新宿駅から中央本線の特急列車で約2時間。北杜市(ほくとし)は山梨県の北西端を占める、人口約4万人の市。甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳や金峰山や茅ヶ岳に囲まれた高原に、農地が広がり、山や緑に観光客が来る。駅弁は大正時代から売られ、平成時代に売店へ「小淵沢駅の名物は駅弁です」と掲示するほどの名物となった。1894(明治27)年12月21日開業、山梨県北杜市小淵沢町。
2024(令和6)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。続く1〜2月の鶴屋百貨店と2月の阪神百貨店の駅弁大会でも実演販売。多量の国産牛ヒレ肉ステーキのぶつ切りとマヨネーズを、黒玉ねぎパンの耳あり食パンで挟んだものを2切れ、紙に包んで真っ二つに切断し、正方形のプラ箱に詰めて黒いスリーブに収める。この軽食で2,400円もするので容赦ない。ふんわりとしたお肉の塊が油まみれになって胃腸を襲う、小さくても重量級の食事。小淵沢駅で販売または注文販売されることは、あるのだろうか。
2023(令和5)年10月1日に東京、新宿、小淵沢の各駅で発売。同日からのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2023」にエントリー。赤ワインと一緒に炊き込んだご飯に刻み梅を添え、山梨県産赤ワインを使用したデミグラスソースの炭火焼和牛ハンバーグを刻んで据え、スパゲティ、フライドポテト、コーン、ブロッコリー、えび、たけのこ、れんこん、にんじん、かまぼこ、玉子焼、らっきょうを添える。レトロでデザインした紙箱に加え、色違いの幕の内駅弁のような中身の見栄えも、昭和時代の懐かしさを持つ最新作。ハンバーグは冷たいのに身が詰まり食べやすかった。
商品名は「小淵澤丸政之甲州牛御辨當」とも読める。おそらく2022(令和4)年の夏頃までに、団体注文か催事向けの弁当として商品化された模様。今回は東海道新幹線新横浜駅の駅弁売り場で買えたため、おそらくこの2023年秋の時点で、東京、品川、新横浜の各駅のジェイアール東海パッセンジャーズの店舗に納入されるようになったのだろう。
白御飯を海苔と牛焼肉で覆い、赤かぶ漬を添える、赤黒いプラ製トレーを収めた黒い長方形の容器を、印章の柄を持つ包装紙で包む姿は、下記の駅弁「小淵澤丸政之信州牛御辨當(小淵沢丸政の信州牛弁当)」とほぼ同じ。その信州牛が「甲州牛」に替わり、商品名と掛紙の印章に反映される。味はそれとまったく同じといってよく、脂身と赤身と焦げの香りと、肉の適度な柔らかさが印象的。価格もおそらく同額だろう。
2022(令和4)年10月1日に、小淵沢駅と甲府駅と東京駅で発売か。同日からのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2022」にエントリー。20年前に販売していた駅弁の復刻版とされたが、もう少し古い1990年前後、30年以上前のものではないかと思う。ふたの絵柄は、八ヶ岳と牧場のイメージか。四角い容器に白飯を詰め、牛肉煮で覆い、こんにゃく、しいたけ、ひめたけ、紅生姜、大根桜漬、金印ねりわさびを添える。上等でなく並等の分量と品質と価格を持たせた、すき焼き風かもしれない牛丼弁当。
2023(令和5)年11月11日に購入した、小淵沢駅弁のふた。日本鉄道構内営業中央会の「駅弁マーク」制定35周年を記念し、会員のうち29社が主に11月10日から期間限定で販売した31種類の記念駅弁のうち、小淵沢駅のもの。上記の駅弁「牧場の牛めし」のふたに、大きな駅弁マークと「駅弁マーク制定35周年」の文字を載せた。容器や中身や価格は変わらない。これは11月10日から当分の間販売するという。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2020(令和2)年秋の新商品か。軽くて薄い長方形の容器に茶飯を詰め、牛肉の炭火焼で覆い、玉子焼、にんじん煮、山菜煮、大根桜漬を添える。お肉のパサついた見栄えとふわふわな食感を含め、内容と価格が2018〜2020年販売の「男の特盛牛めし」と同じなので、これを改称した催事向け商品だろう。小淵沢がもし牛肉の著名な産地であれば、このシンプルな牛肉駅弁は、ここならではの味を持つ定番の商品になったかもしれない。スーパーやデパート、東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」で、時々売られるのではないかと思う。
