東京駅から東北新幹線はやぶさ号で約3時間。八戸市は青森県の南東端で太平洋に面する、人口約22万人の港町。かつて水揚げ日本一を誇った漁港と、県内一の工業地帯を誇る産業都市。駅弁は明治時代からの駅弁屋の駅弁が売られ、東京や北海道など東日本の各地でも盛んに売られる。1891(明治24)年9月1日開業、青森県八戸市尻内町。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2022(令和4)年秋の新商品。商品名の「海鮮」「極」「美しき」「八種の」は、売り場により異なる順番で表記されることがある。長方形の容器いっぱいに酢飯を詰め、左上から時計回りに、たくあん、いくら醤油漬、煮穴子、鮭フレーク、味付蒸しウニ、カニフレーク、味付ホタテ貝柱「ほたてフレーク」、とびうお卵醤油漬「とびこ」、サーモン白醤油漬、玉子焼、つまり「八種の」「海鮮」を含む10種類の具で覆う。この数学的な美しさは、少し揺すると乱れて失われる、と表現すれば神秘的になるだろうか。つまり握り寿司の食べやすい多様を、押寿司のようなものに取り入れた、アイデア商品。
2012(平成24)年1月17日に、新青森駅の駅弁として発売。透明なふたで中身がよく見えるタイプの平たい長方形の惣菜容器を、中身のイメージ写真やイメージイラストを描いたボール紙の枠にはめる。中身は青森県産米「まっしぐら」の白御飯を薄く敷いた上に、スクランブルエッグ、イクラ醤油漬、とびっこ、蒸しウニ、刻んだシイタケ煮を散らし、甘酢生姜と大根桜漬を添えるもの。雰囲気も風味も容器の構造も、北海道は小樽駅の駅弁「おたる海の輝き」にそっくり。でもこちらの具は玉子がメインなので、豪華さはあちらが数段上。北国の海がちょっと足りない。価格は2012年の購入時で1,150円、2014年4月の消費税率改定で1,200円、2020年時点で1,250円、2022年時点で1,300円、2023年時点で1,580円。
※2023年7月補訂:値上げを追記2019(令和元)年8月に発売か。駅弁の名前は「天然三陸産穴子100%肉厚穴子重」とも。漆塗り風のボール紙を厚く組み立てた長方形の容器に、白飯を詰め、煮焼き穴子で覆い、玉子焼とわさび菜を添える。そんな八戸駅弁は過去に何度も見た気がするので、これは2019〜2020年の駅弁大会シーズンに向けた新商品であり、シーズン限りで売り止めるのではないかと思う。シンプルなので食べやすい。2021−2022年シーズンまで売られた模様。
※2023年4月補訂:終売を追記2019(令和元)年7月に東京で発売か。長方形の容器に酢飯を敷き詰めて、ほたて、あなご、さば、いくら、かに、うにと玉子焼とキュウリ漬けの市松模様で覆う。個々の味はそうでもなくても、賑やかで飽きの来ない内容。八戸駅や青森県でなく、東京エリアのみで売られる商品かもしれない。1年弱の販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2019(令和元)年7月の発売。「BENTO CAFE 41°GARDEN」の文字が小さく入るので、八戸駅弁でなく新函館北斗駅弁かもしれない。2年前の「うにとウニと雲丹味くらべ弁当」と同じように、3区画を並べた細長い容器に「イチョウガニとトマトクリームソース」「紅ズワイフレークとかに味噌」「ズワイガニとオマールエビのみそ」のミニミニ丼を詰めたもの。いずれもクリーミーな内容だった。半年間ほどの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2018(平成30)年9月の発売か。同月の東京駅「秋の新作駅弁フェア」に出品。他の八戸駅弁でも使われる、3区画を持つ漆塗り木箱風の厚紙製容器に、穴子の蒲焼き丼、穴子の白焼き丼、玉子焼と穴子の蒲焼き寿司と白焼き寿司を詰める。アナゴづくしでいろいろ入るように見えて、中身は飯と穴子と玉子焼のみで構成されている。そのためかどうか、四角く詰めた無機質感があった。2019年までの販売か。
