博多駅から特急列車で約1時間半。佐賀県西松浦郡有田町は、佐賀県の西端に位置する人口約2万人の町。約400年の歴史を刻む焼き物の町であり、今も町内に100軒以上の窯元があるという。駅弁はその器を使い2007(平成19)年に誕生、わずか数年で九州と全国を代表する駅弁として知名度を得た。1897(明治30)年7月10日開業、佐賀県西松浦郡有田町本町。
2007(平成19)年4月18日に「有田鶏弁当」「幸せのチーズケーキ」とともに発売した、おそらく有田駅史上初の駅弁。駅弁の名前には「有田焼」と「焼カレー」が掛けられているのだろう。有田焼の器を黒いボール紙で箱詰めし、駅弁の名前と有田焼のイメージを印刷した掛紙を巻き、輪ゴムで留める。中身はオーブンで容器ごと焼いた、28種類のスパイスを使ったという牛挽肉入りチーズカレー。辛くないけどスパイシーな、常温でもおいしいカレーライス。容器はもちろん、食器などに活用できる。
有田駅での駅弁の発売時には、同じ容器と箱を使う鶏飯「有田鶏弁当」のほうが注目されたようだが、こちらは2008(平成20)年5月2日放送のTBS系列「ランキンの楽園」内「ギャル曽根が食べまくって決める全国47都道府県激うま駅弁ランキン」で第1位を獲得して知名度が上がり、2009(平成21)年1月の京王百貨店の駅弁大会での輸送販売が大当たり、さらに2010(平成22)年にJR九州が実施した「第7回九州の駅弁ランキング」で第1位を獲得し、いまやおそらく駅弁の業界やファンの誰もが知る存在ではないかと思う。従来の駅弁になかったアイデアとデザインが詰まっている。
カレーの駅弁は各地で時々出ているが、消滅が惜しまれる山口県の山陽本線柳井駅「ドライカレー弁当」を除き、その存在は話題にも挙がらない印象。だからこの駅弁は、全国初のカレー駅弁などと紹介されることがある。焼カレーの駅弁としては、おそらく史上初である。価格は2007年の発売時で1,500円、2017年時点で1,600円、2018年時点で1,800円、2020年時点で1,890円、2022年時点で1,980円、2024年時点で2,160円。
※2024年9月補訂:値上げを追記2018(平成30)年1月14日に購入した、有田駅弁の掛紙。2007年の発売時からこの時まで、掛紙と紙箱と器と中身は変わらない。掛紙の絵柄もおおむね同じ。不定だった器の絵柄を、干支に合わせて毎年変えるようになったようで、その絵柄が掛紙にも記される。
2009(平成21)年1月に購入した、有田駅弁の掛紙。駅弁の構造と中身は、発売以来変わらない。器の絵柄は一定しないほか、近年は干支の絵柄を年始めに出している。
2009(平成21)年1月18日1時が消費期限の、有田駅弁の掛紙。同月に京王百貨店の駅弁大会で買えたものと同じに見えるが、食品表示や器の写真の注記が微妙に異なるのが不思議。中身はおそらく、まったく同じだろう。
上記の駅弁を、現地で買ったもの。中身は少し温かく、味は同じで、食感は良くも悪くも柔らかい印象。これが10個程度、改札外駅舎内のキヨスクに積まれていた。もはや佐賀県を代表する駅弁であり、九州を代表する駅弁のひとつでもある。価格は2011年の購入時で1,500円、現在は上記と同じく2,160円のはず。
※2024年9月補訂:値上げを追記2022(令和4)年9月17日に有田駅などで発売。同月23日の西九州新幹線の開業を控え、2019年発売の「有田焼カレーサンリオキャラクターズ」、2020年発売の「ハローキティ有田焼チーズケーキ」に続く、調製元とサンリオとのコラボレーション企画の第3弾として開発したという。商品そのものは既存の有田駅弁「有田焼カレー(小)」と同じ。有田焼の器と、赤い紙箱に巻く掛紙に、2001年に発表されたサンリオのキャラクター「シナモロール」を描いて、価格を140円上乗せした。価格は2022年の発売時や2023年の購入時で1,620円、2024年時点で1,680円。