2019(令和元)年秋の新作か。浅めの木の容器に黒いプラ製トレーを詰め、その中に茶飯を敷き、でっかい鶏肉の揚げ物で覆い、玉子焼とニンジンと山菜と大根漬を添える。胃に重い、ワイルドな鶏飯。山賊焼なる鶏唐揚は長野県中信地方の郷土料理だそうで、先に松本駅で駅弁になっていた。価格は2020年の購入時で980円、2022年6月から1,080円。
※2022年6月補訂:値上げを追記2019(令和元)年7月に小淵沢駅や甲府駅や新宿駅などで発売。同月の東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」での「夏の新作駅弁フェア」でも販売。同じような駅弁は過去に何度か出ていると思う。長方形の容器に茶飯を詰め、海苔と錦糸卵と鶏そぼろで覆い、「甲斐味鶏」を使用したという鶏照焼を載せ、れんこんのきんぴら、山菜煮と人参煮、桜漬けを添える。高崎駅弁タイプの、普通の鶏飯駅弁。だから、廃盤にしなければ機能的な駅弁として定番化できると思う。価格は2019年の購入時で980円、2022年6月から990円。
※2022年6月補訂:値上げを追記2023(令和5)年1月の京王百貨店の駅弁大会で販売。現物からは読み取れないが、「SDGs×駅弁」として「人気駅弁の端材おにぎりでフードロス削減」と広告し、3種類または5種類のおにぎりを輸送販売した。これは上記の小淵沢駅弁「八ヶ岳高原の鶏めし」のもので、茶飯に甲斐味鶏の照り焼きを少々混ぜた三角おにぎりを1個、商品紹介と食品表示のラベルを貼ったプラ製ケースに収めたもの。元の駅弁は高価でないのに、このおにぎりはずいぶん高価。いつかどこかで売られるように、なるかどうか。
2018(平成30)年10月1日に東京都内で発売か。平成初期頃からいくつかの駅弁で使われた「しあわせ甲斐」を副題に持つ。同日に同年10月から11月までのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2018」にエントリー。
中身は牛丼とハンバーグ丼のセット。バスケット型と呼ばれる東京駅弁のチキン弁当と同じような構造のボール紙箱に、やはり同じように詰めたように見える2区画のプラ製トレーの、両方に茶飯を詰め、一方を牛焼肉やタケノコや山菜や大根漬で覆い、他方をハンバーグとミックスベジタブルとジャガイモとインゲンで覆う。牛肉は筋がしっかりあり、ハンバーグは密度と洋風を備え、好みは後者。赤ワインや白ワインがソースに使われるというが、これには気が付かなかった。価格は2020年の購入時で1,100円、2022年6月から1,180円。
※2022年6月補訂:値上げを追記2018(平成30)年10月7日に購入した、小淵沢駅弁の紙箱。発売当時はこのように、モダンな絵柄で写真が使われていなかった。構造や中身や味や価格は、上記の2020年のものと変わらない。
2016(平成28)年10月の発売。主に東京都内で売られる商品である模様。茶飯を牛焼肉と玉子焼で覆い、赤かぶ漬を添える、シンプルな駅弁。そんな牛丼か牛すき焼丼に見えて、小淵沢駅弁の他の牛焼肉丼と同じく、ちゃんと焼肉の味と香りがした。パッケージや中身の見栄えでなんとなく、東京で有名になった新潟駅弁「えび千両ちらし」を思い起こす。価格は2016年の発売時で1,050円、2020年時点で1,100円。
