東京駅から電車で約25分。横浜市は神奈川県の東部で東京湾に面した、人口約380万人の港町。東京の衛星都市として人口日本一の市であるほか、異国情緒とウォーターフロントで多くの観光客も集める。駅弁は、大正時代からの駅弁屋がコンコースやホーム上や駅周辺各地に駅弁売店を構え、「シウマイ弁当」は日本一売れる駅弁とされる。1915(大正4)年8月15日開業、神奈川県横浜市西区高島2丁目。
2024(令和6)年3月16日から24日まで、調製元の神奈川・東京エリアを中心とした約150店舗で、5,000個を予約販売。調製元と福井県が2022年7月に締結した相互協力協定のもと、2024年3月16日の北陸新幹線の福井県内への延伸開業にちなんで発売。直営15店舗では予約なしでも販売したという。
掛紙には北陸新幹線の電車と延伸開業日などが記される。掛紙の裏面でカラー写真を使い紹介する中身は、福井米いちほまれの白飯、さばの醤油干し、菜の花と油揚げの胡麻和え、九頭竜まいたけと三浦産芽ひじきと人参と油揚げの炒め煮、ボルガライス風チキンカツ、大根の漬物、羽二重あんころ餅など。あまり知らない福井県も取り入れた、大きめなお弁当。
この協定や駅弁の販売とは別に、日本鉄道構内営業中央会のつながりで、富山駅弁の源と、金沢駅弁の大友楼と、加賀温泉駅弁の高野商店と、福井駅弁の番匠本店と、敦賀駅弁の塩荘が、崎陽軒とコラボレーションして新たな北陸の駅弁について企画開発を進め、同じ名前と容器と価格を持ち、ふたやスリーブの絵柄と中身が異なる駅弁「崎陽軒北陸シウマイ入り北陸新幹線弁当」を、合わせてまとめて発売した。横浜と福井のつながりはほとんどないと思うが、今回の新幹線の開業では不思議と駅弁で繋がれた。
2022(令和4)年10月11日から15日まで販売。同月のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2022」にエントリー。この年の鉄道開業150年を記念し、JR東日本と横浜市歴史博物館と調製元とのコラボレーション企画として、完全予約限定、店舗限定、調製元公式サイトの会員登録と予約操作に限定して、5日間で4,000個を販売した。
掛紙の表面には鉄道開業当時の錦絵を掲載、裏面には写真付きのおしながきの一部と桜木町駅社員のメッセージを掲載。中身はオムライス、海老グラタン、小松菜とぶなしめじととうもろこしのマスタードソース和え、海老フライ、鶏唐揚、ポテトサラダ、玉ねぎのマリネ、ミニベイクドチーズケーキ、昔ながらのシウマイ3個、特製の磁器の醤油入れ。鉄道開業の地である横浜らしさを洋風のおかずで表現したという。
崎陽軒の限定弁当なので、その販売は地元紙の記事やネットニュースになり、人気商品の奪い合い。以前なら売り場に行列ができただろう。今回はネット予約限定にしたため、朝10時の受付開始から丸一時間回線がパンクし、ようやくアクセスできたと思ったら12店舗全時間帯が完売終了という事態を、5日間繰り返した。オンラインでのお祭り騒ぎ。買えない駅弁を駅弁人気投票企画にエントリーしたのは疑問に思う。
横浜スタジアム(ハマスタ)の2020(令和2)年2月の改装・増築を記念して、同年7月17日から11月1日までのプロ野球開催日に、崎陽軒の横浜駅中央店、キュービックプラザ新横浜店、ビーンズ新杉田店、関内駅南口店、伊勢佐木モール店、市営地下鉄戸塚駅店と横浜スタジアム内の各店舗で販売された商品。
掛紙は左右に観客席が増設された横浜スタジアムの航空写真。中身は日の丸俵飯、エビフライ、シウマイ餡のメンチカツ、レモン風味の鶏唐揚、蒸し鶏の和え物、玉子焼、タケノコ煮、焼塩焼、ニンジンとハッシュポテト、柴漬け、小粒よもぎ大福、シウマイ3個。シウマイ弁当など既存の駅弁をベースに、ハマスタの鶏唐揚や、ニンジンとハッシュポテトを横浜ベイスターズのロゴマークやキャラクターに使われる星形にして、横浜スタジアムとプロ野球を反映した。
