東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJRの子会社が調製するもので100種類以上とも、エキナカの商品を含めて400種類以上とも、デパ地下の弁当を含めて1000種類以上ともいわれる、世界一の駅弁販売駅。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
東京駅では2024(令和6)年の3月までに売店「HANAGATAYA」で発売か。輸送や地方をうたわずに東京で売られる弁当なのに、食品表示ラベルでの調製元は福岡県福岡市の博多寿改良軒であり、おてふきには広島県広島市の広島駅弁当とある、その背景を知らないと謎の商品である。
広島駅の駅弁屋である広島駅弁当は、2010年12月限りで廃業した博多駅の駅弁屋である寿軒の名を継ぎ、2018年の年末までに博多寿改良軒を設立、2021年の夏に博多駅で「博多名物焼き鳥弁当」を発売し、広島駅や東京駅でも販売した。この弁当はその2024年時点での姿に見えるが、博多や広島や東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」のものとは姿が異なり、ふたに記すブランドネームも「壽改良軒」であり博多の文字がどこにもない。
中身はその博多名物焼き鳥弁当と同じ。容器に敷き詰めた醤油飯に刻み海苔を振り、鶏ももたれ漬焼、たれ付焼つくね、鶏むね塩焼、鶏皮たれ漬焼、味付うずら卵、高菜油炒め、揚銀杏で覆い、たれのボトルと七味唐辛子の袋を添付する。冷蔵では厳しいが常温なら粒と味の立つ、鳥づくしのお弁当。
2022(令和4)年7月に東京駅と蒲田駅の売店「HANAGATAYA」で発売。テレビのロケ弁で知られる東京の仕出し弁当店「オーベルジーヌ」のカレーライス。販売元は数量限定をうたう。ここでの調製元はなぜか、茨城県は水戸駅弁のしまだフーズとなった。大きな長方形の加熱機能付き容器に、バターライスとじゃがいも、ビーフカレー、青しその実漬け、福神漬けを詰める。
3日間煮込んだタマネギにバターを生クリームと24種類のスパイスを混ぜ合わせたという、シェフ自慢つまり弁当店自慢のカレーライス。口当たりは甘く、しかし口内と胃腸にしっかり辛く。これが東京駅で駅弁のように売られることが、驚きをもって東京のマスコミ関係者に伝わっていった。駅弁趣味の側から見ると、容器を少し傾けるとルーがこぼれ、列車内で食べるとにおいが気になると思う、値段も高価に思える、難あり弁当。
東京駅で買えた、常温の牛たん弁当。長方形のプラ容器に麦入りご飯を敷き、牛たん焼と牛カルビ焼で覆い、玉子焼と柴漬けを添える、シンプルな内容。これは仙台でも東京でも全国各地でも買える、利久の牛たん弁当。しかしこのような、注文を受けて作る出来立ての弁当でも、加熱機能付き容器を使う弁当でも、掛紙やスリーブをあまり使わないデパ地下弁当タイプでもないバージョンは、東京の駅や羽田空港以外では買いにくいかもしれない。
2013(平成25)年か、それ以前に発売か。東京都恵比寿の焼肉店「焼肉チャンピオン」のブランドを名乗る牛肉弁当。真っ黒な容器に透明のプラ製トレーを収め、白飯を敷き、牛焼肉で覆い、キムチとナムルを添える。
中身が韓国風牛肉弁当であることから、東京駅では先輩で知名度もある「叙々苑特製焼肉弁当」の廉価版に思えた。味はそれに似ていて、肉の分量と値段は約半分。価格は2019年時点で1,280円、2023年時点で1,380円。調製元は不思議と、水戸駅の駅弁屋。
※2023年8月補訂:写真を更新2019(令和元)年6月29日に購入した、東京駅弁のスリーブ。上記の2023年のものと同じ。当時は価格が1,280円だったほか、調製元が「膳まい」で買える弁当やコンビニ弁当で時々見掛ける横浜市内の食品工場だった。売店「膳まい」は後に「HANAGATAYA」へリブランド。
羽田空港や東京都内では2016(平成28)年、駅では2017(平成29)年の発売か。掛紙には商品名とブランド名と組み合う相撲取りを描く。3区画の容器に右から、「牛飯(秘伝のたれで煮込んだ和牛)」「牛ごぼうすき飯(明治時代のすき焼味)」と、玉子焼、大根餅、野菜酢漬、たまり漬、「亀辛麹」カップを詰めていた。千円の駅弁と今半ブランドの中間にあたるようなレベルの牛肉弁当。亀辛麹は一片を舐めて超激辛だったので使わなかった。添付のしおりには不思議と、他の商品で駅では見なかった「勝運両国」の中身も紹介される。
