博多駅から九州新幹線で約1時間。鹿児島市は鹿児島県の中部で鹿児島湾に面する、人口約59万人の城下町で県庁所在地。活発な火山活動が続く桜島がシンボル。駅弁は明治時代からの鹿児島駅の駅弁屋が1943(昭和18)年に進出し、2006年頃に撤退、以後はキヨスクその他の駅売店で、主に出水駅の駅弁屋の商品が売られる。1913(大正2)年10月11日開業 鹿児島県鹿児島市中央町。
2009(平成21)年1月に発売、2014(平成26)年と2020(令和2)年にリニューアル。今回は中身を前回のリニューアル前に戻した感じで、サフランライスを鹿児島黒豚赤ワインステーキという豚焼肉で覆い、いんげん、さつまいも、マスタードを添える。今回の実演販売では、ステーキでも焼肉でもないような、やや厚めでふんわりした、見た目でも脂が多そうで、しかしにおいやくどさがない、変わった豚丼だと思った。2020年までの販売か。
※2022年4月補訂:終売を追記2018(平成30)年11月30日公開の映画「RAILWAYS」シリーズ第3弾「かぞくいろ」とのタイアップ駅弁として、同年11月に発売。2010年の第1弾は「島根牛弁当 東日本版」、2011年の第2弾も「黒部名水ポーク弁当 東日本版」で、それぞれ駅弁になった。今回は熊本県と鹿児島県を結ぶ肥薩おれんじ鉄道が舞台となり、鹿児島の駅弁となった。
路線図と映画の名前「かぞくいろ」を中身写真とともに掛紙に記載。中身はタレ焼き豚丼と塩焼き豚丼を煮玉子とサツマイモと薩摩揚で仕切る、どこかで見たような中身と、いつもの出水駅弁の濃くて硬い味。翌年3月頃まで販売された模様。
2017(平成29)年12月に新大阪駅の駅弁売店「旅弁当駅弁にぎわい」でデビューか。商品名のとおり、トンカツ2個分4切れと、御飯の上に焼肉を少々詰め、タケノコなどの煮物、玉子焼、金時豆、紅生姜などを添える。鹿児島の名で増殖繁殖する黒豚駅弁のひとつで、味もそれらと同じ感じ。掛紙には中身と桜島のイラストが描かれる。しかしどうも鹿児島中央駅など鹿児島県内でなく、新大阪駅と東京駅の巨大駅弁売店でのみ売られる商品である模様。2019年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2017(平成29)年秋の新作は、2018年のNHKの大河ドラマ「西郷どん」の放映前に合わせたものか。主にスーパーやデパートの駅弁催事へ出荷されているように見え、京王百貨店駅弁大会や阪神百貨店の駅弁大会でも売られた。白御飯を鹿児島黒豚で覆い、玉子焼とサツマイモのレモン煮を添える姿は、このページに掲載する過去の黒豚駅弁に酷似する。このざらついた豚味噌焼丼もまた、何かの出水駅弁で食べたような味。2019年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2009(平成21)年までに発売か。小柄な正方形の容器に白御飯を敷き詰め、黒豚の味噌焼き、高菜の醤油漬け、鶏唐揚、薩摩揚げ、錦糸卵、紅生姜、ニンジンなどで覆う豚丼。豚肉のおこげの香り食が進み、廉価がうれしく、県内駅弁最大手の松栄軒と違う味があることも大切。価格は2016年の購入時で788円、2021年のJR九州の駅弁キャンペーン「熊と鹿」では790円でエントリー。2022年までに終売か。
※2023年4月補訂:終売を追記2016(平成28)年10月に「黒豚三昧」「牛肉三昧」「鶏肉三昧」がまとめてデビュー、同時にJR九州の駅弁キャンペーン「第12回九州駅弁グランプリ」へまとめてエントリー、さらに東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」でまとめて販売。ボール紙製パッケージのデザインもよく似ている。
黒い正六角形の容器の黒豚三昧は、茶飯を豚味噌そぼろと錦糸卵で覆う丼、茶飯を豚肉の塩たれ焼きと高菜漬けで覆う丼、茶飯を豚肉の醤油たれ焼きと紅生姜で覆う丼のセット。冷蔵販売の影響もあるのか、いずれも固く冷たく味付けの濃い味。2018年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2009(平成21)年1月発売の下記の駅弁「鹿児島黒豚赤ワインステーキ弁当」を、2014(平成26)年1月に改称のうえリニューアルか。サフランライスの上に豚焼肉を貼るという主旨は変わりなく、掛紙を廃しボール紙の枠に変え、添え物がニンジン、インゲン、さつまいも、福神漬、マスタードに変わった。東京都内や各地の駅弁催事ではこの姿で、鹿児島中央駅ではどうもステーキというよりシワシワな豚焼肉の姿で、いずれも盛大に売られた。どうも半年ほどで名前を「鹿児島黒豚赤ワインステーキ弁当」へ戻したらしい。2020年までに上記へリニューアル。