2020(令和2)年のプロ野球は、新型コロナウイルス感染症の流行や政府の感染症対策を受けて、2月29日から3月15日までのオープン戦を無観客試合としたうえで、3月20日のペナントレース開幕が延期された。その後も4度の延期を重ねて6月19日から無観客試合で開幕、7月10日から5000人を上限に観客を入れての試合が開催された。横浜スタジアムでも3月24日の開幕が延期、6月19日から無観客試合で開幕、7月17日から観客を入れての試合を開催。これがなければこの駅弁は、おそらく2月か3月から売られたのではないかと思う。
相鉄・JR直通線の開業を記念して、2019(令和元)年11月30日から12月2日まで、相鉄沿線や新宿、池袋など一部の崎陽軒店舗で5,000個を販売。掛紙には相鉄・JR直通線の路線図と電車のイラスト、相模鉄道と崎陽軒のキャラクター、限定ひょうちゃんの写真などを印字した。中身は「かながわ味わい弁当」とよく似ていて、日の丸御飯と赤飯、赤魚の照り焼、なすの漬物、紅白団子、シウマイ3個など。各販売店に早朝から行列ができる、大変な人気だった。
相鉄・JR直通線とは、横浜市内で西谷駅と羽沢横浜国大駅をノンストップで結ぶ、約2kmの鉄道新線。ここを経由して、相模鉄道の海老名駅や二俣川駅などと、JR東日本の新宿駅や武蔵小杉駅などとの間で、一日46往復の直通電車が走る。高度経済成長期に沿線人口も輸送量も激増し、バブル崩壊以降にいずれも減少に転じた相模鉄道では、東京都心への直通は沿線価値と知名度と輸送量を確保するための悲願であり、構想の表面化から約15年をかけた大事業であった。この弁当の発売日から、ヨコハマネイビーブルーを名乗る真っ青な電車が、湘南新宿ラインあるいは埼京線や横須賀線の経路を走り始めた。
2018(平成30)年9月23日の販売と思われる、横浜駅弁の掛紙。JR東日本横浜支社と調製元は、JR横浜線の開業110周年と創業110周年を記念し、2018(平成30)年9月23日から横浜駅と東神奈川駅ビルと中山駅ビルと本店で、3000個を限定販売した。掛紙には昭和60年頃と現在の横浜線電車の写真と、両社のキャラクターなどを掲載。中身は赤飯と茎わかめ御飯と、有頭海老や焼き魚、煮物やタケノコ煮やシウマイ3個などと、掛紙にも記される特製絵柄のひょうちゃんが1個だった。
京浜急行電鉄の創立120周年と、駅弁の調製元である崎陽軒の創業110周年とシウマイ誕生90周年を記念し、2018(平成30)年6月1日から5日まで、横浜や上大岡など京浜急行電鉄沿線の崎陽軒売店で販売した記念弁当。それらの記念する絵柄「けいきゅん」、京急電車、京急120年ロゴ、ポリスひょうちゃん、崎陽軒110周年ロゴ、シウマイ90周年ロゴを並べた黄色い風呂敷で、赤飯弁当タイプの容器を包む。
中身は赤飯、日の丸御飯、中身は赤飯、日の丸御飯、タケノコ煮その他の煮物、マグロ照焼と玉子焼とかまぼこ、有頭海老とシウマイ3個と菜の花醤油漬、ひじきなどの炒め煮と小粒大福と特製ひょうちゃん1個で6区画という、既存の駅弁の寄せ集め。
この弁当の最大の特徴は、前記の風呂敷と、2種類の絵柄がある「京急コラボデザインひょうちゃんしょう油入れ」。崎陽軒にしては高価な弁当は大変な人気となり、売り場には何時間もの待ち行列ができ、整理券の配布やひとり2個までの販売制限をかけたり、風呂敷やひょうちゃんがメルカリやヤフオクで高値転売されていた。
横浜市の展示ホール「パシフィコ横浜」で、2016年7月16日から9月11日まで開催された鉄道模型展示イベント「世界鉄道博2016」の会場で、会場限定のお弁当として横浜駅弁の崎陽軒が販売していたお弁当。横浜駅弁「炒飯弁当」と同じ容器に、イベントのポスターの絵柄を使う掛紙を巻く。
中身も炒飯弁当とほぼ同じで、炒飯にスペイン風オムレツ、春巻き、ポテトサラダ、鶏唐揚、シウマイ3個、漬物、紅生姜。炒飯弁当のおかずのシウマイ3個と鶏唐揚を残し、他をスペイン風オムレツ、春巻き、ポテトサラダにした感じ。
崎陽軒とKADOKAWAのコラボレーション企画、醤油入れ「ひょうちゃん」60周年と隔週刊雑誌「横浜ウォーカー」とのタイアップで、2015年9月24日から30日までに2,100個が販売された記念弁当。
