東京駅から新幹線で3時間弱。神戸市は兵庫県の南東部で大阪湾に面する、人口約150万人の港町。古代からの湊は1868年の開国開港で関西を代表する港湾都市となり、異国情緒や夜景で有名な観光地でもある。駅弁は第二次大戦後に神戸へ移転した駅弁屋の、肉や洋食や新幹線型など、様々な駅弁が賑やかである。1972(昭和47)年3月15日開業、兵庫県神戸市中央区加納町。
2020(令和2)年の8月に発売。従前の「からあげべんとう」のリニューアルか。ニワトリの頭と足跡と赤色でデザインしたスリーブに収めた、長方形の容器に俵飯を並べ、但馬どりの兵庫県産鶏肉を特製濃厚漬けダレに浸したという鶏唐揚を詰められるだけ詰めて、長いバランで仕切る。「唐揚げと真剣に向き合い、ただひたすらに、唐揚げをほおばるためだけのお弁当。」を名乗るとおり、原材料名が白飯、鶏唐揚、ごまの3品だけで済んでいる、漬物も醤油も何も添付しない、まったく無駄もスキもない鶏唐揚弁当。神戸あるいは京阪神では駅弁売店で様々な駅弁を選べるので、そんな中での唐揚弁当であればこんなシンプルな内容があってよい。価格は2020年の発売時で950円、2023年時点で980円、2024年時点で1,200円。
2024(令和6)年3月10日に「元祖牛ちゃんこ弁当」とともに、関西エリアや関東地方の各駅で発売。同日の大相撲大阪場所の開幕に合わせ、前年9月に発売した「元祖鶏ちゃんこ弁当」の、加熱機能付き容器でないものを第2弾とした発売した。スリーブの絵柄や、味付き飯を鶏肉、鶏つくね、お揚げ、タマネギ、うずら卵、にら、しいたけ、ニンジンなどで覆う中身は、加熱機能付き容器版と同じ。味も変わらないと思う。常温または冷蔵での販売で、価格は320円安い。加熱機能付き容器版も併売する。
2023(令和5)年9月10日に「元祖牛ちゃんこ弁当」とともに、関西エリアや関東地方の各駅で発売。日本相撲協会とのコラボにより、国技の伝統「大相撲」と日本の伝統食「駅弁」が出会い、これぞ日本!という駅弁が誕生したのだという。こちらは「関取編」を名乗り、古くから勝負事に験を担いで手をつかない鶏肉を使ったとした。
丸くて黒い加熱機能付き容器を収める紙箱には、力士の絵柄と中身の写真を大きく掲載。この容器に味付き飯を詰め、鶏肉、鶏つくね、お揚げ、タマネギ、うずら卵、にら、しいたけ、ニンジンなどを並べて覆う。鶏鍋のような、そうでないような。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2023(令和5)年秋の新商品か。京都をイメージした国産茶器を、赤い紙箱に収める。中身は宇治の露製茶の「伊右衛門炒り米炒りほうじ茶」で炊いた、ほうじ茶炒り炊き込み御飯を、鶏照焼、白いかまぼこ、きのこ、菊花、栗甘露煮、ししとう、ニンジンで、覆ったり彩ったもの。「京都福寿園 伊右衛門」とのタイアップなのだろうか、その名とペットボトル茶のイラストが紙箱に記される。器と淡い味や香りで上質な印象を受ける鶏飯。
2016(平成28)年7月2日の発売。調製元と嵯峨野トロッコ列車とのコラボで京都をイメージした駅弁とのことで、神戸エリアに加えて嵯峨野観光鉄道トロッコ嵯峨駅でも売り出したそうな。竹皮柄のボール紙箱に油揚げの炊込飯を詰め、鶏照焼、油揚げ、鶏つくね、わらび、姫竹、すぐき、ネギ、ニンジンを散らし、原了郭の黒七味を添付する。観光列車の旅を彩るというよりもむしろ、飾らなくとも旅の飯になりうる新幹線駅向け鶏飯駅弁ではないかと思った。
この駅弁は、旅行会社や新聞社など12社が主催する「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」の、2016年11月発表分の「こだわりの駅弁部門」を受賞。2017(平成29)年7月にその幹事会社のひとつのスマホアプリ「ステーションメモリーズ!」(駅メモ)の少女キャラクターの掛紙と焼き印で売られたそうな。2020年秋から季節版が併売され、これはおそらく2021年秋から通販や要予約の商品になったらしい。価格は2016年の発売時や2017年の購入時で850円、2023年時点で920円、同年夏の時点で950円。
