東京駅から北陸新幹線で3時間強から4時間弱。敦賀市は福井県の中部で日本海の敦賀湾に面した、人口約6万人の港町。古代から大陸へ開かれた貿易港であり、明治時代には日本海側で初めて鉄道が通じ、今も港町の機能と雰囲気を備える。現在の駅弁屋は1903年から構内で営業、駅舎で棒寿司や押寿司などを販売する。1882(明治15)年3月10日開業、福井県敦賀市鉄輪町1丁目。
福井県敦賀市の観光施設「敦賀赤レンガ倉庫」の開館を記念して、2015(平成27)年10月に「敦賀赤レンガ倉庫リニューアル記念弁当」(1,080円)の名で発売。半年後の2016年6月までに、その中身から御飯と漬物を抜き出し、この「炙りサーモン」の名で発売。小さなプラ製の惣菜容器に巻いた掛紙には、煉瓦の模様と商品名などとともに「敦賀赤レンガ倉庫をイメージして創作しました」と記す。
中身は小さな円筒状の白飯に、タレと白ごまをまとうアトランティックサーモンの炙りを半分巻き付けたものを6個並べ、きゅうりの漬物を添えるもの。飯に比して厚みがあり脂が乗るサーモンとたっぷりの甘いタレで、もう少し御飯が欲しくなるうまさ。一緒に買った幕の内弁当と同じくらいの値段がしても欲しくなる軽食。駅弁売店の立地から、この駅弁を敦賀駅で見つけることが難しそう。
2018(平成30)年までには敦賀駅で発売か。上記の商品名は紙帯の記載から採ったが、売店では「ちょいとおすし(炙りますと焼さばセット)」とあり、レシートには「ちょいとすしセット」とある。過去には紙帯に「ちょいとおすし」と書いていたらしい。そんな小さな惣菜寿司向けプラ容器に、具を上面に載せた三角おむすびをふたつ、焼きさばと炙りますをひとつずつ収める。つまり、具だくさんにもほどがある焼き魚のおにぎりがふたつ。これがうまくないはずがない。大阪や東京へ輸送される敦賀駅弁とはまるで異なる、現地での姿。紙帯に書いてあった「特製煮詰めたれ」は、炙りますに少しかかっていたものか。
北陸新幹線金沢敦賀間開業記念として、その半年前の2023(令和5)年10月に敦賀駅や東京駅で発売、同月からのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2023」にエントリー。商品名と中身の写真を載せた掛紙を巻く細長い容器に、永平寺味噌炙りと直火炙りののどぐろを各1個と、ふくいサーモン3個で5個の握り寿司を並べ、醤油を添える。5年前から駅弁催事に出ている「炙りのどぐろ寿司とレアサーモン寿司」の、中身を半減して値段を7割にした感じ。駅舎の建て替えで存在感を失った、客が頑張って探さないと見つからない場所でしか買えなくなった敦賀駅弁は、新幹線で復活できるだろうか。
2024(令和6)年3月17日に購入した、敦賀駅弁の掛紙。上記の2023年のものと、まったく同じ。購入日の前日に北陸新幹線が無事に延伸開業して、掛紙で半年間先行した「北陸新幹線金沢敦賀間開業記念」が現実のものに。同時に敦賀駅の新幹線ホーム下の在来線改札内に、駅弁や土産物も売るコンビニができ、敦賀駅や北陸の駅弁が置かれるようになり、近年は現地ではいつも開店休業のようだった敦賀駅弁がいろいろ買えるようになった。
2010(平成22)年の秋から、様々な値段で断続的に販売か。中身のイメージ写真と明るい商品名を描いた黒い紙容器に、一人前の棒寿司を1本収める姿は変わらないようだ。酢飯に炙ったアトランティックサーモンを貼り付け、中にもサーモンと昆布を仕込み、プラ製の板に載せて笹の葉を巻く。薄く少ない身を炙りと脂の乗りでカバーした、お手軽においしいマス寿司。過去には身がこの何倍も厚く、値段も1,700円と高かったらしい。
2020(令和2)年1月の発売か。現地でなく駅弁催事向けに出荷する商品である可能性がある。元祖鯛鮨と同じような正方形の押寿司が、サーモンが4個と炙りサーモンが4個、木箱の中に並べられる。「ふくいサーモン」は、福井県内で海面養殖されたトラウトサーモンつまりニジマスで、福井県庁と組合や企業が2014(平成26)年から研究を始めて2017(平成29)年から出荷されるブランド魚。鮭でなくサーモンの駅弁が、各地で徐々に出始めていると思う。価格は2020年の発売時や2022年の購入時で1,280円、2023年時点で1,300円。
※2023年11月補訂:値上げを追記2021(令和3)年1月17日に購入した、敦賀駅弁のボール紙。上記の翌年のものと、絵柄も中身も値段も変わらない。よく見比べると翌年のものは、食品表示のうち原材料名の書き方が変わり、2020年12月の文部科学省の日本食品標準成分表の改訂で栄養成分表示の数値が変わり、2020年9月の敦賀市の町名地番変更により調製元の所在地が変わっている。
敦賀駅弁の主力商品「荘兵衛さんの鯖街道さばずし」の、サバがマスに変わったもの。酢飯の上にマスの身を敷き、さらに酢飯を載せてまたマスの身を敷いて、抗菌シートとともにラップで巻いてから笹の葉で包み針金で止めて化粧箱に入れる。酢飯に対するマスの分量の割合の多さは見所。高い価格を裏切らないとろけるような風味は、同封の通販ハガキによる全国配送で何度でも体験できるようになっている。価格は2003年の購入時で1,100円、2010年時点で1,500円、2019年時点で1,550円、2020年時点で1,700円、2023年時点で1,800円。
※2023年11月補訂:値上げを追記秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2018(平成30)年秋の新商品か。炙りのどぐろ寿司を4個、レアサーモン寿司を5個、しそ巻きを1個、甘酢生姜と醤油を、白いプラ製トレーのくぼみにひとつずつ収める。20年から30年くらい前には、横浜駅のシウマイや小田原駅の小鯵押寿司などで、こういう詰め方をしていたが、今では珍しいタイプだと思う。小粒な握り鮨の風味は固め。2022年春までの販売か。
※2023年11月補訂:終売を追記2021(令和3)年1月の京王百貨店の駅弁大会で購入。どうもこれは駅弁大会専用商品で、ほぼスーパーの催事向けに、2018(平成30)年の秋から出荷されている商品であるらしい。白飯をサーモンのフレークで覆い、わさびを付けた焼きハラス片ときゅうり漬を添え、サーモンのにぎり寿司2個、玉子焼2切れ、こんにゃく土佐煮カップも添える。鮭弁当でなくサーモン弁当で、風味は鮭より柔らかめ。3シーズン販売し、2021年春に終売か。
※2022年4月補訂:終売を追記