白御飯にマグロ生姜煮、かまぼこ、玉子焼、タケノコ煮、高菜漬、杏仁豆腐、シウマイ6個。名前も掛紙もひょうちゃんで、白飯がひょうちゃん型で、杏仁豆腐に混じる寒天もひょうちゃん型で、玉子焼の焼き印もひょうちゃんで、実物のひょうちゃんは100%還暦記念版が入る。一般の注目はあまりなかったと思うが、ひょうちゃんマニアにはとても贅沢に感じられる弁当であり、売店での入手は難しかった。入荷待ち行列ができたとも聞く。
この弁当では「ひょうちゃんお絵かきコンテスト」として、添付の海苔佃煮で白飯に絵を描いて、短文投稿サイト「ツイッター」にその写真を掲載すると、賞品がもらえるコンテストが実施された。下2点はそのための写真である。結果が発表されたという話は、寡聞にしてきかない。
桜木町駅と二代目横浜駅の誕生100周年を記念するJR東日本横浜支社のイベントに伴い、2015(平成27)年7月18日から8月16日まで、桜木町駅や横浜駅やその周辺の崎陽軒売店で販売された記念駅弁。掛紙にはJRのイベントのロゴマークと、二代目の開業により桜木町へ改称された初代の横浜駅の写真が使われる。中身はオムレツライス、ポークカツレツ、昔ながらのシウマイ、ナポリタン、オニオンソテー、コールスローサラダ、福神漬けで、100年前の当時の食文化に想いを馳せたり、海外と日本の文化が融合する街である横浜を感じさせたのだという。
日本史の教科書に書かれるとおり、横浜駅は明治5年9月12日(1872年10月14日)の開業。1889(明治22)年に東海道本線が全通した段階で、列車が必ず方向転換しなければならない頭端式ホームの駅であったため、そうでない短絡線と中間駅を設けてシャトル列車を走らせたり、横浜駅からまっすぐ走れるルートを建設しようとしたり、二度も駅を移転したり、様々な構想や計画や工事を経て今の姿がある。21世紀の現在も、地図上の痕跡や地中の遺物として、ネット上や新聞を時々賑わせる。
駅弁誕生130周年を記念して、2015(平成27)年4月1日から14日まで、一日50個が横浜駅構内その他崎陽軒の7店舗で販売された記念駅弁。日本鉄道構内営業中央会がこの年の4月10日の「駅弁の日」を、駅弁発祥宇都宮駅説により1885(明治18)年から数えて130周年として祝っており、その施策の一環だとも思われる。
竹皮を模したボール紙の箱を、1872(明治5)年の鉄道開業当時の錦絵を思わせる絵柄の掛紙で巻く。中身は日の丸と赤飯の、おにぎりというか小判型の型押し飯と、タケノコ煮、シイタケとニンジンの煮物、たくあん、シウマイ2個。この容器と中身も駅弁発祥宇都宮駅説により、竹皮におにぎりとたくあんを包んだものを模したという。シウマイ弁当や赤飯弁当など、既存の横浜駅弁と同じ味がした。
掛紙記載のとおり、キャッツ日本公演通算8000回と横浜公演2周年を記念し、2011(平成23)年10月28日から11月13日まで販売された記念駅弁。そのミュージカルのイメージに合わせて、真っ黒な正方形の容器に、ポスターやチラシと同じ絵柄の黒い掛紙を巻く。
9区画の中身は、栗飯50グラム、キンメダイ御飯50グラム、鶏きのこ御飯50グラム、有頭海老とエビ入り団子、タケノコやニンジンなどの煮物、ちりめんじゃこの和え物、カボチャとシイタケの煮物に栗入りがんも、玉子焼と黒花豆、赤魚照焼とネコ型蒲鉾と小粒大福など。中身はごく普通。カマボコがネコ形である以外は、崎陽軒や横浜や猫という雰囲気はなく、しかしとてもきれいに詰められている印象。
国内では劇団四季が1983(昭和57)年11月から主に仮設劇場をこしらえて公演し続ける驚異のミュージカル「キャッツ」は、2009年11月からは横浜みなとみらい地区の遊休地に仮設劇場を建てて上演されている。2011年10月28日にここで通算8000回公演を達成したことが、この駅弁で記念されている。通常の崎陽軒の弁当と異なり、これは横浜駅周辺の8店舗と「キャノン・キャッツ・シアター」でのみの販売であった。
掛紙記載事項のとおり、特急「踊り子」デビュー30周年を記念し、2011(平成23)年10月1日から31日まで販売された記念駅弁。横浜駅弁で「おべんとう秋」などに使う正方形の容器に、踊り子号の写真を掲載した販売期間前半の10月1日から14日までのバージョンである掛紙を巻く。