※2023年8月補訂:値上げを追記2020(令和2)年の12月に発売。人気の新神戸駅弁「きつねの鶏めし」について、2020(令和2)年9月に初めて季節の商品「秋」を発売、続いて春が来た。竹皮柄のボール紙製容器にキツネ顔の掛紙を巻くのは、従前の「きつねの鶏めし」と同じ。掛紙の背景で油揚げの市松模様が暖かい。
油揚げの炊込飯を詰め、鶏照焼、油揚げ、鶏つくね、すぐき、ネギ、レンコン素揚げ、ニンジンを散らし、コンニャクとエリンギを詰め、原了郭の黒七味を添付する内容も、従前とほぼ同じ。季節で中身を変えたはずが、その違いにはほぼ気が付かない、油揚げ風味の鶏飯。
2021(令和3)年の2月に発売。人気の新神戸駅弁「きつねの鶏めし」について、2020(令和2)年9月に初めて季節の商品「秋」を発売、12月に「冬」になり、年が明けて春が来た。竹皮柄のボール紙製容器にキツネ顔の掛紙を巻くのは、従前の「きつねの鶏めし」と同じ。掛紙の背景に桜の花びらが散る。
油揚げの炊込飯を詰め、鶏照焼、油揚げ、鶏つくね、すぐき、ネギ、レンコン素揚げ、ニンジンを散らし、かまぼこと菜の花を詰め、原了郭の黒七味を添付する内容も、従前とほぼ同じ。季節で中身を変えたはずが、その違いにはほぼ気が付かない、油揚げ風味の鶏飯。
2018(平成30)年の発売か。ふたが透明な長方形のプラ容器に、白飯を詰め、薄くて平たいトンカツで覆い、きんぴらとスパゲティも載せ、玉子焼と鶏つくね串と柴漬けを添える。シンプルで、ガツガツ食べ進む内容。神戸に限らず、あるいは神戸の駅弁売店でなく、関西エリアで手広く売られる商品である模様。
この名前と内容では2014(平成26)年のみの販売か。日の丸俵飯にトンカツ1枚、スパゲティ、ポテトサラダ、ニンジン煮、大根漬物という、見事に典型的なとんかつ弁当。このデパ地下商品を駅で売るかは分からないが、見た目は駅弁で、定評ある駅弁屋の味なので、常温で締まる。
2014(平成26)年1月の京王百貨店の駅弁大会で販売。京王百貨店新宿店の開店50周年を記念し、「名人夢の対決」として、東京のテレビでおなじみの有名料理人が監修した新作駅弁、あるいは催事場限りの弁当3種を実演販売した。他は八戸駅「トリュフ風味牛タンと牛肉のイタリア風」(1,480円)と、鳥取駅「鳥取の味懐石御膳」(1,980円)。
テレビやネットで「和の巨匠」と紹介される道場六三郎(みちばろくさぶろう)氏が監修したこの弁当の、百貨店のチラシによる公式な宣伝文は、「鶏のレバーやハツ、ごぼう、こんにゃくなどを秘伝の田楽みそで和えました。有馬山椒と刻み紅しょうがのアクセントが食欲をそそります。」。添付のおしながきに記される中身は、奥丹波どりキモ、奥丹波どりハツ、奥丹波どりモモ、ごぼう、こんにゃく、酢蓮根、みちば特製みそ、ししとう素揚げ、有馬山椒、きざみ生姜、御飯。
内臓肉とスパイシーという、個人的にとても苦手なものの組合せなので、味のレベルは分からない。味が濃すぎるとの指摘があったとおり、タレの分量が強く、さらに容器のプラ丼がべたべたなので、これを現地でやられたらへこむと思った。会期をもって終売か。
2012年か2013年に発売か。小粒に刻んだ日の丸俵飯に鶏唐揚4個、焼鮭、玉子焼、フライドポテト、煮キャベツ、ブロッコリー、スパゲティ、柴漬けなどを添える。からあげべんとうと考えると鶏の固さと少なさに文句が出るが、鶏唐揚入り幕の内駅弁と考えれば廉価で分量十分。それでもやっぱり、鶏唐揚は神戸の駅弁屋の得意料理ではない感じ。
価格は2013年の購入時で700円、2014年4月の消費税率改定で720円。以後の販売を確認できないが、同じ調製元で890円の仕出し弁当「からあげ弁当」がだいたい同じ中身である。おそらく2020年8月に上記の「但馬どりのからあげ弁当」へリニューアル。
