新宿駅から中央本線の特急列車で約2時間。北杜市(ほくとし)は山梨県の北西端を占める、人口約4万人の市。甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳や金峰山や茅ヶ岳に囲まれた高原に、農地が広がり、山や緑に観光客が来る。駅弁は大正時代から売られ、平成時代に売店へ「小淵沢駅の名物は駅弁です」と掲示するほどの名物となった。1894(明治27)年12月21日開業、山梨県北杜市小淵沢町。
2019(令和元)年秋の新作か。浅めの木の容器に黒いプラ製トレーを詰め、その中に茶飯を敷き、でっかい鶏肉の揚げ物で覆い、玉子焼とニンジンと山菜と大根漬を添える。胃に重い、ワイルドな鶏飯。山賊焼なる鶏唐揚は長野県中信地方の郷土料理だそうで、先に松本駅で駅弁になっていた。価格は2020年の購入時で980円、2022年6月から1,080円。
※2022年6月補訂:値上げを追記2019(令和元)年7月に小淵沢駅や甲府駅や新宿駅などで発売。同月の東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」での「夏の新作駅弁フェア」でも販売。同じような駅弁は過去に何度か出ていると思う。長方形の容器に茶飯を詰め、海苔と錦糸卵と鶏そぼろで覆い、「甲斐味鶏」を使用したという鶏照焼を載せ、れんこんのきんぴら、山菜煮と人参煮、桜漬けを添える。高崎駅弁タイプの、普通の鶏飯駅弁。だから、廃盤にしなければ機能的な駅弁として定番化できると思う。価格は2019年の購入時で980円、2022年6月から990円。
※2022年6月補訂:値上げを追記2023(令和5)年1月の京王百貨店の駅弁大会で販売。現物からは読み取れないが、「SDGs×駅弁」として「人気駅弁の端材おにぎりでフードロス削減」と広告し、3種類または5種類のおにぎりを輸送販売した。これは上記の小淵沢駅弁「八ヶ岳高原の鶏めし」のもので、茶飯に甲斐味鶏の照り焼きを少々混ぜた三角おにぎりを1個、商品紹介と食品表示のラベルを貼ったプラ製ケースに収めたもの。元の駅弁は高価でないのに、このおにぎりはずいぶん高価。いつかどこかで売られるように、なるかどうか。
2023(令和5)年1月の京王百貨店の駅弁大会で、ひっそりと販売。株式会社DONUTSのウェブサイト「美少女図鑑」によると、「駅弁パッケージドラフトオーディション2023」として、美少女図鑑と京王百貨店と駅弁屋4社の協力で、2022年11月の公募と、ライブ配信&動画アプリ「ミクチャ」でのオーディションを経て決めたモデルをパッケージに使う駅弁を、京王百貨店の駅弁大会で予約販売し、その販売数に応じてグランプリを決め、2月以降に1日販売員として店頭販売するとのこと。12人のモデルを使う「甲州地鶏の親子丼」(1,500円)「鹿児島黒豚炙り焼き重」(1,250円)「東北美少女BOX」(1,500円)「常陸牛すき焼きと大洗名物あんこう弁当」(1,500円)の4種類が、ネット上で購入し店舗で受け取る、京王百貨店の駅弁大会の公式ネット通販で、特段の注記なく他の駅弁と併売された。
この「甲州地鶏の親子丼」は、小淵沢駅の駅弁屋の調製。スリーブには商品名と中身の写真といくつかのロゴマークと、女性3名の上半身写真が載る。中身は御飯を甲州地鶏といんげんとタマネギの卵とじで覆い、しいたけ、にんじん、大根桜漬を載せるもの。値段がすごいことになったが、常温でおいしい、駅弁に稀な本格的親子丼。名前とスリーブを替えて、まともに売れば面白いかも。
2018(平成30)年秋の新作か。竹皮柄の市販紙箱に、型押しの鶏飯おむすび2個と玉子焼1本と紅生姜のみを詰める。この内容は「八ヶ岳名物」でもなんでもないと思うが、幕の内駅弁向けなら20枚は取れそうな玉子焼の大きさが印象的。一年半ほどの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記調製元の公式サイトによると、2015(平成27)年10月1日発売の要予約駅弁。茶飯を鶏そぼろと海苔で覆い、鶏照焼、こんにゃく、肉団子、うずら卵でさらに覆い、玉子焼、ニンジン、サトイモ、赤カブ酢漬を添える。名前も内容も高崎で伝統の駅弁「鶏めし」を思い起こす、落ち着きと渋さのある鶏飯駅弁。2019年の「八ヶ岳高原の鶏めし」の発売までに売り止めたのではないかと思う。
※2020年5月補訂:終売を追記2016(平成28)年秋の新作か。スリーブにはJR小海線の走行風景、車両や鉄道最高地点の写真、全線全駅路線図が描かれる。中身は茶飯を鶏肉と鶏そぼろと錦糸卵で覆うもので、薄皮付きの鶏味噌焼に厚みと適度な締まりがあった。一年半ほどの販売か。
安養寺味噌とは、鎌倉時代に覚心上人が宋から現在の長野県佐久市にある臨済宗安養寺に伝えた製法で作られた味噌といい、現在の信州味噌の発祥とされているそうな。色も味も鮮やかな辛口が特徴。
2010(平成22)年9月に神奈川県厚木市で開催された「B−1グランプリ」で、甲府鳥もつ煮がグランプリを獲得したことを受けて、同年12月8日に発売。楕円形の容器に透明なふたをして、駅弁の名前ととりもつの写真などを印刷した黒いボール紙の枠にはめる。
中身は茶飯の上を錦糸卵ととりもつ煮と鶏挽肉煮を1/3ずつ覆い、サトイモやニンジンの煮物にかぶ酢漬や巨峰寒天餅などを添えるもの。とりもつは鶏のレバー、ハツ、砂肝ということで、私も含めこういう内臓系の味が苦手な人は絶対に好きになれない、クセのある内容ではある。価格は2010年の発売時で880円、2014年時点で930円。2014年までの販売か。
※2016年9月補訂:終売を追記2010(平成22)年9月15日に発売。楕円形の容器に透明なふたをして、おしながきを置いて輪ゴムでしばり、実在の「八ヶ岳農場」を適当に描いたボール紙の枠にはめる。中身は茶飯の上を鳥そぼろと炒り卵で覆い、ししとうを載せ、鳥じゃがだんごねぎソース、シイタケ、ニンジンとゴボウのきんぴら、アンデス赤いも、赤かぶ大根、セロリたまり漬を添えるもの。
これは「とりそぼろ弁当」と名付けるべき内容で、風味はやや甘め。これにこういうネーミングとパッケージを付ける点に、「小淵沢の名物は駅弁です」の元気さが感じられる。八ヶ岳農場とは、パッケージに書かれるとおり八ヶ岳中央農業実践大学校のキャンパスというか直営農場であり、ここで生産された鶏や卵がこの駅弁に使われているという。価格は2010年の発売時で880円、2015年時点で900円。2017年までの販売か。
※2019年8月補訂:終売を追記