東京駅から新幹線で約3時間半。岡山市は岡山県の中央に位置する、人口約71万人の城下町で県庁所在地。市街に複数の百貨店を抱える商業、臨海部や内陸部に工業団地を抱える工業や、桃や米などが特産の農業が盛んであるほか、新幹線に8方向からの在来線が集まる鉄道の要衝でもある。駅弁は明治時代の鉄道開業当時からの駅弁屋の駅弁から、地元の弁当屋が駅構内の店舗に卸す弁当まで、様々なものを朝から晩まで選べる。1891(明治24)年3月18日開業、岡山県岡山市北区駅元町1丁目。
2023(令和5)年8月に岡山駅で発売か。10月からのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2023」にエントリー。2021年4月の山陽・九州新幹線相互直通10周年記念弁当「岡山旅めし黒毛和牛と真鯛のフルコース膳」のリニューアルに見え、中身とその写真と値段を除きほとんど変わらない。今回の中身は、岡山県産牛のすき焼き風、岡山県産森林どりの塩糀唐揚げ、も貝の佃煮、ママカリと大根胡麻酢和え、きびだんご、ポテトサラダ、玉子焼と合鴨スモーク、、ひじき煮、ブロッコリー、えび。引き続き幕の内弁当のようなもので、一部のパーツにより岡山を意識してもらえるかどうか。
駅弁の名前は「国産すきやき弁当」とも。2016年までに岡山駅で発売か。長方形の容器に味付ご飯を詰め、国産なかやま牛の、広島県福山の畜産業者のブランド牛「なかやま牛」のすき焼きで覆い、かぼちゃ、いんげん、パプリカの揚げ野菜で彩り、ゆで卵と糸こんにゃくを添える。味付けの淡い、すきやきの味。一緒に買った同じ調製元の福山駅弁「春彩すき焼き弁当」より安いのに、彩りも肉の分量も風味も上回るように感じた、今の世では安めでうまいと思う牛肉駅弁。知名度はほぼ無い。価格は2016年時点で980円、2023年時点で1,030円、同年5月から1,150円。
2022(令和4)年8月1日に6種類が発売された、岡山駅弁の新作。長方形の容器に味飯を詰め、刻み海苔で覆い、岡山県産あっぱれ鶏を使うという黒い焼き鳥をゴロゴロころがし、鶏そぼろも載せ、ねぎ、玉子焼、紅生姜で彩る。まるでネギ塩の焼肉を焼き過ぎたような、味や香りや口当たりに視覚でも鶏肉が炭っぽい、硬派で駅弁にはあまりない焼き鶏丼。価格は2022年の発売時や購入時で980円、2023年6月から1,080円。
※2023年6月補訂:値上げを追記2007(平成19)年9月20日に発売。フタも本体も深さのある経木枠の楕円形の容器を使用、そのフタには食欲をそそる鶏炭火焼の写真を掲載する。中身は餅米入り味付飯の上に鶏肉を載せる鶏丼であるが、鶏肉に岡山県産の備中森林鶏と吉備高原鶏を使用するほか、これを照焼、塩焼、唐揚、蒸しの4種で詰めるため、見た目でも風味でもとても賑やかな内容。飯と鶏の相性も良く、駅弁の名前どおりのいいとこどり。価格は2008年の購入時で900円、2014年時点で980円、2021年時点で900円に戻り、2023年時点で950円。
※2023年6月補訂:値上げを追記2021(令和3)年7月に「和牛とネギ牛カルビ重」「黒毛和牛の四種盛り弁当」とともに発売。駅弁ではあまり見られないと思う、白いスリーブに収めた長方形の容器に、白飯を詰め、きんぴらごぼうと黒毛和牛の牛肉煮で覆い、瀬戸内青葱出荷組合の「ぐんぐんの青ねぎ」と芽れんこんで彩り、ポテトサラダと玉子焼と七味唐辛子を添える。白飯を牛肉煮で覆う普通の牛丼駅弁に見えて、ネギなどの添え物での味を盛り立て、強い味付けで飯が進む。「岡山名物」にならなくても、元気が出る駅弁。2022年で終売か。
※2023年6月補訂:終売を追記2021(令和3)年7月に「和牛とネギ牛しぐれ煮重」「黒毛和牛の四種盛り弁当」とともに発売。商品名と黒毛和牛を描いた、黄金色に見えるスリーブに収めた長方形の容器に、白飯を詰め、黒毛和牛の牛焼肉で覆い、瀬戸内青葱出荷組合の「ぐんぐんの青ねぎ」とフライドガーリックで彩り、ポテトサラダとナムルを添える。これだけの値段になると、レストランで焼き立ての焼肉料理か、デパ地下などで出来立ての焼肉弁当をいただきたくなるところなので、現地での評判はどうか。常温の駅弁にできていても、確かに冷めた焼肉弁当。2022年7月限りで終売。
※2022年9月補訂:終売を追記2020(令和2)年の春までに発売か。白飯を牛肉とタマネギの炒め物で覆い、白ごまを振り、ナムルと玉子焼を添える。河野酢味噌工場と岡山南高校で共同開発したという焼肉の糀たれと国産わさびを使った、韓国風焼肉弁当。岡山駅でも全国的にも、駅弁が千円では買えなくなりつつ世の中で、値段も分量も、駅で買って列車内などで食べるのならこれくらいがよいと思う。2022年7月限りで終売。
