博多駅から新幹線で約50分。九州新幹線鹿児島ルートの部分開業で、在来線特急と新幹線を乗り継ぐ駅として開業、2011(平成23)年3月の全線開業で、博多駅や新大阪駅への直通列車が走り始めた。駅では八代駅と同じ駅弁が売られる。2004(平成16)年3月13日開業、熊本県八代市上日置町。
熊本駅から普通列車で約40分。八代市は熊本県の中部で不知火海に面する、人口約12万人の港町で城下町。干拓地や埋立地での農業や工業がさかん。駅弁は明治時代から売られたが1990年代に撤退、河童姿で進出した市内の中華料理屋も2000年前後で消えたが、2004年の九州新幹線部分開業とともに進出した駅前の鮎問屋がつくる「鮎屋三代」がヒット、以後は新八代駅と同じ数種類の駅弁が売られる。1896(明治29)年11月21日開業、熊本県八代市萩原町1丁目。
JR九州の駅弁キャンペーン「九州の駅弁グランプリ」へのエントリーに向けて、2011(平成23)年10月1日までに発売か。真っ黒な長方形の容器を、中身のイメージ写真に商品名を載せた掛紙を巻く。中身は御飯の上を肥後牛の牛肉煮、シイタケとニンジンとレンコンと菜の花と大根桜漬で覆い、半熟タイプの卵を載せるもの。
つまり、2010年に京王百貨店の駅弁大会と地元で人気となった松江駅弁「島根牛みそ玉丼」の模倣であり、これは現代的にうまい。模倣は悪いことではなく、昭和の昔から構内営業中央会の会員の間では、駅弁のヒット商品が数年のうちに各地へ広がるようになっている。寒い日だったので見た目には牛肉に脂が浮いていたが、ビーフの味と香りに影響するものではなかった。価格は2011年の発売時や2012年の購入時で980円、2014年時点で1,030円、2017年時点で1,150円、2020年時点で1,250円。
※2020年5月補訂:値上げを追記2005(平成17)年の夏頃に発売か。同年10月からのJR九州の駅弁キャンペーン「九州の駅弁ランキング第2弾」にエントリー。赤い長方形のふた付きプラ容器を、駅弁の名前と阿蘇を描いたボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上に、阿蘇赤うしのバラ肉煮込みを詰めて、モモ肉焼きを貼り付けるもの。薄切りでないと噛み切れない硬いモモ肉の風味や食感に、ワイルドさが満点。脂味と柔らかさを競う国産ブランド牛や同駅弁とは、一線を画す。価格は2005年の発売当時や購入時で1,000円、2010年時点で1,100円、2014年時点で1,150円、2017年時点で1,250円。
草原は、阿蘇を代表する風景。これは自然の風景でなく、その多くが放牧や採草や野焼きによる半人工物であるが、緑肥や屋根材の需要減少に畜産の苦戦で放棄地が増え、林や森に還るか住宅地等に転用されつつあるという。自然や社会に任せて、それでもいいような気はするが、国や地域ではこれを問題視しており、環境省主導でそんな二次自然の再生を頑張る。阿蘇の赤牛を食べることは、それに一役買うという。
なお、阿蘇と八代に直接の関係は感じられないが、2004年に特急「あそ」と急行「くまがわ」を統合した史上初のワンマン列車での特急「九州横断特急」が出現し、直通列車が一日7本も登場した。2016年3月ダイヤ改正での肥薩線特急列車の廃止で、「あそ」は熊本駅発着に戻る。
※2020年5月補訂:値上げを追記上記の駅弁「阿蘇赤うし」を、催事でなく現地で買ったもの。価格も中身も一緒だが、容器が固いプラ製でなく発泡材であり、牛肉の焼き方がウェルダンでなくミディアム。ワイルドさを保持しながら、一般受けする味になっていると感じた。九州新幹線の新八代駅、肥薩おれんじ鉄道の八代駅、JR八代駅で販売され、入手の容易さもこの順番という印象。これも価格は、2005年の購入時で1,000円。おそらく2010年時点で1,100円、2014年時点で1,150円、2017年時点で1,250円。
