旅の友「駅弁」。実際に食べた９，０００個以上の駅弁を中心に、日本全国と世界の駅弁を紹介します。
東京駅から新幹線で約１時間４０分。名古屋市は愛知県の西部で伊勢湾に面する、人口約２３０万人の城下町。日本国内第三の大都市圏として、製造業や商業で大いに栄える。駅弁は改札外コンコースや新幹線改札内で３社約５０種が積まれ、地元や近隣の弁当なども加えて、こちらも大いに栄える。１８８６（明治１９）年３月１日開業、愛知県名古屋市中村区名駅１丁目。
２００５（平成１７）年２月に中部国際空港の空弁として発売。のちに名古屋駅の駅弁売店でも売られるようになり、今回は岐阜駅のキヨスクで買えた。商品名のとおり、赤味噌のソースに浸けたロースカツのみを耳なし食パンに挟んだサンドイッチを３切れ、赤味噌色の紙箱に収める。今の名古屋エリアの駅売店に、あってしかるべき駅弁だと思う。価格は２００５年の発売時で５８０円、２０１０年時点で６００円、２０１５年時点で６７０円。
既存の名古屋駅弁「名古屋みそかつ弁当」に、名古屋を代表する老舗洋食屋という「名代とんかつ八千代味清」の監修を追加し、２０２０（令和２）年までにリニューアルか。商品名を書いた専用の紙箱に収めた黒いプラ製トレーに、日の丸俵飯風の型押し白飯、とんかつ、カリフラワー、青菜漬け、ニンジンとしいたけとタケノコの煮物と高野豆腐、しば漬けを詰める。みそかつのタレと胡麻と辛子は別添。シンプルできれいな、みそかつ弁当。価格は２０２０年時点で９３０円、２０２２年時点で９５０円、２０２３年時点で１，０５０円、９月の購入時で１，１００円。
２００９（平成２１）年までに、従前の名古屋駅弁「だるまのヒレカツみそ丼」をリニューアル。白飯の上に透明なフィルムを敷き、いくつもの味噌カツを置き、はりはり漬、半熟卵、インゲンのごま和え、辛子を添える内容は従前と同じで、「丼」を「重」に読み替えた。シンプルな内容と濃厚な味付け、それを和らげる半熟卵が特徴で、これで２０年売り続けたのならば人気で定番の駅弁と呼べそう。価格は２００９年時点で８８０円、２０１５年時点で１，０００円。不思議なことに、この駅弁だけ資料により異なる価格が現れる。
２０２２（令和４）年の４月までに発売か。駅弁の名前は「三元豚味噌カツ＆八丁味噌トンテキ重」などと、少し短くなることがある。長方形のプラ容器に白飯を詰め、三元豚ロースみそかつ１枚で覆い、八丁味噌トンテキですき間を埋め、半熟卵、わさび菜おひたし、しば漬を添える。今の名古屋駅弁やその輸送販売では、こういう味噌カツ弁当がよく売れるのだろう。味や中身は下記の駅弁群と共通で、ここでは固くて臭みのあるトンテキで風味に変化を加えた感じ。
調製元の創業８８周年を記念して、２０１０（平成２２）年に発売。商品名と中身の美しい写真が賑やかなふたの裏面には、この駅弁の宣伝文が記される。中身は白飯、カクキューの八丁味噌を使う三元豚のみそカツ、スパゲティ、ポテトサラダ、煮玉子、シイタケやタケノコなどの煮物、きんぴらごぼう、大根桜漬。飯とカツでほぼすべてといった印象で、添付のすりゴマと辛子も活用して、力強いみそかつ弁当を列車内でいただける。価格は２０１０年の発売時で９００円、２０１４年時点で９３０円、２０１５年時点で９８０円、２０２０年時点で１，０００円、２０２２年時点で１，０５０円、２０２３年時点で１，１４０円。
※２０２３年１１月補訂：写真を更新
２０２０（令和２）年５月２４日に購入した、名古屋駅弁のふた。中身は上記の２０２３年のものと同じ。容器も変わらないが、ふたの絵柄がまったく異なるため、売店では新しい駅弁が出たのではと思った。
２０１０（平成２２）年までに発売か。白飯にみそエビフライを２本と小さなみそかつを載せ、柴漬け、山菜、半熟卵を添える。見た目どおり、期待どおりの味。内容がほとんど同じで、名前や中身が微妙に異なる駅弁は、ここにはいくらでもあるので、印象が混同するし、混同するくらい風味に違いがない。