※2022年9月補訂:終売を追記山陽・九州新幹線相互直通10周年を記念した弁当として、2021(令和3)年4月1日から9月30日まで販売。調製元の公式サイトには「新幹線にご乗車いただく皆様へ感謝の気持ちを込めた贅沢な和食フルコース膳」という紹介文がある。くらしき川舟流しの風景を描いたスリーブには、発売時には駅弁マークの右隣に記念のロゴマークが入っていた。
中身はスリーブの写真のとおり、駅弁の名前にあるように、瀬戸内青ねぎを載せた黒毛和牛のぎゅうめし、瀬戸内産真鯛の甘辛揚げ、いぶりがっこ入りポテトサラダ、わらび餅作州黒豆添え、玉子焼、ひじき煮、鶏照焼、野菜コンソメ煮。御飯が牛飯なので、お肉の駅弁のページに入れたが、あるいは幕の内弁当のようなものか。10月以降も販売が継続され、2022年の6月か7月頃まで売られた。
※2023年4月補訂:終売を追記2018(平成30)年9月1日の発売だそうな。白飯をナムルと牛肉煮で覆い、玉子焼と大根桜漬を添える牛肉駅弁。パッケージの既視感と名称の違和感を覚えながら買ってみたら、半年前に同じ売店で買った下の「ひるぜん高原牛肉ワイン煮弁当」とほぼ同じもので、名前を変え、御飯を覆う牛肉を減らしてナムルを加えたものだった。2019年8月限りで終売。
※2020年4月補訂:終売を追記2018(平成30)年秋の新作か。その名のとおり、広島名物お好み焼き風豚玉めし、広島風お好み焼きの中身のうち焼きそばを御飯に置き換えたもの、麺でなく飯にソース味を付け、豚肉と薄焼き卵で覆うものが1枚、正方形の容器にすっぽり収まる。マヨネーズもオタフクのものを添付する、岡山駅弁に見えない広島づくし。2019年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記岡山県北部の蒜山(ひるぜん)をテーマにした駅弁として、2017(平成29)年9月1日から30日まで販売。2018(平成30)年4月に再発売。ボール紙のふたの絵柄は、岡山県北部の観光地「蒜山(ひるぜん)高原」の風景や立看板だと思われる。白御飯を牛肉煮で覆い、紅生姜、きんぴらごぼう、玉子焼を添える、 ごく普通の味と内容の牛肉駅弁。再発売も1か月程度か、東京駅限定で実施か。
※2021年3月補訂:終売を追記岡山駅の秋の駅弁の新作として、2017(平成29)年9月から12月まで販売。黒いプラ製トレーの3つのくぼみに、白飯を岡山県産の森林鶏の唐揚のスライスで覆う鶏丼、茶飯を黒毛和牛(千屋牛)のしぐれ煮とマツタケで覆う牛丼、茶飯を錦糸卵と岡山県産の豚の角煮と紅生姜で覆う豚丼が、それぞれ収まる。本来の販売期間が過ぎた真冬の東京への輸送の影響か、牛の脂と豚の赤身はカチカチで、鶏照焼の乱切りの、ササミ風のあっさり感と衣のクリスピーが美味だった。
2017(平成29)年1月の京王百貨店の駅弁大会で輸送販売。2016〜2017年の駅弁大会シーズンに売られた商品と考えられるが、他で売られたという情報が得られない。駅弁の名前のとおり、パッケージの写真のとおり、千屋牛(ちやぎゅう)のカルビ丼とすき焼き丼が、小さな正方形のトレーにひとつずつ収まり、その間に玉子焼と大根桜漬のトレーを収める。輸送の冷たさか、タレの量や味なのか、東と西の味覚の違いか、肉の量や質あるいは丼として、1,780円の価格が感じられるものがあったかどうか。
2015(平成27)年春の新作か。詳細は不明だが、岡山商工会議所の「第2回新作郷土料理コンテスト」で会頭賞を受賞したことが、パッケージでうたわれる。岡山駅前の桃太郎像もそこに登場。屋台や惣菜向けな丼に収まる中身は、白御飯にキャベツの千切りを敷いて、鶏照焼をスライスして覆い、玉子焼と紅生姜を添える鶏丼。刻み海苔とマヨネーズを添付し、これをかけて食べる。
パッケージがなければ駅弁には見えなくても、やや冷蔵の味には駅弁の締まりが感じられた。鶏マヨ丼あるいはマヨ丼、御飯に鶏肉その他の肉をかけた丼にマヨネーズをかけて食べるものについて、これを岡山の名物だと考える考察が、ネット上に少し出ている。2016年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2014(平成26)年9月1日に発売。JR西日本岡山支社とジェイアールサービスネット岡山と三好野本店との連携による、津山市の地域の魅力を活かした駅弁。扇形の容器にほうじ番茶風味の茶飯を詰め、シイタケ入りの牛しぐれ煮と錦糸卵で覆い、左から大根漬、切り干し大根、菜の花醤油漬、こんにゃく煮、黒豆煮、きな粉わらび餅の6種を付け合わせる。