東京駅で駅弁を売る売店にて購入したが、仙台を発祥に全国各地へチェーン展開する牛たん屋「利久」の各店舗で販売する牛たん弁当ではないかと思う。容器の左側に塩焼き牛タン丼、右側にタレ焼き牛タン丼、間に玉子焼と煮物を配置して、商品名を描いた掛紙を巻く。肉は薄さと質感で、まるでわら半紙を食べているよう。これは高級感だったのか、肉を減らしすぎたのか。
2010(平成22)年9月に東京駅と上野駅の売店「膳まい」で発売。浅く小柄な長方形の容器を二段重ねにして、大名行列のような風景を描いた包装紙で包む。中身は下段が白御飯の上を鶏そぼろと錦糸卵で覆う御飯で、上段がエビフライ、焼鮭、玉子焼、カボチャやタケノコなどの煮物、ポテトサラダ、枝豆などのおかず。下段も上段も妙に甘い感じで、あまり食が進まない。
この弁当はかつての品川駅弁「二つ折そぼろ弁当」、容器の形状やその包み方、下段と上段の内容、価格がそっくりである。品川駅弁の調製元は駅弁から撤退しているが、東京駅や上野駅での販売箇所も同じ「膳まい」であった。両者に何らかの関係があるのだろうか。
木目柄で正方形の容器を、商品名とブランド名と「国産牛使用」表記と「和牛100%使用」シールのある掛紙で包む。中身は白御飯の上に刻み海苔を振り、甘辛く煮たタマネギ混じりの牛肉しぐれ煮で覆うもの。シンプルで少量な牛丼。
添付の「和牛のしおり」では、国産牛と和牛の定義、和牛の素晴らしさ、本製品における表示の理由などが記される。このような説明が必要になるほど、国内における牛肉に関する偽装の横行や定義の混乱が発生しているのだろう。
2015(平成27)年12月18日に羽田空港の空弁として発売。後に東京駅にも来るようになったのだろう。真っ黒なボール紙のスリーブに書かれるとおり、東京は西麻布の和食レストラン「吾空」とのタイアップ商品で、羽田空港の空弁の「東京名店シリーズ」第5弾だそうな。
スリーブの窓開きから一部が見える中身は、白御飯に牛肉煮と、チキン南蛮というよりは鶏唐揚を載せ、玉子焼とレンコンと大根漬物を添える。東京駅の駅弁屋なので冷蔵販売、羽田空港でも同じだろうが、デパ地下のお惣菜程度に温かいと、よりおいしかったのではないかと思った。2019年までの販売か。
※2020年5月補訂:終売を追記2012(平成24)年までに羽田空港の空弁として発売、2016(平成28)年までに東京駅構内でも売られるようになった鶏飯。東京都蒲田で40年以上続く鶏料理店ないし焼き鳥屋「ひよこ」のレシピで作った弁当だそうな。弁当の中身が見えるボール紙の枠に、そんなことが書いてある。
中身は白御飯の上に、丸っこい鶏肉や鶏肉団子を転がしたもの。小柄と見栄えと見せ方に、空弁のような雰囲気を感じたら、調製元が羽田の空弁屋だった。鶏のタレ色と味付けの薄さや弾力性が、おしゃれで現代的で都会風で、宣伝文句「鶏本来の美味しさ」を存分に感じられた。2016年に終売か。
※2020年12月補訂:終売を追記2016(平成28)年8月1日に東京、上野、品川駅の駅弁売店「膳まい」で発売。長方形で平たい、半世紀以上前の駅弁に似た形状の容器を二段に重ね、鶏唐揚の写真を目出度くデザインした掛紙を巻く。駅弁の名前が、日本語、英語、繁体と簡体の中国語で記される。
中身は下段が日の丸御飯、上段が鶏唐揚、きんぴらごぼう、玉子焼、昆布佃煮、柴漬け。掛紙に記載のとおり、鶏唐揚はタレ味の「手羽先風タレからあげ」、塩味の「白からあげ」、普通味の「赤からあげ」の三種が2個ずつ入り、これらは見た目ではっきり識別できる。丸っこい鶏唐揚の、濃いめの味付けとサクサク感が、常温で白飯にとても合う。駅での販売は2016年度限りか。2018年の年末に一時的に復活。
※2020年12月補訂:終売を追記東京のデパ地下や空港でおなじみの、ゲンカツ・キムカツのカツサンド。東京駅でもJR東日本リテールネット系の売店で買える。これはチーズ入りカツサンドで、チーズ色になったいつものバス型の紙箱に、豚肉の薄切りとスライスチーズを重ねて揚げてソース漬けにしたトンカツを、パンに挟んで2切れ詰める。中身の見た目と違い、チーズの味はほとんど感じられなかったので、いつもの味のまま。駅での販売は2015年までか。