中身は栗おこわに鮭塩焼、かまぼこ、玉子焼、タケノコやニンジンなどの煮物、ニシン昆布巻、エビフライ、タケノコ煮、菜の花漬け、つくね、シウマイ3個など。お祝い感と秋の風情があふれる内容に仕上げたという中身は、様々な横浜駅弁から取ってきた感じ。クリと紅葉形ニンジンで彩られる御飯がいい色をしていた。
2011(平成23)年10月30日に購入した、横浜駅弁の掛紙。上記の駅弁の、10月15日から31日までの後半バージョンであるが、左を向いていた電車が右を向いただけで、あまり変わり映えがしない。
2009(平成21)年3月7・8日に横浜駅西口で開催された、寝台特急富士・はやぶさ廃止記念グッズ販売イベントにて販売されたお弁当。東京駅と鉄道博物館で3月1日から14日まで販売された「さよなら寝台特急富士★はやぶさ記念弁当」と、中身や価格は同一であるが、掛紙の絵柄や写真が異なる特別版となっている。写真の撮影地は横浜駅ではなく東京駅なのだが。
2009(平成21)年3月7・8日に横浜駅西口で開催された、寝台特急富士・はやぶさ廃止記念グッズ販売イベントにて販売されたお弁当で、調製元は小田原駅弁の東華軒。木目柄の容器を、寝台特急列車の写真を使った掛紙で包み、紙ひもで十字にしばる。松花堂タイプにトレーと仕切りで4分割された中身は、桜花や錦糸卵に桜でんぶを載せた茶飯、カボチャやサトイモなどの煮物、玉子焼に焼鮭にカマボコ、ナスとタケノコとタラの芽の天ぷらなど。
千円も取ってこの中身ではガッカリするレベルだが、記念駅弁だから掛紙がこれだけきれいに仕上がっていればそれでよい。その掛紙にはなぜか、東華軒ではなくNREの社名とURLが印刷されている。中身と列車の関連はないと思うが、煮物の色と形は良かった。
JR横浜支社が管内の駅弁屋4社を集めて2008(平成20)年1月26・27日に横浜駅西口で実施したイベント「どんどん食べて!!記念・限定駅弁フェア」にて販売された記念駅弁。木目調の黒い容器に、イベント名を印字した掛紙を巻いて、ゴムでしばる。中身は日の丸俵飯に酢豚、海老天、大学芋、春巻き、海老団子、中華クラゲなどとシウマイ3個で、毎年4月に東京駅で実施される駅弁の日記念駅弁大会に出品されるものとだいたい同じ。風味もいつもの崎陽軒。記念駅弁の名前にひねりがないのも、いつもの崎陽軒。
2007(平成19)年10月6日から8日まで東京駅で実施された「第6回東京駅駅弁当祭り 東日本縦断駅弁大会」で販売された横浜駅弁。会場限定商品であった過去2回と異なり今回は初めて、一日100個が横浜駅他8駅でも31日まで売られた。
木目柄で長方形の容器を、紅葉と黄葉を背景に駅弁の名前を書いた掛紙で包む。中身は舞茸御飯に金目鯛照焼、揚げ有頭海老、つくね、イカやカボチャなどの煮物、蒲鉾と社名焼き印入り玉子焼、特製シウマイ2個にひょうちゃんなど。見栄えも風味も美しい中身に、記念品の華やかさと調製元の実力が光る。
2006(平成18)年4月8日と9日に東京駅で実施の駅弁の日記念駅弁大会で販売された、崎陽軒の駅弁の日記念弁当。今年は商品名のとおり中華弁当となり、俵飯やシウマイ3個に加えて、エビチリや海老焼売や豚肉炒めやザーサイなどが入る。
今回は駅弁との案内は見なかったと思うが、催事名は同じだし、これ以外の取扱商品はすべて駅弁だったので、会場では横浜駅弁と認識されていたはずだ。横浜駅での販売や公式サイトへの掲載は今回もなかった模様。
2005(平成17)年4月9日と10日に東京駅で実施の駅弁の日記念駅弁大会で販売された、崎陽軒の駅弁の日記念弁当。大きめな正方形の容器を、昨今の崎陽軒の駅弁掛紙デザインによくある淡い雰囲気の掛紙をかけて、金色のゴムでしばる。中身は桜花を載せた扇形の茶飯に、海老や焼き魚に蒲鉾と玉子焼と煮物類などを付けて、シウマイ3個を添える。
1,200円はちと高いが記念なので大目に見るとして、この駅弁は公式サイトで紹介がないうえに当日の横浜駅では販売されず。つまり駅弁の日記念弁当ではなく、横浜駅に実態のない駅弁の日記念駅弁大会記念弁当だった。崎陽軒もそういうことをするのかと思う。