新宿駅から中央本線の特急列車で約2時間。北杜市(ほくとし)は山梨県の北西端を占める、人口約4万人の市。甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳や金峰山や茅ヶ岳に囲まれた高原に、農地が広がり、山や緑に観光客が来る。駅弁は大正時代から売られ、平成時代に売店へ「小淵沢駅の名物は駅弁です」と掲示するほどの名物となった。1904(明治37)年12月21日開業、山梨県北杜市小淵沢町。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2023(令和5)年秋の新商品。既存の小淵沢駅弁「そば屋の天むす」「八ヶ岳高原たまごサンド」「甲州かつサンドとり」の組合せ。実在する天むすの袋と実在しない親子サンドの柄を持つスリーブに、天むす3個を収めた白いプラ容器と、鶏カツサンドとたまごサンドを2切れずつ収めた黒いプラ容器を、重ねてはめる。軽食の分量で3種の駅弁を楽しめるまとめ売り。駅で売られるかどうかは不明。
2022(令和4)年1月の京王百貨店と阪神百貨店の駅弁大会で実演販売。下記の人気商品「そば屋の天むす」の袋に「やき」を加えた絵柄の掛紙を使う。容器に笹の葉を敷き、海老天を詰めた球形の焼きおにぎりを6個詰め、子持ちきくらげとかつおぶしで覆い、漬物を添える。まるでたこ焼きを食べるように天むすをいただく背徳感。ファストフードかジャンクフードな駅弁の新顔として面白い存在だと思う。
2013(平成25)年12月の発売。キクラゲの混ぜ御飯で小さなエビ天を巻く、ピンポン球くらいの大きさのミニおむすび5個とタクアンを、竹皮に包んで、紙袋に詰める。調製元は小淵沢駅の駅弁屋であるが、同時に駅そば屋や立ち食いそば屋でもあるため、この商品名で合っている。
駅売りの天むすは、名古屋のものに一日の長があり、そちらはエビ天が顔を出していて見栄えがする。こちらは味とつくりで名を広め、今は東京駅の人気商品だったり、駅弁催事に出てきたりする。袋の色はこの朱色を基本に、催事版や記念版では黒くなることがあるが、中身や味が変わるものではない。価格は2022年4月の購入時で750円、6月から780円。
※2022年7月補訂:写真を更新2023(令和5)年4月に東京駅で発見。小淵沢駅の駅弁「そば屋の天むす」の2個入り版。赤い絵柄はそのままに、プラ製になった小袋に、丸い天むすを2個、透明なプラ製トレーに収めて詰める。中身は5個入りと同じでも、中身が潰れないので、味が整うように思える。
2020(令和2)年11月2日に購入した、小淵沢駅弁の袋。中身や風味や値段は、普段の小淵沢駅弁「そば屋の天むす」と同じで、下記や上記のものと同じ。2020(令和2)年4月からは「駅弁誕生135周年おにぎり弁当」の副題を付けて、黒い袋で売り出した。東京駅では一年間くらい、この袋だった模様。催事や現地では、普段の朱色の袋を使ったとみられる。
2016(平成28)年6月19日に購入した、小淵沢駅弁の紙袋。中身は上の2020年のものや、下の発売時の2014年のものと変わらない。袋の色や文字だけが異なるものである。
2014(平成26)年8月9日に購入した、小淵沢駅弁の包装紙。中身は上記の2016年のものと同じ。当時は包装が袋状でなく、薄い茶色の包装紙で包んでいた。
2018(平成30)年の夏に「信州味噌の西京焼き」の名前で発売か。2020年までにスリーブの絵柄を一新、容器や中身や値段を変えずに、名前が「信州味噌鰈(かれい)の西京焼き弁当」に変わった。中身は茶飯の半分を海苔とカレイ西京焼で覆い、残る半分を玉子焼、玉子焼、高菜、レンコンのきんぴら、ニンジンとシイタケの煮物、大根桜漬で覆う。味噌味の強さを感じさせない、あっさりとした白身魚。魚の小淵沢駅弁は、エンガワでないカレイの駅弁は、珍しいと思った。
※2021年2月補訂:名前と写真を更新2018(平成30)年8月1日に購入した、小淵沢駅弁のスリーブ。上記の駅弁「信州味噌鰈の西京焼き弁当」と同じものだが、絵柄に加えて駅弁の名前も異なるのは不思議。
2017(平成29)年1月の京王百貨店の駅弁大会でデビュー。掛紙での商品名は「鮑の煮貝弁当」であるが、これを百貨店では「元気鮑(げんきかい)」と読ませた。おおむね円筒形の小さく白い陶器に、混ぜ御飯を詰め、アワビとイクラと山菜とシイタケと大根桜漬で覆うもの。アワビは駅弁では稀な柔らかさ。しかし、この催事場で併売かつ完売していた、名前をともにする小淵沢駅伝統の駅弁「元気甲斐(げんきかい)」に及ぶものではなかった。
陳列に難がありそうな貝の形に編んだ竹籠の容器を使用、白いトレーを収めて、その中でアワビときのこの炊き込み御飯の上にアワビのスライス煮が載り、鶏肉・エリンギ・山くらげなどを添える。この価格の割に少量であるうえ、アワビが主に身ではなく出汁として入るため、「高原野菜とカツの弁当」か「元気甲斐」に手が伸びる。「甲斐の貝」は駄洒落ではなく、アワビの煮貝は四百年の伝統を持つ山梨県の名産品。価格は2001年の購入時で1,000円。その後しばらく見なかったが、2013年頃に1,300円で再登場した模様。価格は2017年時点で1,400円。
※2017年4月補訂:値上げを追記2013(平成25)年2月の鶴屋百貨店の駅弁大会で、いくつかの小淵沢駅弁とともに実演販売されたお弁当。長方形の容器に茶飯を敷き、小粒ながらきれいなアワビを5個も敷き列べ、煮物や大福などを添えるもの。なぜここでこういう商品を作ったのかはよく分からないが、第50回記念の駅弁大会のチラシと催事場に花を添えた。
細長い長方形の容器に、割り箸とマスの押寿司を詰め、ふたをして掛紙で巻いてセロテープで留める。見た目どおり淡泊な味。白く透き通るマスの身に載せた白昆布と、中に挟んだシソの葉が、風味を出さずにクセを消す役割を果たすか。駄洒落系でも元気甲斐と同様、商品そのものに実力がある。2014年時点で現存しない模様。
シナノユキマスは、長野県が1975(昭和50)年に当時のチェコスロバキアから導入し、佐久の水産試験場で9年かけて養殖技術を確立した、東欧原産のサケ科の湖沼性淡水魚。1983(昭和58)年に当時の吉村午良長野県知事が命名したという。飼育が難しく佐久地方以外に広まらないためか、知名度がなかなか上がらない。それでも県境を越えて山梨県の駅弁屋が、こうして駅弁に使用した。
※2014年7月補訂:終売を追記