※2020年12月補訂:終売を追記2011(平成23)年10月1日に駅での販売を開始。四角い加熱機能付き容器に麦入りご飯を敷き、牛たんで覆い、ネギとキムチと辛味噌を添える。付合せの刺激が強すぎると思うが、不揃いな特上タン塩を食べる本体は、まあうまいもの。ただ、牛たんは仙台という印象が強いうえ、最近は仙台で人気の牛たん屋がチェーン展開し、東京駅でもそれらの弁当が買えるようになっているので、東京都恵比寿の韓国焼肉店の弁当は相対的に地味になる。2015年頃までの販売か。
東京・銀座のとんかつ専門店のブランドを名乗る生姜焼き弁当。同社のトンカツ弁当と同じ意匠の容器を使用、中身は日の丸御飯に透明なプラ製トレー入りの豚肉生姜焼をスパゲティの上に載せ、玉子焼、シイタケとニンジンの煮物、柴漬けを添えるもの。個人的な好みとしては、あまりうまくなかったと思う。2012年頃までの販売か。
※2020年5月補訂:終売を追記商品名のとおりビーフメンチカツサンドが4切れ分、透明のトレーにぴったり収め、ビニールシートに包み、ソース色の紙箱に収める。安くはないけれど、駅売りや箱売りのカツサンド、特に牛肉使用のものにしては、分量が確保されている。ブランド名は浅草の洋食堂「レストラン大宮」だが、調製元はうどん店チェーン「グルメ杵屋」の子会社となっている。2011年までの販売か。
※2019年9月補訂:終売を追記1927(昭和2)年創業ので銀座最古のとんかつ専門店だという銀座梅林のブランドを持つトンカツ弁当。経木枠の長方形の容器に、東京駅で先に出ていたカツサンドと同じ意匠のボール紙でふたをする。中身は日の丸御飯にトンカツとエビフライと肉団子を並べ、ピーマンフライと葉とうがらしとソースを添えるもの。飾りのないトンカツ弁当。冷めたら味が落ちるタイプのカツや飯ではないかと感じたが、衣の香りと具の品質には実力の片鱗があったと思う。駅での販売は2017年頃までか。
※2020年12月補訂:駅での終売を追記ささくれが目立つ正方形の木枠の容器に、ボール紙のふたをして輪ゴムで留め、箸袋を挟んで江戸っぽい絵柄の赤い掛紙を巻く。中身は茶飯の上に佐賀みつせ鶏のつくねを3個置き、パプリカやししとうや高菜やネギなどを炒めて置き、がんもどきや里芋などの煮物を添えるもの。
つまり変わり種な鶏飯で、一言で表現すると「つくね丼」となる珍しいお弁当。駅弁屋の調製でない弁当を多く置くキヨスク系の売店で売られる弁当ながら、常温で風味が活きる駅弁の味。分量も価格もお手ごろ。2009年頃までの販売か。
※2016年9月補訂:終売を追記浅草生まれで仙台から岐阜まで営業所を構える弁当食堂業者の商品で、東京駅や上野駅でも売られるお弁当。デパ地下仕様の発泡材枠円形の容器を、鶏の字と宣伝文を書いた紙枠にはめる。中身は白御飯の上に業務用錦糸卵と鶏そぼろを敷いて、ネギ、ししとう、鶏もも肉を載せる、つまり鶏丼。
風味も内容もデパ地下弁当として平均的か。東京駅という駅弁の巨大市場では存在するだろう、コンビニ弁当より高価で駅弁より安価な価格帯というすき間にはまる価値がある。なお、「鶏」以外のバージョンはない模様。駅での販売は2008年頃までか。
※2016年9月補訂:駅での終売を追記東京銀座のひと口カツや串揚げ店のカツサンド。ラップに包まれた紫色の紙箱に、ロースカツサンドが3切れ入る。厚みはあるが幅がないカツサンド3切れで680円とは高価な部類に入るが、ヒレカツよりジューシーで柔らかい感じのロースカツは、食べる価値がある。1927年創業、銀座で最古のとんかつ専門店だそうな。駅での販売は2015年頃までか。
※2020年12月補訂:駅での終売を追記2006(平成18)年の初頭に東京駅と羽田空港で発売された模様。中身はおこわの上に松阪牛そぼろと薄焼き肉1枚を載せるもの。硬い御飯と牛肉の組み合わせのミスマッチと、風味も柔らかさもなく松阪牛であることを疑いそうな少量な牛すき焼き肉と牛そぼろ。東京広尾の廣尾瓢月堂が主に羽田空港で手掛けるおこわ専門店のブランドネームが泣きそうな商品だった。数年間の販売で、現存しないのではないかと思う。
※2020年12月補訂:終売を追記