※2020年5月補訂:値上げを追記2014(平成26)年7月の発売。商品名は「小淵沢丸政の信州牛弁当」とも。木製風の折箱が、まるで贈答品のように包装紙でていねいに包まれる。中身は白御飯を牛焼肉で覆い、赤かぶ漬を添えるもの。長野県内や県外の生産者と加工業者と販売業者100者以上で構成する、信州牛生産販売協会のブランド牛「りんごで育った信州牛」の、枝肉格付け等級でA5とA4の肉を使用し、「完成まで七年かけた秘伝タレで丁寧に直火焼きで焼き上げ」たという牛肉は、脂身と赤身と焦げの香りと、肉の適度な柔らかさが印象的。東京駅で米沢駅弁に負けていない。価格は2014年の発売時で1,730円、2017年時点で1,980円。
2023(令和5)年1月の京王百貨店の駅弁大会で、ひっそりと販売。株式会社DONUTSのウェブサイト「美少女図鑑」によると、「駅弁パッケージドラフトオーディション2023」として、美少女図鑑と京王百貨店と駅弁屋4社の協力で、2022年11月の公募と、ライブ配信&動画アプリ「ミクチャ」でのオーディションを経て決めたモデルをパッケージに使う駅弁を、京王百貨店の駅弁大会で予約販売し、その販売数に応じてグランプリを決め、2月以降に1日販売員として店頭販売するとのこと。12人のモデルを使う「甲州地鶏の親子丼」(1,500円)「鹿児島黒豚炙り焼き重」(1,250円)「東北美少女BOX」(1,500円)「常陸牛すき焼きと大洗名物あんこう弁当」(1,500円)の4種類が、ネット上で購入し店舗で受け取る、京王百貨店の駅弁大会の公式ネット通販で、特段の注記なく他の駅弁と併売された。
この「甲州地鶏の親子丼」は、小淵沢駅の駅弁屋の調製。スリーブには商品名と中身の写真といくつかのロゴマークと、女性3名の上半身写真が載る。中身は御飯を甲州地鶏といんげんとタマネギの卵とじで覆い、しいたけ、にんじん、大根桜漬を載せるもの。値段がすごいことになったが、常温でおいしい、駅弁に稀な本格的親子丼。名前とスリーブを替えて、まともに売れば面白いかも。
2018(平成30)年の秋に「大盛牛肉男の肉飯」の名前で、スーパーの駅弁大会などで発売か。白飯を牛焼肉で覆い、玉子焼、煮物、山菜、大根桜漬を添える、書けば普通の牛肉駅弁。駅弁の名前にあるとおり、たしかにパサついた見栄えとふわふわな食感の牛肉は多めで、この調製元の近年の牛肉駅弁と同じく、焼肉の香りが強烈。2020年の夏頃までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2019(平成31)年4月13日に購入した、小淵沢駅弁のスリーブ。上記の駅弁「男の特盛牛めし」と、名前や絵柄は異なるが、言いたいことはおおむね似ている。容器も当時はプラスティック素材のみでできていたが、中身や味や価格は変わらない。
2019(平成31)年4月の発売か。酢飯に牛肉を載せて海苔で巻く軍艦巻3個と、大きな玉子焼に極小の酢飯を載せたもの2個を交互に並べ、小柄な長方形の容器のすき間を牛肉で埋める。御飯入りの駅弁なのにほとんど御飯が入っていない、個性的なレイアウト。高級なものとは思えない牛肉に、適度な厚みと噛み切りやすさと、常温でも強力な焼肉の香りを持たせているのは、最近のこの調製元の特徴だと思う。半年間ほどの販売か。
※2020年12月補訂:終売を追記2018(平成30)年1月と2019(平成31)年1月の京王百貨店の駅弁大会で輸送販売。その他の場所での販売を確認できていない。白御飯を牛肉で覆い、煮物と山菜と漬物を添え、透明なふたをして、商品名を描くスリーブに収める点までは、標準的な牛肉駅弁。牛丼タイプの焼肉がたっぷり、加えてビーフジャーキーが厚く柔らかくなったような棒肉かステーキのカットかが4本載り、肉の多量を感じる。常温で脂が白く浮く点も含め、力強いB級グルメ。駅弁大会以外の場所で売られたかどうかは定かでない。
これは駅弁でなく、東京のデパートの地下食料品売り場で買えた惣菜。毎年1月に日本最大級の駅弁大会を実施する京王百貨店では、小田原駅や小淵沢駅などの駅弁を中地階の食品売り場で一年中取り扱う。調製元は小淵沢駅の駅弁屋で、「駅弁の丸政特製」と記す紙帯に駅弁マークを入れていた。中身は商品名のとおり、茶飯を福島県産豚の生姜焼きで覆い、紅生姜、玉子焼、かまぼこ、シイタケ、ニンジンを添えたもの。山梨から運ばずとも、店内で作れそうだと思った。これはどうも、8月16日から28日まで京王百貨店新宿店の各階で実施した「美味いもの満載福島編」の一環で販売した企画商品だったようだ。