※2024年5月補訂:終売を追記イノシシ年な2007(平成19)年の、1月12日に発売か。ふたが透明な円形のプラ製の惣菜容器を、なんとなくウェスタン風に商品名や景色等を描くボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上に淡路島産のイノブタを味噌煮でちょっぴり載せて、ごぼう、タマネギ、こんにゃく、しめじなどを添える。
食べて風味の感想が出る前に、茶一色の色彩で見栄えを落とし、具のすき間から御飯をのぞかせて具の少なさをPRしてしまっている。公式サイトの商品見本では、青ネギで色を補い、御飯が見えないほど具が詰まるので、ロットと商品見本のどちらかが悪いのだろう。評価にはもう一度の購入が必要か。現在は販売されていない模様。
※2013年5月補訂:終売を追記2006(平成18)年の初頭に発売か。他駅の駅弁でもよく見かける、トレー接着の容器に透明なふたをかけ、中華っぽい色づかいの紙枠にはめる。中身は白御飯にルーローやトンポーローつまり焼豚と煮玉子やチンゲンサイなどを載せ、ザーサイと高菜炒めを添える。コンセプトと気合いは分かるが、見栄えも含め弁当としては今一歩の出来。あるいは同年6月時点で公式サイトに掲載がなく、容器への駅名の記載もないので、空弁か街弁向け、あるいは市場調査目的での駅弁大会への投入商品か。現在は販売されていない模様。
※2013年5月補訂:終売を追記長方形の経木枠の容器にボール紙のふたをかけて麻ひもでしばる。中身は鶏の炊き込み御飯の上に太い錦糸卵にスライス椎茸と、鶏をそぼろ・もも照焼・肉団子の3種にして載せる。いかにもオーソドックスな鶏飯駅弁で、味もしっかりしている。付け合わせのしめじは「しめじ有馬煮」とあり、六甲山の向こう側の名物か。価格は購入時で850円、2014年4月の消費税率改定で880円。2019年頃までの販売か。
※2022年4月補訂:終売を追記円柱形のボール紙製立体容器の中にタコ入り焼売を8個入れるだけ。その外観がとてもユニークで、円周上に配置した7個はシウマイの上にたこ焼きサイズのタコを載せ、真ん中の1個はイイダコをまるごと頭(本当は胴体)からシウマイに突っ込ませて上に足を広げている。味は関東人にとって非常に脂っこい。ふたに「650円(本体620円)」と書籍のように本体価格が書かれるのもユニーク。
神戸の駅弁は、東海道本線神戸・元町・三ノ宮・六甲道、山陽本線西明石、福知山線宝塚、山陽新幹線新神戸の各駅で購入できるので、所属駅の特定には苦労が伴う。そのためここでは「神戸の駅弁」と総括し、個別には掛紙記載の駅名を所属駅と見なすことにする。
現在は販売されていない模様。
※2013年5月補訂:終売を追記2021(令和3)年5月20日にオンラインストア(インターネット上での通信販売)で発売。政府の新型コロナウイルス感染症対策による影響を受け、自然解凍にも対応した冷凍弁当「どこでも駅弁」として、「ひっぱりだこ飯」「神戸名物すきやき弁当」「きつねの鶏めし」の3種類が誕生した。3個セット販売のみの対応で、「ひっぱりだこ飯」が2,460円、「神戸名物すきやき弁当」が2,400円、「きつねの鶏めし」が2,280円、3種各1個で2,380円。なのでこの「きつねの鶏めし」は、1個あたり760円と計算できる。加えて送料が必要。
電子レンジ対応の白いプラ製トレーに、油揚げの炊込飯を詰め、鶏照焼、油揚げ、鶏つくね、わらび、姫竹、すぐき、ネギ、ニンジンを散らし、空気を抜いてプラ袋に密封し、駅弁マークのある掛紙を巻く。中身も掛紙の絵柄も、上記の駅弁「きつねの鶏めし」と同じ。加熱でアツアツでも常温でも、駅弁と同じ味がした。駅で買って道中で食べることはできないが、おいしい非常食として優れるほか、出掛けられない人に旅気分を味わってもらうアイテムにできるかもしれない。賞味期限は製造後約3か月か。