※2020年6月補訂:終売などを追記駅弁屋とJA鹿児島県経済連養豚課との共同開発により、2013(平成25)年9月21日に鹿児島中央駅と出水駅で発売。「かごしま黒豚」でなく、JAが1998(平成10)年に開発した「茶美豚(チャーミートン)」のアピールのために生まれた。真っ黒で丸いプラ容器に味付飯を詰め、パッケージの写真のように豚角煮、刻み海苔、錦糸卵、きんぴらごぼう、高菜漬、紅生姜、レンコン揚げで覆い、煮玉子を据える。普段の鹿児島中央駅や出水駅の豚丼弁当とは違う肉を使っているはずが、味はいつもの鹿児島黒豚の出水駅弁と同じに思えた。半年ほどで終売か。
2006(平成18)年か、それ以前の発売。真っ黒な容器を二段重ねにして、商品名と材料を描いたシンプルな掛紙をかける。中身は下段が日の丸御飯とタクアン、上段がとんかつ、キャベツの千切り、エダマメ、ミニトマト、玉子焼、筑前煮、ソースとマスタード。まるで食堂のとんかつ定食がそのまま弁当になった感じ。添付のソースで塩辛くしないほうがジューシーな、常温で活きるお弁当の味。価格は2006年の発売時で800円、2013年の購入時で880円、2014年時点で972円、2017年時点で1,080円。2022年までに終売か。
※2023年4月補訂:終売を追記2012(平成24)年の秋までに発売か。炊込飯の上を錦糸卵と黒豚チャーシューで覆い、ガネ、薩摩揚、玉子焼、筑前煮などを添える。駅弁の名前あるいは同種の駅弁と違い、メインになるはずの黒豚チャーシューは中小各1切れのみで、これを載せた御飯の部分も全体の半分程度であり、おかずが充実。名前から想像する重さを、良い意味でまったく感じないお食事。買って食べた普通の旅行者にも好評のようだ。価格は2013年の購入時で800円、2016年時点で864円、2018年時点で972円か。2018年か2019年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2012(平成24)年か、それ以前の発売。掛紙には、噴煙を上げる桜島と豚のキャラクターと商品名と宣伝文を描く。中身は五目飯とゆかりめし、ハンバーグ、エビフライ、サワラ照焼、玉子焼、鶏照焼、大学芋、ハッシュドポテトなど。黒豚ハンバーグは中身のごく一部であり、頭や体を使った後の昼食に向くようなガッツリ系のお弁当。これもまた、味は軽い。価格は2013年の購入時で945円、2014年4月の消費税率改定で972円、2018年時点で1,080円。2018年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2011〜2012年の駅弁大会シーズンに向けた、2011(平成23)年秋の投入か。中身のイメージ写真を熱く描いたボール紙製のパッケージに収まる黒塗りの容器の中身は、和風だし味飯を醤油ダレの豚焼肉で覆い、サツマイモと紅生姜を添えるもの。下記「さつま黒豚焼肉重」との違いは、パッケージの絵柄と御飯の味付けの有無だけだと思うし、肉の味や弁当の雰囲気は他の出水駅弁とそっくりだし、サツマイモと紅生姜の不気味な臭いもそのまんま。駅弁催事のために頭数や新商品を揃える役割を持っているように感じた。この内容とパッケージでは、このシーズン限りの販売か。
※2015年9月補訂:終売を追記2011〜2012年の駅弁大会シーズンに向けた、2011(平成23)年秋の投入か。総プラスティック製の釜型容器を、中身を美しすぎる写真で表現したボール紙で留める。中身は茶飯の上をまるで焼き鳥のように刻んだ豚肉焼で覆い、紅生姜を添えるもの。しっかり焼かれてガサガサに丸くなった黒い豚肉が締まる。このシーズン限りで終売か。
※2015年9月補訂:終売を追記これも駅弁大会専用商品か。丈夫で真っ黒な長方形の容器を、中身のイメージ写真をとても美しく印刷したボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上に豚焼肉を貼り、サツマイモと紅生姜を添えるだけのシンプルな内容。
しかしこの輸送駅弁はどうしたことか、常温で脂がほのかに白く浮いた駅弁らしくない豚焼肉は、コクもキレも香りもなく少々の臭みしかない感じ。サツマイモからは酸味がして、紅生姜からは塩素系消毒液の臭いがする。この調製元の商品にここまで不味いものは記憶になく、製造委託先のチョンボかと思えば、そんな記号は付いていない。1000kmを超える遠距離輸送のため、安全に気を遣いすぎたのだろうか。この名前と内容とパッケージでは、2010〜2011年の駅弁大会シーズン限りの販売か。