２０１９（令和元）年８月の発売か。従前の「松浦のみそカツ丼」をリニューアルしたという扱いのようだ。白飯をヒレカツで覆い、カクキューの八丁味噌を使う味噌だれをかけて、半熟卵とわさび菜お浸しを添える。そんな構成は各社や過去の名古屋駅弁で見たり食べた記憶があり、それらとたいして変わらない定番感。トンカツをスライスし肉を見せる並べ方には、今までの名古屋駅弁はない新鮮味を感じた。価格は２０１９年の発売時や購入時で９８０円、２０２２年時点で１，０００円、２０２３年時点で１，０８０円。
※２０２３年７月補訂：値上げを追記
２０１３（平成２５）年１月の京王百貨店と阪神百貨店の駅弁大会で実演販売。駅弁でおなじみの長方形の容器に白御飯を詰め、八丁みそだれを濃厚にまとう尾張牛の牛すじのどて煮を敷き、トンカツ、煮玉子、山菜醤油漬、紅生姜を添えるもの。こんな濃い見栄えと具材なのに、同時に発売した「どて＆大えびフライ丼」と連続で食べて胃もたれしない意外な軽さ。もし現地でこのキラキラしたパッケージを見ることができるのならば、元気になれそう。催事専用商品と思ったら、後に近鉄名古屋駅などで売り始め、２０２２年時点でＪＲ名古屋駅でなく近鉄名古屋駅の駅弁である模様。価格は２０１３年の発売時で９５０円、２０１５年時点で９８０円、２０１６年時点で１，０００円、２０１９年時点で１，１００円。
※２０２１年２月補訂：終売を取り消し値上げを追記
東海道・山陽新幹線「７００系のぞみ」の運転開始に合わせ、１９９９（平成１１）年４月に発売か。２０００年代は名古屋駅弁で筆頭格の存在だった。正方形の容器に、八丁味噌の製造風景を背景に駅弁の名前を書いたボール紙でふたをして、割りばしに加えてプラスティックのナイフとフォークを添付する。中身は梅干しでなく柴漬けを据えた日の丸御飯に、きしめんサラダ、いんげんごま和え、オレンジ、そして赤黒く「びっくり」するほど大きく、それでいて極端に薄くもない「みそかつ」が置かれるもの。価格は２０１０年の購入時で９８０円、２０１４年時点で１，０９０円、２０１５年時点で１，１６６円、２０１７年時点で１，１８８円を経て１，０１０円、２０２０年時点で１，１００円、２０２３年時点で１，２００円。
※２０１７年５月補訂：値上げを追記
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、２０２１（令和３）年秋の新商品か。名前のとおり、スリーブに文字と絵柄で示されるとおり、容器の左半分が松阪牛の牛めし重、右半分が三元豚の味噌ヒレカツ重となり、これに味付け卵としば漬けを添える。名古屋駅で買えた牛やカツの弁当よりも、脂身の香り豊かな牛丼であり、赤味噌の風味豊かなカツ丼であったと思う。このシーズン限り、半年間の販売か。駅弁催事専用商品だったのかもしれない。
※２０２３年７月補訂：終売を追記
２０１６（平成２８）年の夏までに発売か。白飯の上に、真っ黒になったヒレ味噌カツを３枚載せ、煮玉子も置き、ブロッコリーと柴漬けを添える。ジェイアール東海パッセンジャーズの駅弁なのに、東京、品川、新横浜駅や京都、新大阪駅では売らない、名古屋駅限定の駅弁。無駄のないシンプルさが潔い。２０２２年までの販売か。
※２０２３年４月補訂：終売を追記
似たような駅弁がここにはいくつもあると思うが、これそのものは２０１５（平成２７）年１月の京王百貨店の駅弁大会での実演販売でデビューか。惣菜向けの円形プラ容器に白御飯を詰めて、みそかつを１個置いて、山菜煮ともやし炒めですき間を埋め、守口大根漬を添え、半熟卵を１個付ける。分かりやすい飯＋カツ＋半熟卵＋付合せ。簡素な容器の使用も、ここでは特徴を後押ししている感じ。駅でどう売られているかは分からない。この時だけの販売だったのかもしれない。
名古屋駅にあふれる味噌カツの駅弁のうち、数少ない松浦商店のもので、２０１１（平成２３）年頃の発売か。白飯に丸い味噌カツを３個置き、半熟卵、シイタケとタケノコとニンジンの煮物、和え物を添える。カクキューの八丁味噌を使うとか、半熟卵でまろやかな味になるとか書いてあるが、常温の駅弁として食べると他社や他種のものに比べて、肉質以外の差はないに等しい。普通においしくいただける。価格は２０１４年の購入時で８８０円、２０１８年時点で９００円。２０１９年８月に「松浦の味噌ヒレカツ重」へリニューアル。
※２０２０年１月補訂：終売を追記