※2024年9月補訂:値上げを追記2022(令和4)年1月の京王百貨店の駅弁大会で輸送販売、同月の阪神百貨店の駅弁大会でも販売。有田駅の駅弁「有田焼カレー」について、兵庫県西宮市を本拠地とするプロ野球団「阪神タイガース」の名を冠し、掛紙と器にそのマスコットキャラクターやシンボルマークを描く。中身はいつもの有田焼カレー。値段は410円の加算。インターネット上の通信販売では、これが(大)で、(小)(1,750円)もある。
2019(令和元)年9月14日の発売だそうな。下記の駅弁「ドラえもん有田焼カレー」と、構造や大きさや中身や味や値段が同じなので、その後継商品に見える。掛紙にはサンリオのキャラクターであるリトルツインスターズ(キキ&ララ)、ハローキティ、けろけろけろっぴの4体が描かれ、有田焼の小柄な器にも焼かれる。中身はいつもの有田焼カレー(S)。価格は2019年の発売時や2020年の購入時で1,620円、2024年時点で1,680円。
※2024年9月補訂:値上げを追記2018(平成30)年1月11日に京王百貨店の駅弁大会で発売。既存の有田焼カレー(S)について、器の絵柄を藤子・F・不二雄の漫画作品「ドラえもん」の絵柄にして、掛紙の絵柄もそれに合わせたもの。中身や味は同じで、価格は通常のSサイズの270円増し。販売元として東京都港区の会社が追加されている。1年ちょっとの販売か。
※2020年4月補訂:終売を追記2013年2月に熊本県熊本市の鶴屋百貨店で開催された駅弁大会で、第50回記念の鶴屋限定弁当として販売された商品。通常版の有田焼カレーに、佐賀県武雄産の酵素ポークを入れたというが、スパイスとチーズの味が強い製品だけあって、肉を替えても風味に大きな違いはない。
2009(平成21)年2月4〜17日に熊本県熊本市の鶴屋百貨店で開催された「第46回全国有名駅弁当とうまいもの大会」で実演販売されたお弁当。1か月前の京王百貨店の駅弁大会で大ブレイクした上記駅弁の中身に佐賀産和牛の角煮を追加したもの。有田焼の容器もなんとなく渋い色に変わっている。価格は600円のアップ。その後の有田駅弁の百貨店での実演販売でもしばらくは、通常版に加えてこれも併売していたと思う。
※2020年5月補訂:終売を追記2012(平成24)年2月1日から14日まで熊本県熊本市の鶴屋百貨店で開催された「第49回全国有名駅弁当とうまいもの大会」で実演販売されたお弁当。今では九州を代表する駅弁のひとつとなった有田駅弁「有田焼カレー」を、7割程度のサイズにそっくりそのまま縮小している。違いは箱の色が赤いか黒いかで、味は当然に同一。その後も百貨店の駅弁大会や九州物産展で見掛けている。価格は2012年当時で1,050円、2015年時点で1,100円、2016年時点で1,200円、2017年時点で1,350円、2019年秋の今回購入時は1,400円、2022年時点で1,480円、2024年時点で1,580円。
有田駅では買えない。2012〜2013年の駅弁大会シーズンでは、これが首都圏のスーパーでの駅弁催事で有田駅の駅弁として販売されてしまっており、そう表示すると疑義駅弁となる。有田焼カレーそのものは2009年1月の京王百貨店の駅弁大会での実演販売を前に東京都の中目黒へカフェめしとして進出しており、東京で駅弁と同じものも買ったり食べたりできる。