※2021年10月補訂:終売を追記2018(平成30)年7月に東京で発売か。ボール紙を組み立てた分厚い塗り箱風の容器に、押寿司のようで握り寿司のような寿司を8カン詰める。その内容はスリーブで写真と文字により紹介するとおり、ほたての照り焼き、塩〆海峡サーモン、炙りカキ、〆さば、昆布〆平目、いくら醤油漬、そして玉子焼。加えてワカメ煮とゴボウ漬の付合せ。少量と高価は気になるが、駅弁でもこういう創作や、こんな見栄えがあるのかと感心。東京や現地や駅弁催事でどこまで売れるだろうか。2021−2022年シーズンまでの販売か。
※2023年7月補訂:終売を追記2017(平成29)年秋の新作か。白飯を三陸産アナゴの炙り焼きで覆い、ガリと山椒を添える。原材料名にその4種しか記されない、シンプルな駅弁。見た目が宮島口駅の有名なアナゴ駅弁に、とてもよく似ていると思った。味に柔と剛の大きな差はある。価格は2017年の購入時で1,300円、2020年時点で1,350円、2022年時点で1,300円。2021−2022年シーズンで終売か。
※2023年4月補訂:終売を追記2013(平成25)年2月22日に八戸駅と新青森駅で発売。茶飯の上にイクラ、アナゴ、ウニ、カニ、ツブ貝、シイタケ、キュウリ、ホタテ、サケを並べ、これらをすべてカニ入りの厚焼き玉子で覆い、小松菜とガリを添える。
この姿も、駅弁の名前も、東京駅でヒットした新潟駅弁「えび千両ちらし」そっくり。文字では豪華に見えるが、各具材はしょぼしょぼ、ぼそぼそ。玉子焼をめくって主に見えるのは、白飯の地肌だった。味は悪くなし。2017年までの販売か。
※2019年8月補訂:終売を追記2015(平成27)年の5月までに発売か。中身はパッケージの写真のとおり、三陸大玉ホタテ丼、炙りサーモン&いくら丼、三陸炙りカキ丼。見栄え良く、分かりやすい駅弁。ただし、現地で売らず、駅弁大会ないし東京都内や大宮の駅弁売店で売るための商品である可能性が高い。2016年3月の購入の頃に終売か。
※2017年5月補訂:終売を追記2015(平成27)年8月の発売か。ボール紙のパッケージには、中身の見本写真と具の名前と、2015年7月から9月までのJRグループの観光キャンペーン「青森県・函館デスティネーションキャンペーン」のマスコットキャラクター「いくべぇ」、北海道北斗市が2013年11月に定めた公式キャラクター「ずーしーほっきー」が描かれる。
中身は左側の「函館」が、酢飯にホッキ、とろサーモンハラス、かに、イクラを載せた丼、右側の「青森」が、醤油風味飯にウニ、いか、ホタテを載せた丼、その間に柴漬けと小松菜和えを配置。見栄えも味も、工業製品っぽい調った姿をしていた。新青森駅へも多くの駅弁を卸す駅弁屋で、2015年3月に新函館北斗駅の駅弁屋にもなるらしい、この調製元ならではのコンセプト。事実上2017年までの販売か。
※2021年10月補訂:終売を追記2013(平成25)年秋の新作。これは「あまちゃん」の駅弁ではないようだが、既存のじぇじぇじぇ駅弁と同じ絵柄のキャラクターをパッケージに描くうえ、容器の色調も似る。中身は丸い加熱機能付き容器に茶飯を詰め、子持ちホタテ照焼き2個と、貝殻に入れた蒸しアワビを置き、蒸しウニと味付けめかぶですき間を埋め、いくら醤油漬けのミニカップを添えるもの。NHKとの契約が切れたらこの駅弁を存続させるのかと思ったら、こちらを先に半年ほどで売りやめた模様。