※2015年9月補訂:終売を追記2009(平成21)年1月の京王百貨店の駅弁大会に向けた投入か。枠に黒いトレーを接着した長方形の容器に透明なふたをして、商品名を書いた掛紙を巻き、ゴムでしばる。中身はサフランライスの上に豚焼肉を貼って、なぜか福神漬を添え、ミックスベジタブルとリンゴのコンポートを添えるもの。
見た目はBSE騒動前のC級グルメな豚丼で、実演大量製造販売の弊害か、豚肉の見栄えは最悪である。しかし赤ワインソースに漬け込んで焼き上げたという鹿児島県産黒豚は、赤身も脂肪もこってり柔らか。少々くどい感じもあるので、少量の空弁かミニ駅弁が似合いそうな気がした。しかし出水駅弁はいろんなものを実演してくるものだ。2013年までの販売か。
※2017年4月補訂:終売を追記九州の駅弁ランキング第3弾の開催に合わせて、2006(平成18)年10月1日に発売。プラ製トレーを接着した長方形の容器を、中身のイメージをプロの写真で撮ったボール紙箱にはめる。中身は白御飯の上を錦糸卵と醤油味の豚肉で半分ずつ覆い、高菜とごぼうと紅生姜を添える。
つまり、下記の駅弁「かごんま黒ぶた弁当」が、たとえるとステーキの味噌味で、こちらはバラ肉の醤油味。どちらも豚肉が濃厚にうまいのは間違いない。催事に出せば出水と駅弁をPRできる。価格は2006年の発売時や2007年の購入時で1,000円、今はJR九州の駅弁キャンペーン「第11回九州駅弁グランプリ」の開催へ向けて、2014年10月までにリニューアルした1,080円のものが売られている。
出水の駅弁も新幹線の開業で、良く言えばずいぶんと近代化、悪く言えば催事屋の臭いがするようになってきた。例えばこの駅弁を山形空港の空弁だと言われても、違和感があまりない。果たしてここで6種類もの駅弁を維持できるのかどうか。
※2015年9月補訂:リニューアルを追記2004(平成16)年3月の九州新幹線部分開業に合わせて発売か。デパ地下の惣菜のような浅く広い容器に、桜島と商品名のみ書いた簡単な掛紙をかけて、ゴムでしばる。中身は鶏の炊込御飯の上に黒豚バラ肉煮を載せて、有頭海老に薩摩揚にきんぴらや玉子焼や煮物やコールスローなどを添えるもの。鹿児島の食材にこだわったそうな。
分量と御飯部分でパワフルな重さと、食材の種類や見栄えとおかずの部分でしなやかな軽さは、合わせればちょうどよい。容器や外装に感じる駅弁らしくなさは、むしろ新しい鉄道に合わせた新しいスタイルを感じる。ただ、JR子会社が市中の弁当を仕入れて売る形態は、失うものがないとは言えない。この駅弁の製造者の所在地と電話番号では、なぜか別名の自動販売機屋が該当する。この駅弁は2014年時点で現存していないのではないかと思う。
下記の駅弁「かごんま黒ぶた弁当」を、2005(平成17)年にリニューアル。樽断面型容器に真っ黒なフタをして、駅弁の名前を書いた掛紙で割りばしごと巻いてゴムでしばる。中身は粟入り御飯の上にかごしま黒豚の味噌焼を貼り付けて、薩摩揚や煮物などを添えるもの。
京王百貨店での完敗を受けて、幕の内から脱却し豚丼として再出発。以前も今回もメディア受けは良いのだが、これで確実に催事客受けする内容になったはず。出水駅でもおそらく「えびめし」を抜いて看板商品の地位を得たのではと思う。価格は2005年の購入時で1,050円、2014年4月の消費税率改定で1,080円。2015年中に終売か。
2004(平成16)年3月の九州新幹線の新八代駅〜鹿児島中央駅での部分開業に伴い、出水駅の駅弁は、駅の裏側にできた新幹線駅の高架下観光物産館での取扱商品となった。不要になった在来線の駅舎には、なんとこの駅弁屋が進出。外観に鉄道駅の面影を残しながら、内部は弁当工場になった。
※2017年3月補訂:終売を追記2004(平成16)年の秋に発売。翌2005年1月の京王百貨店の駅弁大会で、豚対決として主役を演じた。真っ黒な正方形の容器に朱黒の大きな掛紙をかけてゴムで十字にしばる。中身は豚入り幕の内駅弁という感じで、麦や粟も混じる薩摩芋御飯に、メインの黒豚味噌焼、これに薩摩揚や大学芋にタケノコなどの煮物や菜の花おひたしなどを添える。
今までの出水駅弁を凌ぐ手間と技術をかけたような本格派も、都会の買い物客にはシンプルな豚丼のほうが受けたようで、弁当も業者も駅弁の実態がなかった対決相手の「摩周の豚丼」に、ダブルスコアで完敗してしまった模様。九州新幹線の部分開業でおそらく駅弁需要が縮小していると思われる出水駅で、第三の駅弁として定着できるかどうか。
※2006年1月補訂:公式サイトURLの追記