２００６（平成１８）年１０月に発売。電子レンジでの加熱がお似合いのプラ製の惣菜容器を、パソコン用ソフトウェアでも入っていそうなブック型のボール紙製容器に収める。中身は白御飯の上に串カツ２本と牛すじどて煮、タクアンと竹輪とウズラ卵とこんにゃく玉、半熟卵にねりからし。中身はなんとなくおでん風。
催事屋製の「駅弁の達人」マークが付いているとおり、駅弁催事向けの商品だと思うし、実際にそういう光景を何度も見たが、こうやって駅でも売られ、駅での実演販売も行った。名古屋くらい多種多様の駅弁が入り乱れているのならば、こういう駅弁らしくない変わり者がいてもよい。駅弁ファン以外の層に受けている人気駅弁。２００９年頃までの販売か。
※２０１５年１０月補訂：終売を追記
駅構内で実演販売をするという、世にも珍しい駅弁。秋冬の駅弁大会でも実演販売が実施され、販売数ではこちらが多いかもしれない。中身は「びっくりみそかつ」や「だるまのみそ丼」と同じ味がする、御飯と千切りキャベツとミソカツと半熟玉子とタクアンを惣菜用プラ容器に入れるもの。具の変更は容易だろうから、様々なバージョンが存在するだろう。
名古屋駅では２００４年５月から、駅弁業者３社が月替わりで駅弁の実演販売が実施されており、地元で話題を呼んでいる。駅構内にはレストランやファストフードもあるから、弁当の実演販売が実施されても不思議ではないが、駅弁屋が駅弁をこうやって売るのは類例がないと思う。２００８年頃に撤収か。
名古屋の味噌カツ駅弁の、ジェイアール東海パッセンジャーズ（ＪＲＣＰ）版。赤味噌仕込を描いた紙箱に黒いトレーを入れて、食品表示のシールで封をする。中身は幕の内駅弁風の梅干付俵飯に、黒豚トンカツが一切れ、マカロニサラダや煮物各種などと温泉卵が入る。価格は２００３年の購入時で８５０円、２０１４年４月の消費税率改定で８７０円、２０１７年時点で８８０円、２０２０年までに「名代とんかつ八千代味清監修みそかつ弁当」へリニューアル。
※２０２３年１０月補訂：リニューアルを追記
２００２（平成１４）年頃に発売か。赤いトレーを入れた長方形の容器に透明なふたをかけてボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上に八丁味噌のタレにどっぷり漬けたヒレカツとエビフライを2個ずつ載せて、インゲン胡麻和えとともに半熟卵をひとつ添えている。
食べる際にこれをカツの上に割ることを推奨するが、駅弁を置く平坦地と卵を割る角さえ確保できれば、うまく卵がこぼれない程度の窪みが確保されているから、成功率は高いと思う。これで味噌ダレの味の角が丸まり、カツとタレのまろやかな風味が口に広がるから、赤味噌嫌いでも大丈夫かもしれない。これが名古屋の新名物「みそ丼」。２００９年までに「だるまのみそかつえびヒレ重」と交代。
※２０１５年１０月補訂：終売を追記
２００２（平成１４）年頃に発売か。赤いトレーを入れた長方形の容器に透明なふたをかけてボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上に八丁味噌のタレにどっぷり漬けたヒレカツを３個載せて、インゲン胡麻和えとともに半熟卵をひとつ添えている。
食べる際にこれをカツの上に割ることを推奨するが、駅弁を置く平坦地と卵を割る角さえ確保できれば、うまく卵がこぼれない程度の窪みが確保されているから、成功率は高いと思う。これで味噌ダレの味の角が丸まり、カツとタレのまろやかな風味が口に広がるから、赤味噌嫌いでも大丈夫かもしれない。これが名古屋の新名物「みそ丼」。２００９年までに「だるまのみそかつヒレ重」と交代。
※２０１５年１０月補訂：終売を追記
名古屋駅弁「びっくりみそかつ」の縮小版。パッケージのデザインや中身を変えないまま、御飯を少なくみそかつを小さく、それに従い容器の大きさもやや小さくなり、価格を約７割に抑えた。それでも見栄えと味の重さは同じように確保され、やっぱり十分に胃に重たい。この駅弁業者が使用する袋にもでかでかと「びっくりみそかつ」の名が記されるということは、このシリーズが最も売れていたのだろう。２００４年頃までの販売か。