調製元の公式サイトによると、2015(平成27)年10月1日発売の要予約駅弁。茶飯を鶏そぼろと海苔で覆い、鶏照焼、こんにゃく、肉団子、うずら卵でさらに覆い、玉子焼、ニンジン、サトイモ、赤カブ酢漬を添える。名前も内容も高崎で伝統の駅弁「鶏めし」を思い起こす、落ち着きと渋さのある鶏飯駅弁。2019年の「八ヶ岳高原の鶏めし」の発売までに売り止めたのではないかと思う。
※2020年5月補訂:終売を追記2017(平成29)年1月の京王百貨店の駅弁大会でのみ販売か。正方形の鶏照焼丼、正方形の牛肉煮丼、長方形のおかずや漬物を、長方形のプラ容器に詰めて、商品名を書いた紙帯で留める。今回の京王でひっそりと集めて輸送販売していた、価格を1,000円に統一した各地の駅弁のひとつか。そのためのやっつけ作に見えるが、それでも具の味と種類が確保されている感じなのは、さすが小淵沢駅の駅弁屋。少なすぎる牛肉はともかく、いずれの肉も炭火の香りと締まる味があった。
2016(平成28)年秋の新作か。スリーブにはJR小海線の走行風景、車両や鉄道最高地点の写真、全線全駅路線図が描かれる。中身は茶飯を鶏肉と鶏そぼろと錦糸卵で覆うもので、薄皮付きの鶏味噌焼に厚みと適度な締まりがあった。一年半ほどの販売か。
安養寺味噌とは、鎌倉時代に覚心上人が宋から現在の長野県佐久市にある臨済宗安養寺に伝えた製法で作られた味噌といい、現在の信州味噌の発祥とされているそうな。色も味も鮮やかな辛口が特徴。
JR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2016」へのエントリーに合わせ、2016(平成28)年10月に発売か。パッケージの写真のとおり、大きな円形の加熱機能付き容器に、白御飯、ビーフシチュー、インゲンとミックスベジタブルを詰める。駅弁にあるまじき汁物に、果敢に挑戦した。しかしメインの牛肉ワイン煮はまるで塩辛で、しかも普通に弁当を運んでも中身がこぼれてしまい、味でも形でもうまくなし。これはどうしたものだろう。半年間ほどの販売か。
※2019年8月補訂:終売を追記2015(平成27)年夏の発売か。6月下旬頃から9月上旬頃までの販売か。名前のとおり、夏季限定の駅弁。掛紙に加えて容器にも、花火の模様が入っている。中身はワサビ飯の上を、錦糸卵と山菜煮と牛肉焼で覆い、ニンジンと大根桜漬を添えるもの。濃いめの色と味付けで、肉の旨味がおかずになったものの、大きな文字で「信州牛」を名乗るには、肉の分量が淋しいと思った。2020年までの販売か。
※2022年4月補訂:終売を追記2016(平成28)年1月の京王百貨店の駅弁大会でデビューか。黒い長方形の加熱機能付き容器に、中身の写真や山梨県のシルエットなどを使う黒い掛紙を巻く。中身は白御飯の上に、牛焼肉、ポテト、ミックスベジタブルを載せ、ラッキョウとインゲンを添えるもの。柔らかさと厚みと分量があるステーキそのものに加え、タレないしソースにもこだわりがありそうな気がした。同じ名前と価格と中身で、加熱機能付き容器でないバージョンもある模様。2019年までの販売か。
※2020年4月補訂:終売を追記上記の駅弁「甲州赤ワインステーキ弁当」の、加熱機能付き容器でないバージョン。2016(平成28)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売したのはこのタイプ。容器以外は見た目も中身もまったく同じで、白御飯の上に、牛焼肉、ポテト、ミックスベジタブルを載せ、ラッキョウとインゲンを添える。高価な加熱機能付き容器を使わないのに、値段までも同じ。キンキンに冷蔵された状態での販売でも、すき焼きや焼肉でなくステーキを名乗る厚さの牛肉には柔軟さがあった。掛紙の写真に比して中身がこれかという文句は、ネット上で見られる。2019年までの販売か。
