大阪駅から特急列車「スーパーはくと」で約2時間半。鳥取市は鳥取県の東部で日本海に面する、人口約19万人の城下町。日本最大級の砂丘、梨やラッキョウや煙草などの農業、カニやイカなどの漁業、駅や名所に近い温泉などで知られる。駅弁は第二次大戦前から売られ、戦後にカニの駅弁が人気となり、今も様々な駅弁が駅で買える。1907(明治40)年4月28日開業、鳥取県鳥取市東品治町。
2020(令和2)年秋の新商品で、翌2021(令和3)年2月には消滅。4月には公式サイトで復活していた。おそらく、鳥取市のコロナ克服商店等V字回復セール支援事業による対象駅弁の割引通信販売のために、既存の駅弁「とっとりの居酒屋」を冷凍販売向けにアレンジして、まずは2020年10月31日から12月24日まで、通信販売限定で売られたものではないかと思う。
その「とっとりの居酒屋」とは、容器とコンセプトをともにして、掛紙は作り分けられている。中身はボイルイカにハタハタ押寿し、鶏南蛮漬、トビウオ巻フライ、牛肉煮、カニ爪と生姜、白子ならぬイカの子煮付け、竹輪やその和え物など、まあ酒飲みに渡してはいけないお弁当。自然解凍でおいしくいただけた。
※2021年3月補訂:終売を削除鳥取駅で中等くらいの幕の内駅弁。浅く平たい正方形サイズの経木枠の容器に、鳥取エリアの観光名所を記したイラストマップの掛紙をかける。中身は鳥取県産米を使用したという俵型風の型押し白飯に、焼サバ、ササミカツ、かまぼこ、玉子焼、かにサラダ、カニ磯辺、きんぴらごぼう、サトイモなどの煮物、ひじき煮など。中身ではどこが砂丘や鳥取なのか分かりにくいが、しっかり作られた幕の内。価格は2010年の購入時で820円、2014年時点で850円。
※2014年12月補訂:値上げを追記鳥取駅で昭和の頃からあると思う駅弁。浅く平たい正方形サイズの経木枠の容器を、駅弁の名前と砂丘のみを描いた掛紙で包む。中身は赤飯にカニクリームコロッケ、有頭海老、焼サバ、玉子焼、かまぼこ、カニカマ、ニンジンなどの煮物、切り干し大根、うぐいす豆、桜漬、なます、オレンジなど。他の駅であれば赤飯弁当と呼ぶ内容。価格は2010年の購入時で820円、2014年時点で850円。
※2014年12月補訂:値上げを追記鳥取駅の上等幕の内弁当。専用の大きな正方形の紙箱を、天和3年(1683年)製という鳥取池田藩の古地図を印刷した掛紙で覆い、マジックカットで留める。容器はトレーで9分割され、日の丸御飯にちらし風酢飯など3区画の御飯と、カニ爪に鯖照焼や玉子焼や蒲鉾や竹輪や焼売、鰆フライや海老やきんぴらなどのおかずで7区画。
幕の内弁当として販売されているようだが、見た目はそうではなく、しかし中身はそれに近く、それでも具の種類が多いので食事より酒のつまみに向きそうで、だが分量は多めの駅弁。2004年度JR西日本「駅弁の達人」対象駅弁で、新作ではないというが、以前から存在していたかどうかは不明。価格は2004年の購入時で1,050円、2014年時点で1,080円。
※2014年12月補訂:値上げを追記日本鉄道構内営業中央会が駅弁誕生135周年を記念して、会員のうち21社が2020(令和2)年4月10日から販売した、駅弁の原点であるおにぎりをメインとした記念弁当「駅弁誕生135周年おにぎり弁当」の、鳥取駅弁のアベ鳥取堂バージョン。現地でなく、2020年4月の東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」、2021年1月の阪神百貨店の駅弁大会、2月の鶴屋百貨店の駅弁大会、今回2022年4月の東京駅や京阪神という具合に、催事で断続的に販売される。
長方形の容器に、三角形の小さなおにぎりを3個、カニ炊込飯のもの2個と酢飯のもの1個を詰める。加えて玉子焼、干ししいたけ煮とニンジン、イカの麹漬け、豆腐竹輪と飛魚竹輪の素揚げ。おかずの内容が鳥取らしく、鳥取駅弁らしくできていた。
上記の駅弁「鳥取おにぎり弁当」の、2020(令和2)年4月の発売時の姿。当時は掛紙に「駅弁誕生一三五周年」「EKIBEN135th」の文字を入れ、駅弁マークも専用にして、駅弁誕生135周年の記念弁当であることを表した。中身は上記と同じように見えて、おかずがカニ爪、あごちくわ、豆腐ちくわ、イカの麹漬けという具合で少し異なる。
※2022年7月補訂:新版の収蔵で解説文を整理2014(平成26)年1月の京王百貨店の駅弁大会で販売。京王百貨店新宿店の開店50周年を記念し、「名人夢の対決」として、東京のテレビでおなじみの有名料理人が監修した新作駅弁、あるいは催事場限りの弁当3種を実演販売した。他は新神戸駅「みちば御自慢鶏肝丼」(1,280円)と、八戸駅「トリュフ風味牛タンと牛肉のイタリア風」(1,480円)。
テレビやネットで「和の巨匠」と紹介される中村孝明(なかむらこうめい)氏が監修したこの弁当の、百貨店のチラシによる公式な宣伝文は、「鳥取県産和牛の香味焼きや、茄子のオランダ煮、蟹の檸檬オリーブオイル和えなど、和食の域を超えた感性あふれる料理の数々を丁寧に盛り込みました。」。掛紙にもおしながきにも書かれる中身は、白御飯、大山豚のそぼろ入り御飯、蟹入り白味噌とチーズのコロッケ、鳥取県産和牛の香味焼き、大山ルビー豚の塩焼き、塩ぽん酢、蟹の檸檬オリーブオイル和え、厚焼き玉子、鰆の西京味噌焼き、小芋と海老の炊き合わせ、茄子のオランダ煮。
良い弁当、上質な弁当、創意工夫の弁当だとは思ったが、恐ろしい値段であるうえ、牛肉や豚肉などからは頑張っても鳥取や駅弁が感じられない。催事場では目玉商品なのに残念ながら、行列はおろか購入者さえ見掛けることができなかった。会期をもって終売か。
竹編みの長方形の容器に、城と駅弁の名前を描いた掛紙を巻いて、透明なプラ製テープで留める。ビニールを敷いてボール紙製の赤い仕切りを使って詰める中身は、白御飯、タケノコなどの煮物と玉子焼にサツマイモ、帆立や鶏肉や焼き魚など。竹編み容器に御飯と煮物と焼物を詰める風情ある見栄えと風味は、催事受けせずに現地で駅弁と旅の雰囲気を盛り上げるタイプだと思う。誇張してほめれば、あの「かれい川」の鳥取版。価格は購入時で850円、2014年時点で1,010円、2020年時点で1,100円。2018年以降は販売されたのだろうか。
鳥取は城下町であるが、鳥取城は明治初期に破壊され現存しない。しかも天守閣は17世紀後半に落雷で焼失した後に再建されなかったそうで、どんな外観や構造であったかは想像するしかない。掛紙に描かれるお城は鳥取上の復元絵図ではなくイメージだという注記が、左上に書かれている。
※2021年3月補訂:終売を追記