※2020年5月補訂:値上げを追記九州新幹線全線開業記念駅弁22種のひとつとして、2011(平成23)年1月1日から8月31日まで販売。その後も販売が継続された。赤い木目調の容器を、熊本城を描き九州新幹線マーク、駅弁マーク、九州駅弁マークを載せた黒い掛紙で巻く。中身はつまり、八代駅や新八代駅の駅弁「鮎屋三代」と「天草大王」を半分ずつ詰めたもの。
だから味は保証付き。しかし今回は、九州の駅弁が京王の催事場でシンプルさに欠けて負けた過去があるにもかかわらず、シンプルさを欠いたこのような駅弁でまた催事場へ勝負に来てしまい、ライバルでシンプルな新青森駅弁「浜焼きホタテ海鮮ひつまぶし」に完敗した。熊本駅でも販売。2014年までの販売か。
※2016年10月補訂:終売を追記2001(平成13)年3月13日に発売。日奈久の竹輪を入れたチャーハンに、八代が「がらっぱ」つまり河童(かっぱ)の渡来の地とされることにちなみ、河童の頭を模した焼売にキュウリ漬物を添える。地元の中華料理店の店主が考案した。地元の高校生が製作した河童姿の衣装をおじさんが着て、11〜13時の間にホーム上で立ち売りする、街おこし型の駅弁。月曜定休。しかしどうも、2004年3月の九州新幹線開業の頃に、駅から追い出されてしまったらしい。
2012(平成24)年10月に発売し、同時にJR九州の駅弁キャンペーン「第9回九州駅弁グランプリ」にエントリー。他の駅弁でもよく使われる釜飯タイプのプラ容器に、とんこつ味の御飯を詰め、豚角煮のブロックをいくつも置き、からしれんこん、タケノコ、ニンジン、菜の花、酢生姜を添える。冷たいのにとろける豚角煮、刺激が少なくてありがたい辛子蓮根揚、淡い茶飯は、重くパワフルな内容なのに淡くスッキリした風味。2年間ほどの販売か。
黄色いパッケージには、熊本県のマスコットキャラクター「くまモン」が12体も描かれる。2011年の春に予定されていた九州新幹線鹿児島ルート(博多駅〜鹿児島中央駅)の全線開業により、観光客が熊本を通過して鹿児島へ流れてしまわないよう、関西地方へのPR活動の一環として、熊本県が2010年3月に用意したキャラクターである。
2011年11月に開催された「ゆるキャラグランプリ2011(第2回)」のインターネット投票で、349種類中第1位の得票数を稼いだことが、東京のテレビなどのメディアで取り上げられたことで、全国的に知られ人気となった。そして、ゆるキャラと熊本県と、キャラクターの生みの親のひとりである小山薫堂氏(現在の熊本県天草市出身)の名を大いに上げた。今では熊本県内の土産物店は、くまモンに占拠されている。
2009(平成21)年1月の京王百貨店の駅弁大会で、新八代駅弁を名乗りそのブースで実演販売されたお弁当。同時に実演販売の「阿蘇赤うし」と同じ掛紙と容器を使い、掛紙に「肥後牛」の金色シールを貼る。中身は白御飯の上を色の濃い牛肉の細切れやそぼろが覆い、玉子焼、菜の花、レンコン、はじかみ、紅生姜が添付されるもの。食べて無難な商品だが、はたして現地では売られたのだろうか。
※2020年5月補訂:終売を追記1955(昭和30)年4月6日の調製と思われる、昔の八代駅弁の掛紙。八代宮、球磨川、サボン、彦一を描くことが分かる。名物男「彦一」とは、熊本や八代における一休さんのような存在で、昔話や民話として様々なとんち話が伝わる。