2013(平成25)年8月の発売で、同時発売の「かにといくらの市松寿司」「穴子ちらしとかにずし」「海女の大漁めし」とともに、「魅せる海鮮弁当シリーズ」を構成するらしい。ふたは透明で、これを収めるボール紙のパッケージにも窓を開け、中身を魅せる(見せる)演出をする。
長方形の容器に酢飯を敷き、ボール紙のパッケージに書かれるとおり「ホタテバター」「たこ柔らか煮」「ズワイガニ棒肉」「とびこ」「いくら醤油漬け」「うに」「ホタテ照り焼き」「かにフレーク」「サーモンたたき」と、白ガリ、大根漬け、小松菜和えで12種類の具を、4×3で整然と列べる。悪い内容でも味でもないのに、魅力が感じられないのはなぜだろうか。価格は2013年の購入時で1,200円、2014年4月の消費税率改定で1,250円。2014年までの販売か。
※2017年5月補訂:終売を追記京王百貨店の駅弁大会での八戸・高松・出水の「駅麺対決」のために、2013(平成25)年1月17日の会期後半に初登場。ワカメやウニやホタテや海藻などを乗せた塩ラーメンを収める丸い加熱機能付き容器の上に、サバみそと玉子で覆う御飯を収める小さな四角い容器を置いて、中身の見本写真を美しく印刷したボール紙の枠にはめる。
書いてあるとおりの味はするものの、メインの麺にはまったくコシがない。汁をゼラチンで固めて加熱により溶かす技術を使い、この仕組みを使っても味を出すことにとても苦労したと想像するが、ラーメンそのものを駅弁にしようという挑戦は無謀だったと思えた。このシーズンの京王と鶴屋の駅弁大会以外で販売されたという話を聞かない。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2008(平成20)年秋の新商品か。底上げで高さのある円形の容器に透明なふたをして、中身の写真と商品名を書いたボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上にイカ飯、ホタテ煮、焼サバほぐし、鮭フレーク、イクラ、赤かぶ酢漬、錦糸卵を載せるもの。
名前に違い海鮮弁当という印象はないし、イカ飯を八戸名物とうたうのはここの駅弁屋だけではないかと思う。しかし分量も存在感もたっぷりの焼サバほぐしと鮭フレークがうまく、焼き魚丼という印象でモリモリ食べられる感じ。分量も多すぎず少なすぎず、イカ飯のアクセントもある。名物になるというよりは普段使いの弁当として、知らずに買って食べて満足できるタイプの駅弁。2010年頃までの販売か。
※2017年5月補訂:終売を追記スルメイカにもち米を詰めて醤油と砂糖などで煮たイカ飯を2個と柴漬けを惣菜トレーに入れ、駅弁の名前や中身写真などを印刷したボール紙の枠にはめる。この内容で不味いものに出会うことはないが、ふたを開けると柴漬けの刺激臭が鼻につき、特別に分量や風味が優れているわけでもないのに森駅より高価で、これでは選択するに値しない。もしこれが下記の駅弁「港はちのへ名物いかめし」のリニューアルだとしたら、残念なことをしたものだ。2010年までの販売か。
※2017年5月補訂:終売を追記2007(平成19)年に発売か。正八角形の黒い容器に透明なふたをかけ、中身の写真を目立たせたボール紙の枠にはめる。中身は茶飯の上を大間のマグロ2切れと煮ウニ、イクラ醤油漬、錦糸卵、しば漬けで覆うもの。内容は確かに贅沢だが、具の配置で見栄えはもう一歩、そして今回は具がパサパサしていたような。10月から1月までの販売と案内されるが、それ以外の時期でも買えるらしい。2010年頃までの販売か。