※2024年9月補訂:値上げを追記2012(平成24)年2月11日に購入した、有田駅弁の掛紙。書いてあることは上の8年後とあまり変わらない。発売時から2019年の初頭までは、商品名の文字が墨字風だった。器の絵柄は毎年くらいのペースで変わる模様。
2013(平成25)年1月の京王百貨店の駅弁大会と阪神百貨店の駅弁大会でデビューか。名前と見栄えから分かるとおり、今は九州を代表する駅弁になった「有田焼カレー」の姉妹品。カレーではSサイズとされる有田焼の容器に、ビーフシチューを300グラム詰める。駅ではなく催事で売られる商品かもしれない。価格は2014年時点で1,050円、2015年時点で1,100円、2016年時点で1,500円、2019年時点で1,600円、2020年の購入時で1,700円。2020年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記上記の駅弁「有田焼シチュー」の、2013(平成25)年の発売当時の姿。有田焼の器入りのビーフシチューに加えて、コッペパン場が2個付いていた。翌年には内容を上記の姿へリニューアルか。
※2020年5月補訂:新版の収蔵で紹介文を手直し2007(平成19)年4月18日に「幸せのチーズケーキ」の名で、「有田鶏弁当」「有田焼カレー」とともに発売。弁当より少し小さいサイズの有田焼の器、のちに有田焼カレーの(小)や(S)となる商品と同じサイズの器に、チーズケーキを詰めて冷凍販売。自然解凍して食べたら、まるでムース。常温で液体に戻りそうなほど、淡い風味と口当たりをしていた。価格は2018年時点で1,890円、2020年時点で1,980円、2023年時点で2,160円。
※2024年9月補訂:値上げを追記2020(令和2)年11月1日に有田駅などで、2,160円で発売。2019年発売の「有田焼カレーサンリオキャラクターズ」に続く、調製元とサンリオとのコラボレーション企画の第2弾として開発したという。商品そのものは既存の「有田焼チーズケーキ(S)」と同じ。有田焼の器と、赤い紙箱に巻く掛紙に、サンリオのキャラクター「ハローキティ」を描いて、価格を180円上乗せした。価格は2023年時点で2,400円、通常版より240円の上乗せ。
有田駅の駅弁「有田焼カレー」のレトルト食品。一般的な市販のレトルトカレーと同じく、1人前180グラムのカレールウがレトルトパックに入り、紙箱に収まる。紙箱の絵柄は駅弁と共通。普通に温めれば、普通のレトルトカレーになり、味も有田駅弁という感じではない。チーズを加えてオーブンに入れて、焼きカレーにする方法が紙箱で案内される。写真の器と御飯は、別に用意した。
2024(令和6)年1月の京王百貨店の駅弁大会で販売した企画商品。全国を6地域に分け、各地域の駅弁を4マスに詰めた駅弁を、実演で販売した。会期の前半は「北陸編」「中部編」「九州編」の3種を、後半は「北海道編」「東北・関東編」「関西・中国編」の3種を販売。会場ではもしかすると一番人気のブースになり、行列ができて毎日売り切れていた。
この九州編は、佐賀県の有田駅「有田焼カレー」と、鹿児島県の鹿児島中央駅「鹿児島黒豚極黒豚めし」と、福岡県の博多駅「博多名物かしわめし」と、長崎県の長崎駅「ながさき鯨カツ弁当」の詰合せ。大きな掛紙には、その4種類の駅弁の掛紙の一部や縮小版をタイル状に組み合わせた。中身も正方形の4区画で、それぞれの御飯の部分を詰合せ。味も当然に、それらと同じ。
各駅弁は黒いプラ製トレーに詰めたが、有田焼カレーに限って磁器の器を使った。これは上記の有田焼カレーの「大」でも「小」でもない、もっと小さく初めて見るサイズ。この器を普段使いしたくて、2個を買って食べて、有田駅の駅弁のページに収めた。