※2020年5月補訂:終売を追記秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2014(平成26)年秋の新商品か。小淵沢駅や茅野駅の秋駅弁か。容器いっぱいに白御飯を敷き、錦糸卵と牛焼肉で半分弱ずつ、シメジとクリで残りを分けて覆い、カブ酢漬けとモミジ型のニンジン煮を添える。名前どおりの牛と栗。栗の甘味と牛肉の焼き肉感が、それほど多くない分量の割にしっかりと出ていた。2018年頃までの販売か。
※2020年5月補訂:終売を追記2015(平成27)年秋の新作駅弁で、同年10月のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2015」にエントリー。硬くて黒いプラ製の円形の容器に白御飯を詰め、錦糸卵と牛焼肉で覆い、「あつみかぶ酢」を添える。中身はこれだけの、シンプルな駅弁。ボール紙枠の見本写真とは美しさと肉の分量がまるで違う寂しい中身の一方で、駅弁味の陣の応募サイトと思われるQRコードで宣伝に勤しみ、催事向けなのだろうなと感じた。肉そのもの味は、焼きが香り良好。2017年までの販売か。
※2019年8月補訂:終売を追記秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2012(平成24)年秋の新商品か。掛紙に明記されるとおり、3区画の容器に、甲州ワインビーフ使用の牛肉すき焼きチャーハン、フジザクラポーク使用の甲州のカツ丼、甲斐味鶏使用の鶏飯を詰め、漬物なども載せる。「3種の肉の競演!」な若者向けB級駅弁。しかし個人的には、肉の量がちょぼちょぼ、味がしょぼしょぼで、力不足を感じた。2年間ほどの販売か。
2014(平成26)年7月の発売。不思議な駅弁の名前は甲州弁のようで、「おっ!しっかりした牛めしじゃないか」の意か。中身は全国各地の牛肉駅弁と同じく、白飯を牛肉煮で覆うもの。山梨県産甲州ワインビーフを使い、白ごまを振り、シイタケ煮とタケノコ煮と糸こんにゃくを添え、巨峰寒天餅や漬物などを添える。佃煮や時雨煮のような硬めの牛肉はとても甘辛く、飯が進むとも思い、舌と胃に重すぎるなとも思い。1年間ほどの販売か。
2013(平成25)年1月の阪神百貨店の駅弁大会の実演販売でのみ販売された商品。紙箱に梅にぎり、高菜にぎり、骨付き肉、根菜類の焼き物の袋やカップが計4点、力強いデザインの紙箱に収まる。「肉塊」や「ハンバーグ」を名乗る肉は、まるで原始人マンガに出てくるお肉を具現化したような、少々の牛挽肉と骨付き鶏肉を多量の豚バラ肉でぐるぐる巻きにした大きな塊。投下ネタとして最上の出来と手抜きのない味に感心したが、駅やその他の催事で販売されることはなかった。
2010(平成22)年5月から6月までの臨時観光列車「SLやまなし号」の運転に合わせて発売か。当時は6月までの販売とされていたほか、2009〜2010年の駅弁大会シーズンに同じ名前の商品が売られた形跡はある。長方形のプラ製容器を、蒸気機関車や中身のイラストを描いたボール紙の枠にはめる。ふたを開けると電子音が鳴る。中身は白御飯の上を牛肉煮、豚肉煮、焼き豆腐、糸コンニャク、ネギ煮、煮玉子で覆いグリーンピースをふりかけ、巨峰寒天餅と漬物を添えるもの。
商品とSLとの関連が分からないし、肉の強い味付けはさらに甘くなっており、仮にSL列車で売りに来ても他の小淵沢駅弁を買うと思う。ふたを開けると鳴り響く「汽車ぽっぽ」のICメロディーも、音楽が中途半端な所で途切れてしまっており、これでは雰囲気が台無し。
2010(平成22)年9月に神奈川県厚木市で開催された「B−1グランプリ」で、甲府鳥もつ煮がグランプリを獲得したことを受けて、同年12月8日に発売。楕円形の容器に透明なふたをして、駅弁の名前ととりもつの写真などを印刷した黒いボール紙の枠にはめる。
中身は茶飯の上を錦糸卵ととりもつ煮と鶏挽肉煮を1/3ずつ覆い、サトイモやニンジンの煮物にかぶ酢漬や巨峰寒天餅などを添えるもの。とりもつは鶏のレバー、ハツ、砂肝ということで、私も含めこういう内臓系の味が苦手な人は絶対に好きになれない、クセのある内容ではある。価格は2010年の発売時で880円、2014年時点で930円。2014年までの販売か。