スリーブの写真から分かるとおり、テーマは津山扇形機関車庫。JR津山駅構内に残る、建屋が扇形をした機関車の車庫にちなみ、容器は扇形、バランは汽車、肉は津山の味、番茶は美作(みまさか)。その他スリーブの上面や底面に、小さい文字で様々な情報が記される。半年間ほどの販売か。
2014(平成26)年9月1日に発売。JR西日本岡山支社とジェイアールサービスネット岡山と三好野本店との連携による、新見市の地域の魅力を活かした駅弁。白飯を牛肉炒めで覆い、筑前煮と大根漬を添える。黒い掛紙にいくつかの宣伝文があるが、普通の内容の牛肉駅弁。小柄で少量なので価格も控えめ。1年間ほどの販売か。
2012(平成24)年11月1日の発売。薄い木でできたエコな容器に味飯を詰め、錦糸卵とともに美星町の牛肉の赤ワイン煮と豚肉の蒲焼きを貼り付け、レンコンの辛子マヨネーズ和え、大根漬、サツマイモきんとんなどを添えるもの。肉はいずれもとてもしっかりした歯応えで、分量の割に飯が進む気がした。価格は2013年の購入時で1,000円、2014年時点で1,100円。2014年までの販売か。
駅でいえば井原駅と備中高梁駅の間に位置した岡山県小田郡美星町は、都市や交通路からやや離れた吉備高原の山里とあり、天文観測の好適地としてひっそり知られていた。町では光害から美しい星空を守るために1989年に「美しい星空を守る美星町光害防止条例」を施行、人工光による夜空の明るさの増加が自然の状態の1割をこえないよう、屋外照明は必要最小限にすることや、屋外照明は水平以上に光がもれないようにすることなどを定めた。
1993年には口径101センチメートルの望遠鏡を備える美星天文台が開館、天文での地域振興に力を入れてきた。美星町はいわゆる平成の大合併により、2005年に井原市へ編入されたが、同時に当時の美星町の区域内に限り適用される「美しい星空を守る井原市光害防止条例」が施行され、独自の観光協会も残り、「星の郷・美星町」としてのまちおこしを続けている。
※2016年7月補訂:終売を追記2008(平成20)年7月15日に発売。「おかやま和牛肉弁当」と同じ容器を使用、ボール紙のふたの文字や写真にハチミツがあふれる。中身は岡山県産の白御飯の上に、やはり岡山県産牛の蜂蜜煮とそぼろを敷いて、玉子そぼろも振りかけた牛丼に、みぶ菜漬と大根漬を添えるもの。牛肉はハチミツで甘く、タレで辛く、いやがおうにも食が進むし、少量なのであっと言う間に食べ尽くしてしまう。現存しない模様。
通信販売やデパートの催事でもおなじみの山田養蜂場は、岡山県苫田郡鏡野町に本社を構える養蜂業者。平成に入ってはちみつで全国的なブランドを築いて急成長、健康食品や化粧品にも事業を広げ、2008年現在で年商約400億円の企業グループを構成している。この駅弁のふたでは、山田養蜂場のハチミツを使ったことを2箇所も書いている。
※2014年7月補訂:終売を追記2004(平成16)年の夏頃に発売。楕円形の経木枠の容器に縁が付いたふたをして、掛紙代わりの商品名シールを貼って、ラップで包み食品表示ラベルを貼る。中身は白御飯の上に岡山県産黒豚の焼豚が数切れと塩胡椒炒めがたっぷり入り、レンコンや青唐などが入り。タレと辛子マヨネーズの袋を添付する。味はあっさりした豚肉の脂味豊かな豚丼で、マヨネーズとの相性が良く分量もそこそこあり、軽い名前に違い重量感のある感じ。商品名を単に「豚丼」などとしなかったことは、吉と出るか凶と出るか。価格は2005年の購入時で900円、2014年時点で1,080円。2014年までの販売か。
岡山県は県産豚肉のブランド化を図り、1990年から種豚導入を開始、当初は鹿児島から持ってきたが、1996年にはイギリスからバークシャー種を取り寄せ、今はこちらが「おかやま黒豚」を名乗れる条件らしい。生産量は徐々に拡大中だが全国的な知名度はまだなく、行政主導の振興策が続く。
※2016年7月補訂:終売を追記第二次大戦後の調製と思われる、昔の岡山駅弁の掛紙。焼売は昔も今も岡山の名物ではないと思うが、かつて横浜や鳥栖に限らず主要幹線の拠点駅に構える多くの駅弁屋で取り扱いがあり、今はそうではない焼売の掛紙そのものが、戦後昭和の懐かしさを演出するアイテムかもしれない。