、1911(明治43)年に長崎県の島原鉄道へ払い下げられた。
昭和時代に入ると、かつての1号機関車がまだ生き残っているぞと新聞記者が発見し、1930(昭和5)年に島原鉄道と蒸気機関車を交換することで当時の鉄道省に戻され、1936(昭和11)年に当時の鉄道博物館の東京駅付近から万世橋への移転に合わせて収められた。2006(平成18)年の交通博物館の閉館と翌2007(平成19)年の鉄道博物館の開館により、さいたまの現在地へ移転し展示が続く。車体には島原鉄道から去る際に取り付けられた「惜別感無量」の銘板が残る。
※2022年4月補訂:値上げを追記2010(平成22)年4月21日に、鉄道博物館(てっぱく)の館内で販売される弁当として発売した弁当「てっぱくランチBOX」を、鉄道博物館の開館5周年を機に、2012(平成24)年10月6日にリニューアル。引き続き弁当の名前でなく「鉄道博物館」と書かれた黒いきんちゃく袋は、以前の真っ黒が灰色か銀色になり、丸い容器が四角くなり、黒い容器が淡茶色になり、掛紙またはおしながきがなくなり、洋風の中身は和風になった。白御飯の上に機関車シルエットの海苔を貼り、とんかつ、ポテトフライ、カボチャ煮、くわいとひじきのサラダ、味付玉子、湯葉あんかけ、ナスとニンジンの煮物などを添える。2020年7月にリニューアルで終売。
※2021年3月補訂:終売を追記2010(平成22)年4月21日に、鉄道博物館(てっぱく)の館内で販売される弁当として発売。弁当の名前でなく「鉄道博物館」と書いた、蒸気機関車をイメージしたという真っ黒なきんちゃく袋に、同じく真っ黒な円形の容器を収める。中身は鶏そぼろと玉子そぼろの白御飯、汽車型たまごを貼るケチャップライス、エビフライ、カニクリームコロッケ、たこウインナー、星形ポテトフライ、車輪型とされるカレー味マカロニというお子様ランチ。きんちゃく袋に印刷される鉄道博物館のロゴマークのとおり、丸いグリーンピースとマカロニは3個ずつ入っていた。2007年10月にリニューアルで終売。
鉄道博物館はすっかり埼玉と大宮の名所になった。開館後半年で入館者数100万人を達成、その後も年間100万人のペースで来客がある。開館当時は展示車両の中で、まるで現役の鉄道車両として線路上を走っていた時のように、この弁当など持ち込んだり売店で買ったものの飲食ができたが、開館翌年の2008(平成20)年8月から車内飲食禁止としたうえで屋外に4両の特急電車の普通車を置き、「ランチトレイン」として車内で飲食ができるようにした。
※2016年9月補訂:リニューアルを追記鉄道博物館の開館3周年を記念して、2010(平成22)年の秋までに発売か。調製元は、山形県は米沢駅の駅弁屋。館内展示の蒸気機関車の写真を載せる掛紙を巻いた、竹皮柄の細長いボール紙の箱に、太巻きを3個並べ、ヒメタケを置き、芋煮を添える。この太巻きとヒメタケで、SL(蒸気機関車)の動輪とロッドを表現したのだろう。実際に掛紙のC57形式蒸気機関車は、直径1.75メートルの動輪を3軸備える。これはお手軽なアイデア作。価格は2010年の発売時で500円、2016年の購入時で550円。2018年の秋頃に終売か。
※2019年8月補訂:終売を追記2007(平成19)年10月14日の鉄道博物館の開館とともに発売された、博物館内限定販売のお弁当。価格も内容も掛紙のデザインも、基本的には同じ名前の上野駅弁と同じもの。掛紙に鉄道博物館のロゴマーク等が付き、中身に「祝開館」のようかんが付くことが相違点。この姿では半年間ほどの販売か。
鉄道博物館はJR東日本が創立20周年事業の一環として、大宮駅の北方で新幹線と高崎線に挟まれた遊休地を利用し、2007年の鉄道の日にオープンした鉄道の博物館。戦前から親しまれてきた東京神田の交通博物館の狭隘化と老朽化も移転の一因で、旧・大宮市の市政60周年に合わせた誘致活動がここに実った。開館がテレビや新聞で大きく何度も紹介されたことで、入場制限がかかる大賑わい。
※2019年8月補訂:終売を追記2007(平成19)年10月14日の鉄道博物館の開館とともに発売された、博物館内限定販売のお弁当。価格も内容も掛紙のデザインも、基本的には東京駅弁「東日本味の選りすぐり弁当 うまいもん」と同じもので、掛紙右下の絵柄が共通であることがヒント。掛紙に鉄道博物館や人気機関車の写真に鉄道博物館のロゴマーク等が付き、中身のずんだもちが「祝開館」のようかんに差し替えられていることが相違点。数か月間の販売か。
鉄道博物館の事業費のうち、約100億円をJR東日本が、25億円をさいたま市が、1億円をJR貨物が負担、合わせて最寄り駅となるニューシャトル大成駅の再整備にさいたま市が13億円をかけた。しかし開館報道では総事業費約120億円の全額をあたかもJR東日本が出したような言いぶりであった。財政難の市役所と経営難のJR貨物が、年間利益の数%を出すに留まるJR東日本の宣伝に利用されている気がしないでもないが、市内に観光名所をつくりたい市役所と、鉄道貨物をPRする機会を持ちたいJR貨物の思惑とは合っている気もする。
※2019年8月補訂:終売を追記大宮駅からニューシャトルで1駅3分。大成(おおなり)駅として開業した小さな駅は、2007(平成19)年10月の鉄道博物館のオープンに合わせて大幅に増築され、駅名も「鉄道博物館」に改めた。駅弁はなく、売店もないが、鉄道博物館の開館当時、改札外コンコースで地元の弁当が販売された。1983(昭和58)年12月22日開業、埼玉県さいたま市大宮区大成町三丁目。
鉄道博物館の最寄り駅で売られたお弁当。黒く細長い容器に、割りばしとおしぼりといくつものチラシを置いて、中身の写真と新幹線の児童絵を描いた掛紙を巻く。中身は白ゴマと刻みタクアンを混ぜた酢飯にウナギ蒲焼を1匹載せて、甘酢生姜とサツマイモを添えるもの。掛紙には1,650円の価格が見えるが、常に1,500円で販売した模様。
分量は十分だが味が微妙。飯と具のマッチングが悪く、蒲焼やタレの風味も並かやや下。調製元は生カニ海鮮料亭を名乗るので、この内容は得意分野でないのだろう。しかし地元の駅弁が全滅してJR子会社の東京駅弁しか買えない大宮界隈で、地元業者が駅売り弁当を出すことに大きな大きな意義がある。新交通システムの駅弁というのも他にないはず。ニューシャトルも地元ももっと宣伝してよいと思う。2008年までの販売か。
ニューシャトルは、1983(昭和58)年12月に大宮駅から羽貫駅までの間で開業、1990(平成2)年8月に内宿駅まで全通した新交通システム。ゴムタイヤで走る5両編成の電車が、上越新幹線の高架橋にぴったり寄り添う。東北・上越新幹線の建設で町域が高架橋にて3分割される、埼玉県北足立郡伊奈町への補償として、大宮駅まで行ける鉄道を国鉄が整備した。多くの利用は見込めないことから普通の鉄道でなく新交通システムを採用し、しかし他の同じような路線とは異なり自動運転でなく、運転士が運転し、駅には駅員がいる。地元以外の人が乗る路線ではなかったが、2007年の鉄道博物館の開業により、観光客も乗る路線となった。