※2017年5月補訂:終売を追記秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2007(平成19)年秋の新商品か。中身の写真と宣伝文句を書いた紙枠に円形のプラ容器をはめて、その中に青森米まっしぐらの茶飯を詰め、大きく柔らかいむつ湾産ホタテ3個、大きめに切った焼鮭2切れ、イクラ醤油漬を少々、そしてしば漬けを添える。
年間約400個もの駅弁を食べていると、こういう内容はかなり食傷気味。しかしシンプルな内容と具の大きさ・うまさ・柔らかさは、それらの駅弁の集大成と見えなくもない。現地で買えれば幕の内に代わる腹の足しとして使えると思うし、むしろ新幹線の車内販売に向くだろう。価格は2007年の購入時で1,050円、2008年7月1日から1,100円。2014年時点で現存しない模様。
※2015年2月補訂:終売を追記2004(平成16)年の夏頃に発売か。ずいぶんと自信満々の駅弁の名前だがつまり焼鯖棒寿司で、これを1本笹に包んでビニールで留めて、醤油と生姜と「八戸小唄寿司」と同じバチや割り箸などを添えて、そのフルカラー写真と調製元の建家を描いたボール紙の箱に入れる。味は有名空弁その他の焼鯖寿司と同じもの。2年間ほどの販売か。
※2017年5月補訂:終売を追記2003(平成15)年の秋頃に発売か。正八角形の容器を三段重ねにして、青森ねぶた・八戸三社大祭・五所川原立佞武多の写真を載せるボール紙の枠にはめるタワー型容器。中にはそれぞれ、名駅弁「八戸小唄寿司」の鯖鮭寿司、カニいくらずし、帆立と煮イカに厚焼き玉子が入っている、八戸駅弁に使われる各種食材を再編成したようなもの。
つまり味は保証されているが、価格に対して少量が過ぎるので、見栄えある容器で魅せる駅弁大会向け駅弁。三段の容器はよく見るとその組み合わせ位置でひとつひとつ形状が異なる点でも、容器に力を入れたことが分かる。東京駅の駅弁売店「膳まい」に毎日輸送されているらしい。2006年頃までの販売か。
※2017年5月補訂:終売を追記おそらく東北新幹線の八戸駅までの延伸開業に合わせた、2002(平成14)年12月1日の発売。ボール紙の化粧箱に容器を収め、見慣れたイカ飯が輪切りにされてひとつ横たわる。水気の覆い米の醤油辛さに東北を感じ、それにイカ足のカットが混ぜられている点に他駅との差別化を見て取れる。味は良好で価格もお手ごろなので、ファーストフード系駅弁として重宝しそう。
東北新幹線の乗り入れを機に、在来線時代は一社の独占であった八戸駅での駅弁販売に、東京の日本レストランエンタプライズ、仙台の伯養軒、地元のニュー八の3社が参入し、突然に4社が集結する激戦地となった。迎え撃つ吉田屋も新製品を投入するなど、現時点で日本で一番駅弁が熱い駅はここだろう。価格は2003年の購入時で680円、2008年7月から750円。2008年までの販売か。
※2017年5月補訂:終売を追記2001(平成13)年1月の京王百貨店新宿店駅弁大会に向けた新駅弁として投入。赤い柄物の容器に透明なふたをしてフルカラー印刷のボール紙の枠にはめる、駅弁大会で映えるパッケージ。中身はウニと一緒に炊いたという御飯の上にイカ・ズワイカニ・タラバガニ・イクラ・ウニなどを載せる、価格は高いが見た目も味も海の幸いっぱいの駅弁。
その駅弁大会では二週間で一万一千個を売り切った。写真のものはスーパーの駅弁催事で購入したため、輸送の影響か具がシェイクされているが、多種の味覚が口の中に広がる点で、むしろ味がさらに良くなったのかもしれない。価格は2003年の購入時で1,300円、2008年7月1日から1,350円。2009年9月1日から再び1,300円。この「八戸港旅情編」が後に「漁師町八戸の味」になり、2015年から「青函味くらべ編」へチェンジ。
※2017年5月補訂:変遷を追記