※2016年9月補訂:終売を追記2010(平成22)年9月15日に発売。楕円形の容器に透明なふたをして、おしながきを置いて輪ゴムでしばり、実在の「八ヶ岳農場」を適当に描いたボール紙の枠にはめる。中身は茶飯の上を鳥そぼろと炒り卵で覆い、ししとうを載せ、鳥じゃがだんごねぎソース、シイタケ、ニンジンとゴボウのきんぴら、アンデス赤いも、赤かぶ大根、セロリたまり漬を添えるもの。
これは「とりそぼろ弁当」と名付けるべき内容で、風味はやや甘め。これにこういうネーミングとパッケージを付ける点に、「小淵沢の名物は駅弁です」の元気さが感じられる。八ヶ岳農場とは、パッケージに書かれるとおり八ヶ岳中央農業実践大学校のキャンパスというか直営農場であり、ここで生産された鶏や卵がこの駅弁に使われているという。価格は2010年の発売時で880円、2015年時点で900円。2017年までの販売か。
※2019年8月補訂:終売を追記秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2009(平成21)年9月20日発売の新商品。秋季限定の駅弁として翌年にも販売された。下記の駅弁「甲州ワインで育った牛と豚弁当」と同じ構造の容器を使用、中身は左側が白御飯に牛肉とシイタケとタケノコとコンニャクを載せた「甲州牛めし」、右側がマツタケ飯にマツタケのスライスとクリと山菜などと柴漬けを載せた「松茸ごはん」。
コンセプトは間違いなく秋らしいし、調製元の見本写真くらい具が多ければ印象が違ったのだろうけれど、御飯ばかりでおかずの分量と風味に欠ける、実力不足の駅弁。牛飯にワサビを付けるという、不思議な食べ方が推奨されている。価格は2009年の発売時で980円、2014年時点で1,100円、2015年時点で1,200円。2015年頃までの販売か。
※2019年8月補訂:終売を追記2007(平成19)年中に発売か。トレーを接着した長方形の容器に黒いプラ製のふたをして、中身のイラストを描いたボール紙の枠にはめる。中身は駅弁の名前どおりの牛めしで、白御飯の上に色黒でクズのきめ細かく、かなり甘く柔らかい薄切り牛肉煮を載せて、椎茸やタケノコや蒲鉾や玉子焼などを添えるもの。見栄えも味もよくできているが、催事対応商品がコロコロ変わる小淵沢駅弁なので、来年の今頃はまったく別の名前や内容になっているかもしれない。価格は2008年の購入時で1,050円、2014年時点で1,100円。2014年までの販売か。
甲州ワインビーフとは、山梨県甲斐市の小林牧場が生産する牛肉の商品名で、ワイン向けブドウの絞りかすなどを与えて育てているという。同社公式サイトによると2007年に日本農業賞個別経営の部大賞、農林水産祭畜産部門内閣総理大臣賞、畜産大賞経営部門優秀賞をこれで獲得したそうな。
※2016年9月補訂:終売を追記2006(平成18)年3月に発売か。正方形2つ分の長方形ボール紙容器には中身写真と商品名が描かれる。中身は2つに別れ、一方が甲州風というソースメンチカツ丼、もう一方が甲州甘辛という接頭語が付く牛丼。牛が肉を敷き詰めた牛丼なのに対して豚が小さなメンチカツなので、勝負は明らかに牛の勝ち。しかし牛丼も甘辛の「甘」が強く、食べるのは少量で十分な感じ。調製元の宣伝と違い、ボリュームもボリューム感もないので、これで合っている。価格は2006年の購入時で1,050円、2014年時点で1,100円、2015年時点で1,200円。2017年までの販売か。
※2019年8月補訂:終売を追記2005(平成17)年の新作と案内されるが、同じ名前の駅弁は昭和末期から存在した。長方形の弱々しい容器を、駅弁の名前と売り文句を描いたボール紙の枠にはめる。中身はアワビの炊込飯の上に錦糸卵と桜肉、つまり馬肉の甘辛そぼろに、アカニシの煮貝と野沢菜炒めと信玄蒲鉾を載せ、椎茸と武田漬けなるきゅうり漬物と紅白ワイン羊羹を添える。
以上、中身はお品書きから引用したが、こう書くと盛り沢山で、しかし分量は控えめ。馬肉はリピーター限定の食材だと思うが、濃い味付けにより良い意味で何の肉か分からなくなり、駅弁催事に出しても大丈夫な商品になった。そんな馬肉の甘辛煮そのものが信州名物のようで、お土産でもたぶん大丈夫。現存しない模様。
※2014年6月補訂:終売を追記